鬼火


 ある日鬼の子と呼ばれた少女は村外れの納屋に閉じ込められ長い時間を過ごしていた。

 トントン、トントン

 と鳴るが仏の合図でその鬼は赤い光を持って少女を連れ出すのだが、少女は歩き方を知らない、言葉を知らない、納屋を出るのは禁忌でありそこにいるからこそ少女の村での意味を成すのだけど鬼は手招きする、手招きする。

 その手招きを知らない少女に立ち上がる術も意味も理由もないのだから困ったものだ、少女を連れ出すにはどうしたらいいかと鬼は待つことしかない、待つことしかない。少女が意味を知るものを鬼は知らなかったのだからそれから何年、何日たったか、日は何度も登るけど、火はそのうちに消えてしまう、何年何日立ったのか、鬼が金棒を振りその場に何者も近づけなかったある晩、少女はついに歩き出す、光を見ては歩き出す。時はいくらかわからないがトントン、トントン、と歩き出した少女に足がないものだから、トントン、トントン、と歩むように時は刻んだのかと暗がりに赤い光、これから歩いてこの村の外れた場所へ連れていかねばならないのかと母親は火を消す術を知らない。村が燃えた日のことだった。


「鬼火」


 ある日生まれた娘は赤い目をした少女だった。災厄、飢饉と恐れた街人は一晩に殺してしまおうと母子を村外れの川のある洞窟に閉じ込め蓋をした。

 コツコツ、コツコツ

 と鳴るが飢饉の合図か、不気味な音は川に消されるが鬼の仕来たり頭を持って松明を掛けるのだが、村人は岩を知らない、対処を知らない、森を汚すのは禁忌でありそこにあるからこそ母子はそこで生きるのだけど音は増していく、増していく。

 その音の検討をつけられない村人に岩を壊すも忌々しい、手管も知らないものだから困ったものだ、母子を止ませるにはどうしたらいいかと村人は頭を抱えるしかない、抱えるしかない。母子が意味を成すものを村人は知らなかったのだからそれから何年、何日たったか、日は何度も登るけど、松明はそのうちに消えてしまう、何年何日経ったのか、獅子が鰭を持つその岩に何者も眠れなかったある晩、音はついに力尽きる、岩のとどめき力尽きる。時はいくらかわからないがコツコツ、コツコツ、と開けた親子の子がないものだから、コツコツ、コツコツ、と食べるように傷を刻んだのかと斜陽は赤い光、これから首を持ちこの村の外れた場所へ葬らねばならないのかと母親は息をする術を知らない。村が燃えた日のことだった。




※鬼灯…連作障害
そそそんなぁ、鬼火と鬼灯を間違えただなんてこと、ありゃしまへんで!ホントだぜ!

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