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CUT1
N○系教育番組にて。
簡単すぎるBGM。
今晩は月3くらいで儲けられた“郷土料理の日”なので、違う番組で昼間にたまたま見たアレンジビーフン炒めを作ってみている金髪野郎。
「パパー、あれ凄いよ!」
待ちきれぬ娘が後ろのキッチンに向かいソファーからぴょんぴょん。
「|由亜《ゆあ》、お行儀悪いでしょ」と嫁が嗜める。
『サバンナの大地』
ライオンが木陰から一匹の、馬とか鹿の間らへんな動物を睨んでいる。
「それ、教育的にどうなんだ」
|美也子《みやこ》、と金髪が言おうとした瞬間、画面のライオンが木陰から走りだし、馬とか鹿の間らへんな動物に一直線。そして。
「うわぁ…」
「きゃははは!」
がぶり。ムシャリ。
思わず焼きビーフン、手が止まる。
「ちょっと美也子、」
「はーい由亜、あんな食べ方しちゃダメよ?
なっちゃんご飯はまだなの?」
「…なんなの日本人」
まぁ確かに自分も。
N○系の次の番組の視聴予約した、だからこんなことになってるんだけど。
取り敢えず手が止まったのでSNS。
“もうちょっとで『サキソフォン』!先月のライブ来れなかった人、観てね!”
それをすぐさま長身優男野郎、ライブのプレイアイコンがそれを拡散。
次の瞬間、4本ギターネックアイコンから返信、“ただいま補食中(笑)”。
あいつらやっぱり同じの観てやがったか。取り敢えずネック野郎に(殴)と返信。
「なっちゃん、私お腹すいたよ。ヘルシー?」
「わかったよ。それ消して、3の方に変えて!狂犬出るから」
「ぶんちゃん?みたいー!え?パパと?」
「違うよ。あいつ確か最近アイドルバンドのベースやってるハズ、fwitterだと」
「わかんないけどマキちゃんいるー?」
「いない止めなさいだからそんな風になっちゃうんだよ由」
「なっちゃん!ご飯!」
「わかったごめんてぇぇ!消して、それやだぁぁ!」
CUT2
「ねぇ録画わかんない」
「はいはい、どっちがいいの?」
24インチの前。ジーマを片手にデッキをいじる小動物野郎と。
「|真樹《まき》、みてよほらほら」
リモコンを操作する狂犬野郎。画面に写し出される番組一覧。
“サキソフォン”、“Cara”、30分後に朝日で“the hate”。
本日、ほぼほぼメンバーコンプリート。凄い、でんにじネットワーク流石と、狂犬は画面を眺める。
「すげぇ」
「あ、やっぱ観たい?じゃ、げんちゃんの予約しよー。あいつのはこの流れで観れるからいいや。それとも晒す?」
「全部撮ってよ」
「無理だよ俺ん家のテレビ時間かぶりは取れな」
「やべえ上!サバンナ!」
「はいはいっと…」
しかし小動物忙しく、狂犬が座るベットにやってきて隣に座る。
狂犬、仕方なしに自分のサポートしたアイドルバンド、“Cara”を録画予約。正直複雑。番組は“サキソフォン”の前の『サバンナの大地』。
ビールを飲みながら、ライオンって金髪っぽいな、とかふと思い、何か言ってやろうかと狂犬はSNSをケータイで開いた。
「あっ、あぁっ!」
隣の小動物野郎がテレビに夢中になる。ライオンが木陰からバンビみたいなヤツに食らいつく。
「いや〜!すげぇよ、すげぇよ!」と隣で騒ぐ小動物を見て、こいつは目をキラキラさせてなんなんだろうと思ったが、また視線を落とせば、娘が描いたらしいウサギっぽいアイコンの台湾野郎が呟く。
“もうちょっとで『サキソフォン』!先月のライブ来れなかった人、観てね!”
そうかお前、案外こういうのダメだよなと思い、返信しようとすれば、ライブプレイしているアイコンを使ったギタリストが台湾野郎の呟きを拡散する。
君、なんだかんだで一番まともっぽいことしてるなと感心して台湾野郎とギタリストに一声、“ただいま補食中(笑)”と返す。
「あぁ、次はハイエナだよ…意外と可愛いなこいつ」とか隣の小動物が言っている間にもう一本ビールを開ける。
ギタリストから返信。“これですか?”テレビを撮影したらしい、ライオンの写メ。
「あっ、あぁ!」
しかし隣がうるさい。狂犬はそのままパシャリと小動物を撮り、“こいつです”と返した。
“…(;゜0゜)どういうこと?”という返信。
「うぉぉ、動物って全体的に生命の神秘」
テレビを見てみれば、チーターがバックで情事中。マジか、勢いにどちらか死にそうだが、あれって、動物って気持ちいのかそれ。手元のビールが温くなる。
取り敢えず唖然としつつテレビをパシャリ。小動物同居人が「なにしてんの?」と怪訝そう。
こいつはSNSをやれていないしやってもいないからいーやと、撮った写真に一言、“こういった事情です”と添えて返信。すかさず、“なにそれ”(ギタリスト)、“洒落にならんわ”(台湾野郎)がバシバシ画面に入ってくる。
お前ら頭沸いてるわ、さっさと観やがれという心境でケータイを手元に置いた。
サキソフォンの特集が始まった。
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