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君はそう言えばあの時、僕の師匠に合ってみたかったなと、清々しい浜辺で言っていた。
だけど孤独に生きてきた君が、今僕のように、子供を一人拾えるくらいには、生きていたいと思ったのかな。
反抗的な青年、樹実が連れてきた「壽美田流星」に僕はピンと来た。
何か、見つけたようだね。樹実。
あの樹実が子供を僕に預けようだなんて。君は、お節介なヤツだね、昔から。
樹実の心配そうな顔、青年の凛とした強さに僕はタバコを捨てた。
「初めまして。防衛省海上自衛隊二等海佐、熱海雨です。樹実とは残念ながら腐れ縁というヤツです。そんなに硬くならないでくださいね、お見知りおきを」
「は、初めまして。壽美田流星です…」
珍妙な表情でぼそりと、唖然としたように流星くんは言った。
「はい、良くできました。では行きましょうか」
去り際目が合った樹実は、僕の見たことがないような、慈悲深い視線で流星くんを預けた。
君も死ぬ理由は漸くなくなったね。
「さぁてまずは…、船の種類から行きましょうか。僕の部屋に行きましょう」
預かりものならまぁまぁ大切にしなきゃならないけど。
樹実の厄介事だしな。
多少、雑でもへこたれないだろうか。
僕は言いながら、
僕の私物と化した資料室を頭に浮かべる。
「な、何これ…」
流星くんを連れて行って先の扉を開けた瞬間。
やっぱり驚かれた。
ぱっと見ても、僕ですらなんとなくしか場所を把握していない本、本、本と、よく分からない物、本、紙、よく分からない物、拳銃。
最早なにがどうなっているか、把握しきれていないのは僕もだ。
「えっと…確か…」
脚立が必要かもしれないな。
奥まで入っていって脚立を引っ張り出したら何かが倒壊した。
これは仕方ないなと探していると、流星くんが唖然としたように入り口で立ち尽くしていた。
「あっ」
山が一つ決壊してしまった。
僕なりに置場所くらいわかっていたはずなんだけど、こうやって崩れるから場所がわからないんだよなぁ。海軍戦術と船舶操作入門3冊と…どこにいっちゃったかなぁ。
「あの、熱海さん」
「はい、はーい、どうしまし…たかっ、あっ!」
「あぁ…!」
またどこかが決壊した。
「…あんた死んじゃいますよ」
「んー?」
「あー、よそ見しちゃダメ!」
全てが見事に倒壊した。
「もうわかった!俺片します!マジ退いてください」
「いや、それは流石に悪いですよー」
うわぁ。
樹実のが預けた子にしては、しっかりしてるなぁ。樹実のだらしなさのせいかなぁ。
「いや俺死にたくないんで。頼むから片付けさせてください」
いやぁ、殺す気はないんだけど。
見つからないしたしかに危ないかもなぁ。
彼が来て最初にやった作業は片付けだった。
「すごいねぇ」
たった三時間で。
見違えるように全て本棚に収まった。
多分、ほとんど流星くんがやった。
「で、熱海さんピックアップがこの5冊なわけね」
しかも流星くんは早速僕が選んだ本を、見つけた机に置き、キャリーバックから大学ノートを取り敢えず出して、
「では、また」
僕を追い出したのである。
「…素質あるなぁ」
変態の。
あの子ちょっと飛んじゃってるかもしれない。
変態が認めただけある。彼、壽美田流星は結構曲がった変態だ。曲がった変態である僕も感心してしまった。
取り敢えず、多分メンタル強いし、あの手の変態素質は放っておくに限る。
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