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「お、え?」
と、壽美田流星は混乱を表す。
「あ、え?」
あんたらホントに親子だったの?え?なに?訳有り?
樹実さんはクソみたいに明るいテンション、なんなら一杯突っ掛けてきてないかな感じで「よっ、お待たせ」と、こちらの困惑を物ともしない。
「お待ちしておりました。
お久しぶりですね、流星くん」
クソ紳士笑顔で雨さんが告げる。
何?
「え、はい、お久しぶりです…」
え?
「あははー、ビックリしてますね。
僕実はあっさり出てきちゃったんですよ」
なんて軽く、雨さんは驚いている壽美田流星に言っちゃってる。
子供二人だけが「ナニコレ」雰囲気。
「いや、それもそうなんだけど、は、え?お前なんでいんの?」
「いや、それ俺も聞こうと思ってたってかあんたらとあんたら何?知り合い?え?何それパニック」
樹実さんを見るべきか雨さんを見るべきか壽美田流星を見るべきか。
「え?樹実、彼ら、なんか…」
「あー、まぁ座んなよ流星」
樹実さんに面倒臭そうに言われた壽美田流星は、取り敢えず俺の隣にすごすご座った。
樹実さんが店員にテキトーにビールを3杯と烏龍茶を頼んで場は一息。
最早樹実さんを壽美田流星と二人で穴が開くほど眺めるが、樹実さんは気にもせずゆったりとタバコに火をつる。
雨さんも、ソフトパックを取り出して口を炙ってパッケージを開けた。さっきのはなくなっちゃったらしい。
「今時あんまりいないよね、その開け方」
「え?これあなたがやってたんですよ」
確かに雨さん、よくやるわそれ。へぇ、珍しいんだ。
「まぁやるけどさ」
「これだと向こう側が開いちゃうことがなくて良いんですよねー」
あぁ、なるほどなと納得しかけたが、「いやタバコ議論よりもね」と、促す。俺ら色々聞きたいんだけど。
「なんでこの人いるの?」
「あぁ、そうだった」
そのタイミングでビールと烏龍茶が来てしまい、取り敢えず乾杯。
「いやぁ、流星くん、今日は潤がお世話になったようで」
雨さんが壽美田流星に言った。
「あ、あぁ、いやぁ…」とどもっている。
この二人はどういった知り合いなんだ。
「まぁ潤のことは雨がきっちり躾をしてくれー。マジお前らの教官怒ってたよ」
「やっぱりか!あんたのとこに連絡行ったんだ!」
「当たり前だろ。一応保護者ってことになってんだろ?」
なんだなんだ。全然わからん。
「俺だけなんか全然わかってないんだけど」
いや、俺もわかってないよ壽美田流星。
「まぁ…。
雨じゃ、名義だとかそーゆーのが面倒見れないから俺がこいつの面倒を見てるってとこかな」
「あぁ…。え?じゃぁ熱海さんとこいつはなんなの?」
「あ、それ俺もわかんないわ。なんなの?恋人?」
何故そうなる。
「うーん。確かに潤には家のことを任せてますけどなんというか…」
「飼い主と猫」
「主従関係なの?」
壽美田流星の一言に、樹実さんはぐっと黙り込んだ。
「あぁ自覚あったんだ。ぴったり」
と雨さんが言う。
まぁ、そりゃ。
ふと雨さんが樹実さんを見て、「樹実、頭の中を二文字でどうぞ」と促した。
樹実さんは真っ青な顔で「卑猥か淫乱」と答える。
この人、やっぱズレてるが。俺なんも言えねぇ(樹実さんは俺の色々アレなやつ知ってるだろうし)。
「多分それ間違ってますからね」
「え、じゃぁなんなの?」
「うーん、あなたと流星くんみたいなもんでしょう」
「そんなに卑猥じゃない」
「だから違いますから」
話が通じない。樹実さん、人の話聞かないじゃん、マジ。
「あぁ、ウチは完璧家政婦だよ俺が。樹実は掃除も洗濯も出来ねぇし。辛うじて魚が焼ける」
何。
お前が一番出来なそうなやつじゃん、それ。
「まぁ入れるだけですからね。ウチは逆パターンですね」
「うわ、お前ヒモじゃねぇか」
うざっ。
「うるせぇな。やるよ?料理が出来ないだけだよ」
「最近洗濯は覚えましたね」
「うん」
「言うてお前も出来たっけ?」
「出来ません」
「どうしてんの?」
「二人で頑張って特訓中」
「揺るぎないな…」
なにそれホントに人の話聞けない樹実さん。
「これからもウチの潤をよろしく」
諦めたらしい。雨さんは壽美田流星にそう言ったが。
「えぇ…俺嫌だよ雨さん」
「なんで?」
「だってこいつ変なやつだもん」
そう。
こいつだよ、変なやつ。
しかし樹実さんまで俺を見て言う。
「それはお前も一緒だと思うぞ潤。お前ら結構名コンビじゃねぇかな」
「俺も嫌だよこんなやつ。熱海さんに申し訳ないけど」
なんだよお前。お前に言われたくねぇよマジで。
「まぁまぁ。意外に良いヤツですから。意外に」
なにその意外にって雨さん。
「なんだよ!」
あっ。
「あ、てか思い出した。樹実さん、俺あんたに返すもんがあるんだけど…なんだよ、来るなら持ってくればよかった」
「これですか?」
雨さんが懐から例の拳銃を取り出した。
なんで持ってんの、てか
「おいおい!出すなよバカ!」
樹実さん同意だわ〜珍しく。
「物騒だろうが!ここは日本だぞ!」
「その物騒な物を置いてったのはあなたでしょ?まぁ使いませんでしたけど。それどころか…潤は使い方を知りませんから」
まぁね。
「おかげで護身も自殺も必要なかった。第一…弾が入ってなかった」
あの時。
弾は抜かれていた。
それが俺にとっては救いであり、地獄でもあった。
「仕方がないから雨さんが帰って来た後、二人でロシアンルーレットやったよ」
「なんだそりゃ…」
「案外…」
その後を樹実さんは続けない。
なんだか、慈悲深い目で俺を見てきた。
「…それはやるよ」
「え、だから」
「なら、雨に教われば良い。雨はリボルバー派だから」
「じゃぁ、僕が持ってましょう。あなたが欲しいと言う日まで」
「…なによそれ」
なんだよ。
易々、死にたいとか、言えなくなったじゃんか、また。
「互いに易々死ねなくなったな」
「…樹実」
「潤、雨のことは任せた。雨は潤を任せた」
ふと。
壽美田流星が笑った。
「あんたらしいな。嫌なやつだよ樹実。
|雨さん《・・・》、俺もあんたに返すもんがあったんだが…俺もまた会えるってわかってたら持ってきたのにな」
「これか?」
今度は逆パターン。
樹実さんが鞄からCDを三枚出した。
「あぁ、それ」
「これこのまま俺に貸して」
「どうぞ」
そうか。
雨さん、それ貸したんだ、樹実さんに。
先伸ばしされた無罪。
なんて、この二人。
不器用に生きてるんだろう。俺はその時にそう感じた。
|弾詰《ジャム》って、発射して。
オートマチックに似てるなと、それから少しして思ったんだ。
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