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コピーしたヴィリバルト・ヘルの名簿をカツマタに渡す。
「…特犯1がDO追ってんだよ、密かに」
「DOか、まぁ…丁度良いけどぉ、」
「んで、昨日。関連で組犯5が第4漁港の密輸を抑えた。まさしくフレッシュな内容だ」
「…なんだと?」
流石は殺人専門だけある、ピンと来たようだ。
「あぁ。だがどうも、どちらも上から妨害が掛かってそうでな、あまり大きくは出ていない。特犯1で浮上したカフカ・アニシン、この基地の当時の最高責任者だな。それがクロエの捜索願いを出したことから始まる」
「…で、パクったっつーのか」
「あぁまぁ、こいつはトカゲの尻尾だと判断したけど。多分案の定だ。こいつがユーリイの家に立て籠ったんだが、パクったあとにユーリイが飛んだ、この辺はお宅ら事案かカツマタ」
「…なるほど信憑性はありそうだな。ユーリイの息子だったか、これでひとつ繋がった」
「加えて、公にまだ特犯1が開示してないところだが、クロエはカフカに引き取られ、後にアニシン第二に入隊した」
「は?」
信じられなそうなカツマタに「だろうな」と涼しい。
「……随分と大掛かりだな」
「そうだな。
で、昨日の漁港の件だがFSBが介入するところだった、いや、介入し組犯5が資料をそちらに提出させられそうなところで、カルテルを割り出しこちらへ引っ張ることになった。
密輸の武器は如何にもゲリラ向きのもんが軍関係として流れていた。いまのところこの線だが、このネクロフィリアは元からの行方不明者で間違いないか?」
「あぁそうだよ。
こいつはアニシン第二の爆発から逃亡した。痕跡はあったがな。確認されているDOからも今のところ洩れている」
「じゃ、行方不明者の身元が一人解明だな」
「そうなるな。
殺人も無差別に狙ったかと言えば…何人か関連性がある。始めはアニシン第二の…ここに開示されている死亡者からだったようだ。こいつは更にトロフィーマニアで」
「上官の股間を全て切り取っていた。合ってるでしょ?」
クロエがそう言ったことにカツマタは閉口してから「見てたのか」と言った。
「うんまぁね、と言いたいが予想がつく。そうそう、爆発事故の日の話をしてなかったね。と言っても半分くらい俺も気を失ってたからさ。しかしヴィリバルトが生きてるとは思わなかったな」
「は?」
「俺、ぶっ殺したつもりだったんだよね。俺も切られそうだったから」
ニコッと笑ってクロエはそう言った。
「頭から血ぃ出しまくりだったし。俺その場にあった岩で超殴って逃げたんだよ。あとで考えれば撃ち殺せばよかったね、ごめん。
その時にペラペラペラペラいらんこと喋ってたんだよそいつ。快感覚えちゃったんだってさ。ところでこれって俺は殺人未遂?いや、正当防衛でいい?」
そう言うクロエにカツマタが「詳しく聞かせろ」と言うが、「嫌だね」と、笑ったままに答える。
「でもあの時点であっぱらぱーもあっぱらぱーだったからなぁ、どこに居たわけ、こいつ」
「…とある病院で司法解剖を担当してた」
「はははっ!らしいね。それがどうやって不明で無傷な上官に行き着いたんだ、執念からしてやっぱ変態」
「笑い事じゃねぇよ、お前な、人が」
「仕方ないでしょ、あれも抑圧から来ちゃったんだろうから。つーか言ってなかったけど俺、あいつのルームメイトだし」
何、とカツマタが吠えるようだが「なーんも助けてくんなかった」とクロエは言い捨てる。
「まぁ語るなら「いつかやると思ってました」ってやつ。そんなことより気になるのは病院じゃない?サクちゃん覚えてんでしょ?母国の瓶」
「丁度それ聞こうとしてた」
「だよね。
正直あのジャン中が手掛かりなしで生き残ったやつらに行き着くとは思えない。軍関連の病院かな?ていうことは軍では名簿とかも管理されてんるだね多分」
「だろうな」
「で?じゃぁ取り調べ行ってあげようか、カツマタさん。多分俺の顔見れば一発で思い出してくれるよ」
「……待て待て待て、その賭けは」
「なんかあったらあんたがなんとかしてくんないと、コンマの差で俺が殺すかもしれないね。よろしく。どこまで口割ってんの?」
「…沢山だよ、お前が言う通りいらんことをペラペラと」
「OK了解」
「待てよクロエ。俺は許可してな」
「知るかよ。サクちゃんは名簿復旧してれば?」
「さ、カツマタさん」と促すクロエに「こんの…バカタレっ!」と、朔太郎はやり場はなくクロエに飴を投げつけた。
「俺も行くけど、」
「あらそう、ありがとう。助かる」
「あのなぁ、」
はっと気付けば、へらへらしているくせに若干クロエの手が震えていることに目がいった。
…確かに、どんな化け物であれ殺されかけたのならそりゃそうかと、やっぱりやり場はなかった。
「ついでにてめえも」
「待てカツマタ。そいつはいまのところ人を殺していない」
「はぁ?」
「行方不明者がうちの一人だ」
「…なに肩入れしてんだ、充分テロリストだろ」
「それも未遂だ。余罪があれば俺が真っ先にお宅へ開示する」
「…ん、まぁ甘いんだよカツマタさん、この人。どっちでもいーよ?」
「ダメだ。取り敢えず同伴する」
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