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朔太郎はそれからずっと、何か考え事をしているようだった。
この男が考えることは一番よくわからない。
ディルはNEWデータだった。確かにこのタイミングで出てくるのならDOの線は濃いだろう。
しかし、もしも仮説通りエタンを殺害するようにヴィリバルトへ指示したとしたら…まぁ確かにあのジャン中は単純明快、基地の頃の恨みと動かしやすいだろうが、端からエタンは死んでいるはずだった。
まだ歪みがあるのかもしれない。新たに殺そうとするならそれは、「生きていた」と言うことでしかない。
エタンが邪魔だった理由も必要になるはずだが、それをヴィリバルトがわかっているかと言えば微妙だった。
そもそも。
「サクちゃん」
「……なんだよ」
「そもそも身元がわかったやつらってなんでわかったんだっけ」
「怪しい現場検証とDOの声明だとか、そんなんだ」
「全体的に微妙なんだね」
「そうだな。最早ここで死んだと確定したエタンとディルは仮だけど、あとヴィリバルトとお前と、ヴィリバルトが殺害したとするあと二人か…と、声明の7名。24人中13名しか公安には確定要素がないな」
はっと、気付いた。
「…ヴィリバルトがいた病院は、」
「いやそうか行方不明者は6名だったんだよな、」
「…ちょっと話聞いてる?」
「聞いてる話してて良いまとめるから」
やはり何を考えているか謎だ。
「…あっそう、んじゃぁ…。軍関連の病院だったなら多少辿るのも、あの執着心ならわかるような気がするんだけど」
「うん、はい、19名から24名に増えたわけでつまり不確定要素は5名になった、」
「うん。で、瓶だけど。モダフィニルはそもそも軍支給だったんだからやっぱりあいつ加入してるんじゃないかなって」
「いや、一名は元々死傷者として出ている情報だから結果不確定要素は6名で…」
カチャカチャパソコンで打ち始めている朔太郎にいや、いくらなんでも話しづらいわと思いつつ「だから病院洗ったらどうなの」と続けるが「あーわっかんね…」とやっぱり朔太郎は頭を抱えてタバコを吸い始めてしまう。
「…ねぇ、」
「んー…、」
「流石に俺辛い」
「んーわかってるよ」
「サクちゃんさ、輸入ルートとかメンバーとかもそうだけど、目的じゃないの」
「まー確かにカフカにとって邪魔そうなお前の親父は死んだからな」
「うん、いや」
「世界征服くらいしか思い付かない」
「うーんホントに聞いてないね」
話しても無駄なんじゃないかと思えてきたところで「いや、加入はしてないだろ」と急に話がどこかへ漂着するのだからなかなか追い付かない。
「…なんで?」
「ディルの加入疑惑と…まぁ嘘だけど伝えたらビビってたし」
「まぁわかるよ?あのポンコツに出来ることはないだろうしさ。けどそれに「デタラメを」って反論出来るもんかな」
「逆にだ、ディルはまさかDOじゃないだろ、て反応は通じてないからじゃないのか?」
「んー、確かに」
「通じてないが見てるんだよ。だからインチキにエタンをポンと出してみたんだよ、間違いなく加入してないとされているだろ」
「あー、そうなってくると確かにね」
「教官って言うんじゃ恨みもあるだろうしと…ただ判別出来たかが」
「ポンコツだからね」
「また尻尾切りだったが、まぁ情報はチマチマしているもんだ」
ふう、と息を吐いて朔太郎はまるで集中力は切れた態度だがまたパソコンで作業を始めた。取り敢えず名簿でも治しているのかもしれない。
そんな中ふと、「あの場所はどんな場所だったんだ」と、聞いてくる。
「…呪術のような場所だったのか」
「…まぁ、良い場所じゃない」
「だろうな」
それ以上聞いて来ない雰囲気になったのも何故だかもどかしく感じ、「散々だった」と、更に吐いてしまう自分がいた。
「思い出すと吐きそうだけど、みんな単純に意地悪でさ。
元はあいつも心優しいやつだったよ。だからまぁそう、ホントに狂っちまったなって感じで。その分…裏切られた気持ちとかが強かった。ネクロフィリアなら肌感わかるはずじゃん?」
「…まぁ、察しは付くから聞かないけども。
ところで明日アニシン第二の跡地に行こうかと思ったんだが」
「………別にいいよ。もし万が一、多分ないけどPTSDとかぶっこいてたとして間違って殺しちゃったらごめんね」
「まぁ大丈夫だろ」
何をもってそう言うのか、多分テキトーだ。なんせキーボードもテキトーに叩いているのだから。
疲れたなと、クロエは取り敢えず昼寝でもしようと考えた。
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