忿怒


 何をそんなに怒っているの、こんなに高貴な私に何か文句がおありなの?

 ああなんなのこの高慢チキが。

 あらはしたないわね、まだ白昼だっていうのに。

 何か文句がおありなのだってぇ?
あんたなんて只の物欲の塊じゃないの。人の男と寝ておいてこの色欲大魔人。

 あらはしたないわね。貴女の男とはもう寝れないわ。寝相も悪いしうるさいし。貴女よくあの穢い男と毎朝を迎えられたものよね。私の清らかな肉体を穢す権利なんてないのに賎しいわ。貴女とお似合いじゃなくて?貴女その安い指輪、何処で買ったの?

 はあ?なんならあたしの旦那の左手の薬指にだってあったはずですけどぉ?その指でペッティングされといてよく言えたわね高慢女。

 あら嫌ねはしたない。
私の鮮血まで舐め取ってくれましたわ。禿鷲のようね。血肉まで貪らん勢いでしたわ。
 私がいくら止めてと言っても無駄だったわよお宅のクソ野郎。貴女よくあの汚いハゲと毎朝を迎えられたものよね。

 何よ偉そうに。そのクソハゲ野郎に股おっ開いたのは何処の高慢チキよこの色狂い。あんたこそ死んじまえばよかったのよ。お初だなんて嗤わせないでくださるぅ?でしたっけぇ?

 あら嫌ね、その紐切れちゃうわよ。数珠って切れやすいのよ、そんなに叩いたらその箱壊れちゃうわ。

 あぁ、そうそう、そこにアホ面こいて顔面蒼白のその変態、貴女との生活なんて惰性でお金もなくて怠かったみたいよ。私のベッドで白昼夢のようにダルく呆けて、魘されたように言っていたわ、乱暴だからかしらね。
 線香くらいあげに来たら調子に乗った奥さまにこんなに罵倒されるだなんて。私の血液型占い、今日は最下位じゃないかしら。

 はぁ…?何言っちゃってんの?イッちゃってんじゃないのあんた。

 逝っちゃったのはここの木箱に捕らわれた禿鷲のようね。可哀想ね、ああ嫌、何かしらこの醜い姿。あら、冷たいじゃないの。間近で拝む顔でもないわね。
 アンタは煉獄なんて勿体ないわ。地獄でいいじゃない。賢者じゃないんだし、カトリックでもないんだから。

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