第二章(混じり、白痴文) 1


 まま は ボク に よく 云い ました。
 あなたは*****《アベル》のようで居なさいと。

 アベル は とても 愛され、みんな に 良い 子ども で みんな が だい好 で だれ から も 嫌わ れない の だそうです。
 アベル は とても 良い子ども だから、死んで しまっても 甦り、たくさん の 人間 を そうぞう し、げんざい の 人間 が いる の だ そうです。

 まま は 寝る まえ は かならず その 絵本 を ボク に まい 日、まい 晩、詠んで くれて、「とても 良い子ね」と、ボク と まま は 寝る とき は 一緒 で、また 朝 が 来て とおさん に「お還り」と 云って 絵本 を とじて 朝 ごはん に なる の です。

 まま は いつも ボク と 幸せ そう に 眠る の です。ボク は それ が 嬉し くて、一晩じゅう その 息 や かお を 眺めて 居られる の です。
 とおさん は いつも 疲へい してイて、暗い時 しか 家 に 居ません。まま は いつも 明るい時 しか 居ません。

 アベル は 読み かき が 出来ます。アベル は とても 頭 が 良い です。アベル は 言葉 を 理解 します。アベル は かん字 が 得い です、けいさん だって 出来る。*****はみんなに愛されます。*****は良い息子なのです。アベル は とても ゆうしゅう です。 ボク に いつも 笑って くれて、寝むれない 夜 には 羊 を かぞえて くれます。*****はみんながだい好きです。

 子ども の 日 の ある日、ボク が 居間 で 絵本 を 詠んで イる と とおさん が 還ってきた 音 が した の です。
 ボク は とおさん に、まま と 寝むれなかった あと だった けど、お還り と 云わなければ ならない と 思い、げんかん まで 絵本 も もったママ に はしって いった の です。

「お還り」

 ボク は 云おう と しました。
 とおさん は すぐ、ボク が 云う より も まえ に「××××、──は 寝てるのか!」と、怒った よう に 云い ました。

 *****はみんなに笑顔なのです。

「おまえは寝てなさい、おかあさんとたいせつな話があるんだ」

 とおさん は そう云って ボク の 手 に した 絵本 を 漸く 見つめて「やめなさい!」と 奪って しまった の です。ボク は 奪われた と 思い ました。

 とても良い物を*****が神様にあげる。
 ボク は 悲しい の だけれど、そう 思う の は いけない こと。とおさん には 笑って いなければ ならない、けれど とおさん は ボク を 見て すこし 驚きました、軽蔑 も ありました、どうしようか と 反省 も あったのかも しれません ヒトつ の ひょうじょう は たくさん ありました。
 けれど ボク に 謝罪 を したい。「部屋に戻ろう」と 優しく 云い ます。

 ボク は それから とおさん と 一緒 に へや に もどり まま を 起こし ヒトり で 布団 に 入ったことが眠れなかった。アベルと羊を数えても、僕はたったそれだけで不安にすらなる悪い子ども、*****《カイン》のようだったんだ。

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