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思いつきでパッと言ってしまったはいいが下見とか、どうせ帰りに通る駅だし寄っておけばよかったかも…いや、別に場所はわかるし…明日か明後日二人で見た方がいいか…と、一瞬戻ろうかと思ったが、やめた。
もう少し軽く行った方が良い気がする…というか、本番は美術館かも、と、先回りするように今度は美術館を調べた。
カッコつけるつもりも…ないし、ゴッホの詳細はまぁいいか。
美術館はビーズ展からさらに二駅。いつ行こうかな。また来週、となるとどうなんだろうか…毎週遊びに行くとなると休む間も、勉強する間もなくなってしまうだろうかと、家に帰ってからもう一度調べてみる。
ゴッホの期間は随分長い。夏休み丸々被るのか…。
しかし、明日か明後日ってビーズ見て終わりか?多分小さな一角だ…まぁ、遊ぶ場所はあるだろうけど…。
高校に来て、葵と遊んだことがない。うーん、何して遊ぶんだ?ふと考えていたのはカフェでも入って…とか考えていたけど。どうしよう。カラオケとか……いつもイヤホンしてるし行きそうではあるな…。
というか…なんだろう。
考えは回る。
あれこれ考えてる、あれ、楽しいかもしれないな。これもなんだか…子供の頃のような。
いっそ、公園でも散歩してみようかな。
ふと浮かんだのは、大きな池をふらっと眺める葵の…自然な表情で、でもそんな表情、果たして見た事あったかなとも過ぎる。
…ないような気がする、子供の頃以外は。強いていうならぼんやりとイヤホンで音楽を聴きどこかを眺めている、あの顔…。
あれ。
イヤホンを付けてそっぽ向いているのは覚えている、いや、よくありすぎて逆にわからない。
あれ。
わりと知らないかもしれない…。
でもでも絶対、葵と確定する前から三澤と話していたんだ、昔公園にいたあいつに似てないかと。それほどには見ていたはずなのにどうして浮かばないんだ。
……曖昧さに少し、気持ち悪さを感じた。
俺って一体、誰を見て何を考えて生きてきたんだ。絶対知ってるはずなのに。
そう思ったらあまりその日、何も手につかなくなった。夕飯も、風呂も、予習すらも。
ただただ持て余してしまい、いっそ三澤にメッセージを送ることにした、だが何も考えてない…とだらだらスマホを手にして気付いた。
葵からメッセージが来ている。2。
開かなくてもロック画面の通知で最後のメッセージはわかった。『明日行こ』。3分前。
すぐに開いてみると、一つ目のメッセージ『会いたい』。それから間髪入れずに『明日行こ』
………なんだろう。
『会いたい 明日行こ』だなんて。
嬉しいのは嬉しいのだが、何か、何色かが混ざりこんでいるような曖昧な感情で。
しかし送れる言葉なんて「わかった。何時にする?」くらいなものしかなく。
なんでだ。
何を感じ何に満足していない、何か言葉が足りない気がするが、これが当たり前でその他に何も適切な表現がないじゃないか。何故俺は今モヤモヤしている?
『何時でもいいよ。いつでも行く』
…なんだろう。
なんか、嬉しいのかな?葵は。
画面の向こうが見たい、知りたい。ふっと表情筋を緩めてくれているのだろうか、なんて。
「昼飯とかどうしようか」「その辺で食う?」「確か美味そうな洋食屋入ってたんだよね」あれ、いつ調べたんだっけ。
『もしかして、オムライスのお店?』
あー、そうだそうだ。
「そうそう。なんだかんだ行ったことないんだよね」
「昼は混むかな?」
『あのオシャレな雰囲気のところ』
ラグはあるけど一致した。
「そうそう」
『カップルが行きそうな、可愛いお店だよね』
あ。
間違いないだろう。葵も食い気味だ…。
よかった。
「行ったことある?」
しかし、ふとそこで既読がつかなくなった。
21:36。まぁそうか。風呂とか夕飯とかあるよな、多分。
待つのも惜しいので「北口に11時半くらいに待ち合わせでいい?」と送り、目覚ましを掛けた。
しばらくぼんやり、すぐに返信が出来たらなと、洋食屋を調べた。
マジだ。凄く女子っぽい店。え、見たことあるはずだけど全く意識したこと無かった。
…カップルが行きそー…。めっちゃデザート推してるよメニュー…。
まぁいいか。言ってしまったし引っ込みもつかないわけだし。
…そういえば、今まで彼女とこういう店とか、行ったことあったっけ。
まぁどっかしらは行っているだろうが多分、デパートの中にあるテキトーな場所に入ってたんだろうなと、いままで正式に付き合ったかもしれない女子を思い返…。
いたっけ。
いたかもしれない。よもや記憶喪失を疑い始めてきた。おかしい。こんなに物事を覚えていないものなのか?
いや、まぁ葵は彼女じゃないケド…。
考えすぎて頭が廻りそうだった。
上の空、ただただブルーライトに浮かぶメニューにふっと通知が入る。葵の「OK♪」「楽しみ!」に笑みが漏れた。
あぁ、カラオケとかか。なんの曲好きなんだろう、聞こうと思ったがすぐ「疲れちゃった、おやすみ」に“ペンギンが布団を被るスタンプ”が送られてきた。
「おやすみ」
そう返して画面を消せば、ただそれだけで満ち足りていた。
今日はちゃんと!とスマホに充電器を刺して眠る。
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