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風景は夜。柳がある。そこに飛び出す乙女と狐火。乙女はだんだんと狐に変貌した。妖艶に踊るように狐になった女。その色気がそこにはあった。

大曲を弾き終えると、歓声が湧いた。客が口々に、「あんたすげぇな!」「役者さん?」と言う。

「ありゃぁ本朝廿四孝だろ!?すげぇな、あんな大曲!」
「あれは名作よねぇ」

客は、本朝廿四孝の話題と共に徐々に各席に戻っていった。酒の進みが各々早くなったようだ。

「お前は着物に困らない。俺は芸術に困らないよ」
「まだまだだよ」
「何で、色町で仕事してんだ?お前は、こっちの方が好きなんだろ?」
「まぁ」
「不快な思いもしないだろうに」
「オヤジや女や男に誘われないな」

案外あっさりとそう言われ、少し驚くも、あぁこいつはそういうやつだと思い出す。

「そう、そう!」
「他に弾ける場所ないから」

どうも、半ば身売りのような気がして、恭太郎的には釈然としない。

「…」

酒を注ぐほっそりとした指。それをぼんやり見つめながら自分も酒を口にする。

恭太郎の猪口が空いたのを見て、鷺は注ぐ。飲みたいときの恭太郎はわりと立て続けに飲む。

ふと目が合う。いらなかったのかと思ったが、にっこりと笑ったのでまぁいいかと自分も煽った。

「酒ってのはいいねぇ」

恭太郎のいつもの口癖だ。
今日はどうやら、とことん酔いたいらしい。

「ちょっと外出ねぇか?」

だがそう思ってすぐの提案に、鷺はちらっと恭太郎を見る。酒の熱が眼光を滑らせている。

「…いいよ」


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