無色透明色彩


6


「いやそれがこんな…逆パカまでは」
「いーんだよそんなん。吹っ掛けるには最高だわ、家にも踏み込んでるわけだし」
「……実はそこまで許可も」
「ジイさんの首見りゃわかんじゃん?…多分。
 大丈夫大丈夫!こういうのは第一発見者が有利だから」
「…そうですけど…えぇ…」

 …今人攫いって言ってたじゃん…。

「あ、俺の方は有力すぎる情報貰ったんで、こっちのことは忘れな。
 柏村ってヤツな。今後はまぁ…俺のツレも俺も罹ってるクリーンな普通の大学病院手配してやるよ」

 それは大丈夫じゃないんじゃないか…という思いを察したらしい、「あー、俺のは大丈夫、マジで普通の、全然一般人なカナダの教授がやってるから」と言った。

「俺は薬と殺しはやらん主義なんで。そんなことしてもマイナスだしリスクしかねぇし…っと、まぁこれは信用してくれとしか言い様がないけど」
「…だから、平良さんと?」
「つかあいつよぉ、なんなんだよいま俺のツレと飲んでんだぜ?有り得るか普通。昔の恋人ととかキモイんだがマジでそこんとこどーよお宅らのコンプラ!」
「……いやぁプライベートまではちょっと…キモイとは思うけど…」
「なんで早くツレ迎えに行くから。
 まぁそっちのことは手を出すなと言っておく。話は平良に流してくれ」

 じゃ、と去って行ったのは、あの無断駐車の車だった。
 唯三郎を後ろに寝かせ、荷物はトランクに乗せる。

「行きますか…」

 と、坂下が運転席に乗ろうとしたので「いや、帰りは変わりますよ」と伝えた。

「あそう?まとまった?」
「むしろ集中事項がなんかないとなんか…」
「寝そうで嫌なんだけど」
「…最早アドレナリン出っ放しで眠れないんで。先輩寝ていいっすよ。
 ジイちゃんも…眠れる?」
「いや…」
「ま、じゃあこれから話す話は、寝ぼけた若造の戯言的なやつで…」

 先に後ろの車が出たのを見てから出発する。
 ふいっと手を振られた。

 …あの人、1人とか大丈夫なのかな…。大抵いるもんだが、運転手とか付き人とか…。

「あぁ、ハンカチ!」
「あー、それ俺が返しときますよ。
 元々こいつが依頼した人の使いの人だったんで」
「…警察は本当にヤクザ飼うんだな…」
「いやいや、正直都市伝説ですよ今は。ウチの同僚なんか『警察24時』とか見そうな程には俗っぽい人なんですよ」

 ……警察じゃないんですけどね、実は。さっき言ったけどまぁいいや。

「少しだけ…透花ちゃんについて、聞いてもいいかな?
 透花ちゃんがどんなことをしているか……仕事とか。ジイちゃんがどこまで知ってるかなって、憶測でもいいんだけど」
「紀子さんの、グッズ?の管理?ネットの。とか…夜はなんとなく…ナイトクラブとかのやつなんじゃないかって、実は思ってて…」
「本人の口からはどう聞いてた?介護?」
「うん」
「ジイちゃんの予想はあながち……ハズレじゃない」
「…やっぱりか…。
 俺がもう少し聞いてやればよかったなぁ……。透花が働いているのはもしかすると、裁判費用かなとか…」
「あー、わからないけど多分そこは違そうですよ、俺が聞いた感覚だと。ほら、朝話してくれましたよね?
 あながち透花さんもわかっていて、でも…時効だとかも…多分わかってた。
 すみません、俺実は警察じゃないんですよ」
「……あ!そっか、さっき聞いた!」
「あ、そうなの?」

 坂下にパッと見られたのでつい「はい、まぁここまで来たらと」と白状した。

「いやまぁそうだよね。
 あ、ジイさんそれなら話が早い。出来れば今日の強行突破…オフレコで…。
 とは言ってもまぁ、繋がっちゃうからなんともだけどねー…。でも、だからこそ透花さんにもジイさんにもハッキリ言えたのはあります。俺が警察だったら多分今頃隠蔽したと言いたいけど…。
 ジイさんもしかして、死亡届や手当は花村病院で受け取ってないですか?例えば、警察からっですよーって聞いて」
「そう、だけど…」
「……やっぱりか〜。
 多分だけどそれ、無期懲役裁判終わってないうちにだから、起訴で受理されてる可能性がありますね…。いずれにしても判決は出ていて終了、再審出来ない状況かと」
「……なんでっ!」
「その辺、説明難しくなるけど…俺からいい?」
「ん、ん〜……」
「まま、睡眠BGMくらいで。
 ざっと言うと、あの人からの話を擦り合わせると…良い噂ない…んですよね?花村病院って。
 ソッチでも、どうやら名前はあがったようです」
「うん多分な。ソッチでもか…」
「…んで、ここからショッキングだけど、大丈夫そう?」
「…わかった」
「息子さんね、多分ソッチで殺られてる…推測ね、推測」
「……え、」
「死亡手当が出てた……なら本来、金受けとったらなんというか認めたに近いんだよね」
「あ、それは透花さんはわかってた雰囲気出してたよ、昼送った時」
「…なるほど。
 まぁ、ここは探らせてくれなそうだったんですよね?」
「うん。まぁ、探れても…受理済みっつーことは、上手く書いてあるはずだし。
 多分透花さん、昼話した感じだけど…うっすら気付いちゃったかも」
「…え?」
「で、ひとまず。
 今の透花ちゃんの症状を説明すると、一過性の…急性薬物中毒。一服盛られたかもしんない。
 救急車で、診察券もない…花村病院を指定したんだ。そんな状態だと、例えばその後花村病院で…まぁ、亡くなったら。捜査してくれると思ったのかなぁって」

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