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「っははははは!やっべ、何これ『ヤクザ愛人、若い隣人を…』…謎キワモノ?」
江崎の声がした。
「てめぇ江崎っ!」
どうやら柏村隆太郎の意識が江崎に向かい、自然と舎弟の圧も弱くなる。
「うはっ、」
漸く身動きが取れた安慈は身を翻してドアへ振り向く、同じくスマホをこちらに向け、僅かに笑っている江崎がいた。
「…を、盗撮されているというオプション付きの…」
「…ぅう裏で、売っ…売って…っいい…?」
マジで笑ってやがるよこいつぅ。
「やめてくだ」
カシャッと音がしたので反射的に紀子から離れれば、江崎に銃を向けた柏村が「…てめえ江崎」と吠えている。
「…誰?お前」
江崎は「へいへい」とドアストッパーを掛けてしゃがみ…鮮やか…というか手慣れたように紀子を引っ張り出し無感情に外へ捨て「で?」と、柏村と対峙する。
青木紀子の奇声が聞こえる。
江崎はさっと、青木紀子に銃を向けた。
「白昼堂々団地でチャカ出すとか、教育がなってねぇし何?チンピラか猿かなんか?」
「はぁ!?てめぇナメてんじゃ」
「あーうっせぇな。シーだぞ、ここ響くからなマジで。全開だし。
おいお前。なんでここに来ちゃったんだ」
「……全部あんたにブーメランじゃね?それ」
「気付いてねーだろーけど「尾行してください」感出てたんだよ背中が」
「おい、俺のことは無視か」
「だーかーらぁ、まずは挨拶な?
まぁ、聞いても俺には猿の知り合いなんていねぇけど。親より先に自我を出すな自我を。だからお前んとこ内ゲバ終わんねーんだよ。
女も三流っつかなんだあのボロボロは。ぜってぇ打ってんだろ。てめえに人格はねぇよ柏村隆太郎」
「てめぇ…」
柏村がスライドを引き「忘れたとは言わ」せないらしい、江崎がバン、と青木紀子の方に撃ちつい「は…?」と一瞬力が抜けてしまったらしい。
外で、青木紀子の「キャアアア!」が響く。
「んなに撃ちてぇなら撃ってやるよ」
「…てめっ、誰のシマで」
「はぁ?ここ行政のもんですが何かぁ?
つーか貴様らに言われたくねぇんだよ、最初にシマ荒らしたのはそっちだろ。キメセクしすぎて脳筋溶けたんかゴリラ野郎」
足先でコツコツと合図をされ見ればまたカンカン。
起き上がり、江崎がドアストッパーを蹴り上げたタイミングで出れた、そして閉まったドアの向こうからバンバン、バンバンと聞こえる青木家…。
腰を抜かし震えていた青木紀子を見、「末期だな」となんの感情も感じられない低い声で言った江崎は次に安慈を一睨みし「で、なんで来た」と、普通の口調で言ってくる。
思い出した。
「あ、やべ、拳銃取られたんだった、」
「…バカなんかお前」
「いやまさかマトリってバレてるとは」
はぁ、と溜め息を吐いた江崎は先程の銃をポンと渡して来ては笑顔で「ガサ入れしちゃったんだよね?君」と圧を掛けてくる。
「………っえ、これ支給の…」
「そりゃそう、末期でも三下でもねぇから。
無駄話してないでなんか持ってくんなら持って来いよ、柏村が家ん中ひっくり返してる今しかないぞ。
まさか、命に変わるもんなんだろうな?」
「………っさー…せん」
「は?」
「いや、大丈夫かも…いや」
「早くしろ」
言われてしまえば仕方がない…あの人大丈夫かなとは思ったが、ドア越しに「あ、タマ?そっちはどう?俺はこのまま相手方に熨斗付けに行こうかと…」と聞こえた。
…なるほど、穏健派かなんかと和解でもしてるのか…。
急いで出ようと…焦るとどうも無駄な物まで突っ込んでしまうなと思いながらも出ていけば、丁度柏村とバッタリ会ったが江崎が銃を…あれ、支給のじゃないけど…出し、向ける。
「やりすぎだ、この外道が」
後ずさるのは気を抜かない。その瞬間、あ、こいつマジな方だと感じた。緊張感が違う。
目に見えて柏村が根負けしている。
「アイ フリ〜イ トゥビワッエベナーイ
ワネバナイ チュー エンダイル シン ザブルフ ア〜イ ウォ〜ン」
怖。
ボソッと英詞怖。
さっき聴いてた…ポップで、どこかで絶対聴いたことがある洋楽、なのにその眼光、そのオーラ、この状況…何この福山風味。
多分…。
なんとも思ってないんだ、マジで…。
ぱっと身を翻して走る。着いて行くしかないけどそれは…。
「セーーー ステアウェーーーェエイ!ステアウェーーーェエイ!ステアウェーーーェイ!」
「…それはニルヴァーナ!」
「正解!」
騒いで警察を呼ばせてしまえ作戦かな…確かにこれじゃ撃てないし見事に足付いてねぇわ、俺以外…。
「…負けました」
「当たり前だ、ヤクザナメんな」
あぁ、ついに言っちゃったなこの人自分で。ずっと言わんかったから言及しなかったのに。
「わかってると思うが、状況は良くない」
「…ですね」
「本人に刺激を与えるのは避けた方が良いとアドバイスしとく。顔見知りなんかを置いとくのがいいだろう。
こっちはこっちで走るから、そっちは頼んだぞ。えー…っと、そうだな…誰が残ってたっけなこっち…わりとこの件で出払ってるからな…。
転院は最悪、平良と一緒にいるやつに従ってくれ海…なんとか!」
「海江田安慈!」
わかんねぇ!と言いながら彼は颯爽と、やってきた日本車に乗り去って行った。
まぁ、確かにその方がいいんだろう…。久々にヒヤヒヤした…。
あそっか。
落としたやつ使いやがったのかあいつ…江崎新。納得だ、ぜってぇ忘れねぇ…どっか頭の隅に閉まっておこう。
兎に角と、坂下と平良に連絡をした。
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