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「いいねぇ、あんまりなさそうだしやってみたいかも、採用!」
「わ、やったぁ…」
「さて弟子よ…一品料理どーくるかね…?」
「…小松菜きてるんで揚出し豆腐にオクラなんてどうでしょうか師匠…5本90…なんと、5円。5円安いです…今のうちかも…」
「…お目が高い!
あ!透花流お出汁、やってみたのよ、好評だった!オクラなら冷やしでも使えるしね、それにする!
出たてのオクラは少し硬いのあるから細かくするの、確かにありだよ〜」
「お勉強になります、師匠」
叶実の剽軽さもあり、毎度有意義で楽しいのだ。
そうだシチューを作るんだった、とルーを探しに行く最中、調味料付近でキョロキョロする…アフリカ系の外国人さんが店員さんを前にしもどかしそうに何かを説明していた。
透花と目が合った瞬間、透花は「叶実さん、少しすみません」と言いそちらへ近付き「Speak in English…?」と、出来るだけ明るく感じるように聞いてみた。
「ア、ハイ少し話せるヨ、アン…Japanese…… difficult、」
「Are you OK…I get you.えーっと…What are you looking…」
「Spice!For Spice!あの〜カリーに使う、Turmeric、」
「あー!Have a look at next…」
指で弧を描き“隣の棚!”とやるが外国人さんは「See、見タ見タ」と言うので「Middle、Center、In the back」とまた弧を描けば「Oh,真ン中、見テミルネ〜!センキュー、アリガト」と笑顔で掌を合わせたので「OK!」と親指を立てれば「ナマステ〜」とニコニコで隣の棚に移動して行った。
「あ、ありがとうございます…」
「あ、いえいえ!ちょっと…伝わってるといいなって感じで…」
「透花ちゃん凄いね…全然わからなかった…」
カートを押して来る叶実に「あ、いやターメリックが欲しいってのはわかったので…上の看板見て…あっちはルーだったよな〜、確かその隣にあった気がするって勘で答えちゃいました…」と店員さんにも告げておく。
「あ、確かにそうかも…?あれ、手前だったかな…」
「あ、僕丁度…シチューのルーを見るので」
「あ、シチューは確かに手前です…あれ、もしかするとパスタの方…?あ、でもターメリック、ですね、わからなかった…助かりました、ありがとうございますね!」
店員さんは業務に戻っていく。
「じゃ、行こっか!」
叶実と2人で隣の棚に行けば、じっくりと眺めている彼がいた。
よかった、伝わったな…と思えば気付いたらしい、「Oh!アッタヨ、センキューネ〜!」と抱きついてきたので「良かったです〜」と挨拶をした。
「ワタシの店、すぐそこ!また来テネ!」と去って行く彼を背に、本当によかったなぁ…と思う。またって、一回も行ったことはないけど日本語の方が難しいとは、言ってたし…。
「ふふ、あの人ニコニコ。よかったね」
「今回は自分から行ったはいいけど…僕、英語少ししか出来ないんですよね…英語がわかる方でよかったし…」
「まぁ、なんとなーく伝われば…ね?私なんか全然初っ端からわからなかったし…やっぱり聞かれたりするの?」
「彼、目会った瞬間多分…ね…。ホンモノさんが来ると結構キツイ時、あります…インザバックバックバックバックみたいな…ちゃんと勉強してみようかな…」
「ははは…多分だけど隣の隣の隣のみたいなことかな…?英語勉強良いかもね」
「あとは言葉に気を付けないと…僕多分失礼なスラングばかり教え……」
あれ。
なんだっけ、誰かから教わった…んだと思うけどそれって…。
ポケッとしてしまった。
「ん?何かあったー?」と聞いてくる叶実に「いや、なんでもないです…」と答え、買い物を済ませる。
会計を終え袋詰めをしている際ふと、スーパーの求人が見えつい「叶実さん」と聞いてみた。
「これって、どうやってやるんですかね?」
「あ、ホントだ求人…」
ふっと叶実は下を見、「多分これにあるんじゃないかなぁ…?」と冊子を取ってくれた。
「…もしくはお電話で聞いてみるとか…。
透花ちゃん、バイトしたいの?」
「あ、はい…先生やアンジさんに聞いてみなきゃですけど…」
そう話していると、たまたま先程の店員さんが遠慮がちに近付いて来ては「基本的にお電話を頂ければ必要なものとか…履歴書と身分証と通帳番号くらいですけどね」と軽く答えて去って行ってしまった。
「…やっぱり、さっきので?」
店を出る。
「いや、そういう感じではないんですが…なんというか、お金は少しでもあれば助かるだろうし…損はないじゃないですか?」
「まぁ、そうだね。いいと思うよ?
確かに、いきなりは海江田くん、卒倒しちゃうかもしれないね?」
「えっ、そうかな…?」
「うーん、詳しくは聞いてないけどなんとなく、心配なのかもしれないなって感じるのはわかるかも。透花ちゃん無理しそうというか」
「あっ、確かによく「無理はしないで」って…僕はなんというかそれが歯痒くて…何かしないとって…」
「海江田くんもやりたい事なら応援はしてくれそうだけどさ、透花ちゃん、向いてそうだし。でも要相談かもね?寂しいかもよ?」
「…そうなんでしょうかね…」
最近気を遣わせている気がしてなんだかモヤモヤしている。安慈は安慈の人生があるわけで、それに少し、お邪魔させてもらっているだけなのだから…。
「…ま、上手くいったら安売りの時教えて!」
「あ、そうですね」
明るく言った叶実は「海江田くんも透花ちゃんも大人だから、まぁ上手くやれると思うよー」と添えてくれる。
…大人だから、なんだけれども。
「頑張ってね、まずはロールキャベツ!」
「はい…」
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