4
間があり、あ、自分が聞かれたのかと気付くも「えっと…」思い付かないけどそういえばと「楓」とポロッと出た。
「あら」
「すっげー世代っすね」
「わかる良い唄」
と言いながら「アコギー、」とあまちゃんが前髪さんに言い「はいー」と、大きいギターを渡されている。
金具みたいなものをくりくりとし「あれキーなんだっけまぁいいか」と言いながらちゃらーんとやればカンカンカン…と、階段を上る音がし「お待たせしましたっ!」と来たのは慧だった。
「あっ、透花ちゃん!」
「やっほーサトちゃん。楓のキー合わしてー」
「えっ」
「…サトちゃん世代じゃないんじゃ…?俺と同い年でしたよね」
前髪さんがそう慧に言うが「あ、いえわかりますよー、あとゲンさんの方が少し上ですー」と、あまちゃんからギターを受け取りちゃらーん、くる、ちゃらーんとやって「はい」と渡した。
「透花ちゃん、久しぶり。元気そうだね」
「あ、お久しぶりです、あの」
慧に礼を言おうとしたが「リクエストやるー」と、さっきまでふにゃふにゃだったあまちゃんがキリッとした表情でギターを弾き始めた。
綺麗な音…。
「わーすーれはーぁ しぃーなーいよーぉ」
バンドさんってみんなこうなのかな…と眺めていればいつの間にか聴き入ってしまいつい「さよーーなーーーらーー」とふと上を向いたあまちゃんにハッと、これが感動か…とじんわりした一番から急に「まーぁ、それっでいーやぁ」と…いつの間にか聴いたことがない曲に変わりまたハッとする。
「おー…」
慧が感嘆を洩らす。
あまちゃんの澄んだ歌声に切なさを感じた。唄ではどうやら舌足らずさがない。
あまちゃんがさっきのギターを指さすと「あー…」と慧がそれを構え、あまちゃんの唄が終わり切れ目なく自然にチャラチャラ弾き始め…やはり、顔付きがキリッとな………長い、唄わないのかな…。
「楓、楓」とあまちゃんが合いの手で言えば「さーがぁしてー」と…知っている楓よりも高い声で唄い始めたけれど「ごめんなさーい!」と、止めてしまった。
「ギターのキーは合ってたよ、サトちゃん」
「声が高いだけで」
「いやどちらかと言うと…最近めっきりレフトだったんでわけわかんなくなっちゃった」
「……慧可愛いよ」
ポソッと波瀬が呟き、「終わったよー」と猫背さんが言った。
「ん、終わったらしい、サトちゃん」
「お役御免ですかね?」
「どうせなら練習してけば?」
「いや右手痛ーい…押さえないとこうも皮が薄く…」
慧が皆に手を見せ「マジで?」「血出てない?」「青くない?」とガヤガヤ始まる…。
血!?
「あーあー、下に薬あるよ」
ちらっと透花も覗けばホントだ!大変だサトイさんの指切れているかも!と「大丈夫なんですか!?」とつい前のめってしまった。
「あー大丈夫だよ、俺が右手サボって」
「…てんし、いい声」
あまちゃんがふとそう言ったが、慧はすっと肩に手をあて困った笑顔で「アマザキさん、」と宥めるように首を振る。
それを見た一同が「ま、サトちゃんアロンアルファしてきなー」と…まるで取り繕う空気…。
なんとなく、自分のこと…慧は透花の声が出なくなったのを知っている…だからだろうかと感じたので「二人とも素敵でした」と笑っておいた。
「楽しそうで素敵で…いいですね。ありがとうございました」
「…透花ちゃん」
「トーカちゃん、か。聴いてくれてありがと。
フミト、ゲンちゃん、ナトリ……サトイ。思いついた、ソネさん連れて天使ツアーやらん?
俺今から曲作る。ありがとトーカちゃん、アイディア貰った」
「えっ」
「えー、ツアー予定入ってんじゃん」
「俺には天使が舞い降りたんさ。間髪入れずやる。ソネさんには俺がアポ取る」
「ウチは暫くうるさくなりますかねぇ…」
「あ!薬屋!羽グッズ作ってすぐ!後で音源送る!作ったら!」
「マジっすか」
「いやでも?なんというか天使より蝶が浮かんで」
「畏まりました取り敢えず透花ちゃんと慧を下に連れ帰ります、ハイ」
そう言った波瀬はささっと慧と透花の肩を掴み「逃げるぞ」と一緒に外に出た。
「……波瀬さん、透花ちゃん連れて来たの?あと下CLOSEだったからこっちからしか」
「あーごめんごめん、知らなかったんだよ慧が来るの」
「まぁ確かに急な呼び出しだった…ビックリしたよフミトさんなんだもん…」
「さっき言っといた。あんた目ぇ超怖いからって。じーっと透花ちゃん狙っててさ…」
「……それ保護者にバレたらあの人逮捕されそうだよね…。
透花ちゃんごめんね、このサイコパスが連れ回して」
「おい」
「あ、いえ!本当になんか…良い曲でした。
僕昨日、丁度アンジさんと楓の…ライブ?の動画を見て…」
「うわぁ優雅」
「な休日…何?あの人も病んでんの?」
「いえ…二人で泣きました」
「優雅!?」と二人顔を合わせている。
確かにゆったり過ごしたけど…。
「あ、てか来るんだっけ、海江田さん」
「あ、」
時計を見る…これ何時なんだ…3の位置?
「あっ!」
「え、」
「な、何!?」
「もうすぐタイムセールと…割引前の時間なんで来るはずです!」
「あ、」
「お買い物かな?
アラタさんも好きなんだよね割引の時間…」
「え、意外。じゃあお開き…慧はきっとじゃああの人が来るね。
透花ちゃん、待ち合わせはウチなの?送る?」
「波瀬さんのお店です」
「待ってればどっちも来るか…」
店に入り、慧が指に薬と絆創膏を付けている間に「ごめん波瀬くん…」と安慈がやって来て慧に気付き「あ、どうも」と言った。
「……上、テナント入ったの?」
「あぁ、はい。ライブハウス状態です、今」
- 39 -
*前次#
ページ: