さんななみ

今日、重大な発表がある。


「ななみーーーーー!!!!!!!!!」ガラガラガシャーーーン!

そう…それは、


「七海ーーー!みてみてみてみて超みて!!超見て!!!見て!!!!!!!!!」
「…はい、お早う御座います。」
「あ!!!うん!おはよ!今日も愛してる!そして見て!!」

何ですか、煩いですね。なんて本から視線を外さない七海に
おい小説テメェ紙の分際で〜〜〜〜って小説睨みながら七海の机の前で反復横跳びしてたらやっと顔を上げてくれて。
ふふん、勝ったぜ。

パタンって閉じられる本、なんなんですか?ってしかめっ面で顔を上げた七海の前でわたしは悩殺ばきゅーーんなポーズで、
「制服、新しくしたの…うふん」ちゅぅと投げキッス。ぱちーーんって、今日の為に植え付けて来たまつエクのキラキラおめめで七海を見つめた。よし。かんぺき。


そう。重大発表とは、制服を新しくしたのだ!以上!


今までは入学して支給されたふつーーーーの、なんか、なにこれ?って感じのダサーい奴だったしスカート何か地味に長いしめちゃくちゃ折ってJKのステータスはスカートの短さじゃぁ!!なんて超ミニにしてたんだけど。

この度、要望していた制服カスタマイズが終わりましてやっと手元に届いたのだ!!

嬉しくてつい、今朝支給されたのをトイレで着替えて来た。

「どう!?どう七海??可愛い?可愛くない?わたし最高に可愛いと思うんだけど!どうかなぁ?」

ばきゅーーん、ずきゅーーーんって、色んなせくしぃ〜なポーズで七海を誘惑してみる。
ちゃんと律義に見てくれる所が流石七海だ。すき。あいしてる。

「…私綺麗?などと宣う都市伝説の女が居ましたね。とても既視感を感じます。」
「いや口裂けちゃった系女子じゃないんだわ。ななみんもジョークとか言っちゃう口なんだね?ちゅーする?」

は? みたいな顔で睨まれたけど。眉間の皺の深さはわたしへの愛の深さだと思ってるよ!やだ相思相愛じゃん…。すき…。


「やっぱさぁ〜、治療系って言ったらナースだよねぇ…、って事で。ナース服イメージで作ってもらったの!ポイントはココのスリットね!見て…ほら、えっちでしょ…?うふん、あはん」


わたしってば主に治癒要員だから、っぱナースっしょ!って感じで作ってもらった新しい制服。

もうめっちゃミニスカートにして貰って、左太ももアタリにスリットを入れて貰ったんだ〜〜!
超パンツ見えちゃうよ〜〜?
そして白衣!!
制服が真っ黒だから白衣の天使にならねば!って、白衣は自前で持ってきた。ナイスわたし。

超絶ミニからの白衣の長い裾がまたえろい。気がする。

んで仕上げにちょーっと肌が透けちゃうデニールのサイハイだ。ばっちりすぎる。これで七海を悩殺するしかない。

「…どう?七海…?半分白衣の天使だょ?そそる???そそり勃つ…っぶへぁ??!」

「ちょっと、黙 っ て も ら っ て い い で す か ?」
「…あ”い”…ごべな”ざい”…」

「おはよ〜って、どうしたの二人とも?」

なにしてんの〜?変顔大会?
とかほざく灰原。

わたしを熱い(ゴミを見る様な、とも言う)視線で見下ろしてくる七海。

顔面を鷲掴まれてちょっと地から足が浮いてるわたし。


そうか。下ネタは七海の地雷だったわ。いっけねペロン☆

とりあえず新しい制服のお披露目は手応えありだ。(物理的にな)























午後、3人しか居ない教室で仲良く机くっつけてご飯をたべる。
超青春してる。3人しか居ないけど。



「前々から言おうと思ってたんですが、」
「なに?七海結婚する?わたしと?」
「お?ついに?じゃあ僕仲人するね〜」
「なんだよ灰原ぁ!わかってんじゃねーか!よっし!今日付で君をわたしの仲人に任命する。有難く励め」
「ははーぁ、有難き任命心して勤め上げますでございます所存です!」
「うむ、心してかかれ?」
「茶番はもう良いですか?」

エホン、と咳払い一つして七海が身を正すみたいに座りなおすから
いや、え?まじで?告られる?このタイミングで??

「まだ修行中と言っても良い立場であれど、私共は呪術師という立場であり。呪霊との戦闘は免れない事実です。ですが何ですか貴女は。そんなふざけた身なりで前線へ出るんですか?女性としての恥じらいの欠片も無い…、なんて下品な。美容だの身なりだの気にしてばかりではありませんか。品性の欠片も無いただの馬「すとーーーっぷ、七海〜、はい、そこまで。ね?」…ハァ、」

すみません、少々口が過ぎましたね。

そう言って七海はわたしをちらっと見てからお昼ご飯を再開した。

「全く〜〜七海は硬いなぁ〜!ね?禰寝ちゃん?」

ちょっと空気がずどーーんってした教室に灰原の元気な声がやけに響いた。








そんなの、知ってるよ。





わたしたち術師は、


顔も、声も、知らないヒトから生み出された怨念にころされちゃう。ことだってあるんだよ。





シン、と静かになっちゃった教室で
灰原がちょっとオロオロしてるのがなんだかおもしろい。


「七海、あのね、わたしね」








ふつうの、おんなのこになりたかったんだ。







あ、七海の見たことない表情だ。


ゴク…、と誰かが鳴らした喉の音が聞こえた。



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