12 待って無理

■ ■ ■

「ねえ、心央。どうしたの? 急にこんなところに呼び出したりして」

 心底不思議そうに目の前の彼女は尋ねた。いつもと同じように、人好きのするような笑みを浮かべながら自分を見る。
 自分は何も言わず、ちらつく街灯の点滅を目の端に捕えながらベンチに腰かけていた。

 現在、夜の10時過ぎ。自分は近所の公園に親友を呼び出していた。
 『今から来れる?』とだけ打ったのだが彼女は快諾、今に至る。この公園は住宅街の中にあるということもあってか昼間は意外と人が多かったりもするのだが、流石にこの時間帯にもなると誰もいないようだ。乗り手の居ない遊具が何とも寂しげに佇んでいる。

「ってか話するなら電話かLINEでいいじゃん」
「ごめんね。ちょっと……これは直接話したかったから」

 自分はそう言ってベンチから立ち上がり、彼女の横を通りすぎるようにゆったりと足を進める。その後をついていくように彼女もゆっくりと歩いた。

「――ってさ」

 ふと足を止めて、振り返らずに親友の名前を呼ぶ。

「イケメンが好きだっていう割には、最初の一回以来ポアロに全然来ないよね」
「ちょ、わざわざ呼び出したのってそれ言うため?!」

 嘘でしょとでも言いたげに彼女は笑う。ぶは、とそれこそ噴き出すように。

「そりゃ私だって安室さん拝みに行きたいけどさー、ここんところ仕事が忙しくてなかなか……」
「本当に?」
「え?」

 自分はくるりと振り返る。彼女はあまり表情を変えていないようだ。自分は慎重に口を開く。

「本当に仕事なの?」
「いや、そうだけど……ってさっきから何の話?」
「そっか。自分てっきり――」

 彼女の目を逸らさずに言う。

「自分のことを見張るのに忙しいのかと思ってた」

 その瞬間、わかりやすく彼女の顔から表情が消えた。
 ざあっと風が吹く。公園に植えられていた木々の影が街灯をちらつかせて、地面に独特の模様が生まれては消えていく。少し風が止んだのを見計らうように、彼女は言った。

「……何が言いたいの、心央」

 その声色は先ほどとは想像もつかないほど冷たい。表情を変えず、真っすぐ自分の目を見つめたまま、彼女は問いかけてくる。

「それは、あなたが一番よくわかっているのではないですか?」
「!」

 友人は自分の背後から現れた安室さんを見て一瞬身を固くする。安室さんは自分より一歩前に出て、まるで彼女と自分の間に立つようにして足を止めた。

「あなたは確か、ポアロの」
「はい。心央さんに雇われた探偵です」

 にっこりと音がしそうなほど綺麗に安室さんは微笑む。だが彼女に向けられた視線は冷ややかだ。

「貴方をずっと探していたんですよ……ストーカーさん」

 急にストーカーと呼ばれた親友は面食らったような表情を浮かべている。自分はふたりのやりとりを黙って見つめるばかりだった。

「私が、心央のストーカー?」
「ええ。でも事実ですよね」

 安室さんの笑みは崩れない。そして彼は自身に満ちた佇まいのまま、己の推理を披露し始めた。

「きっかけは、彼女……心央さんの話をきいてからです。なんでも、心央さんが雇った探偵の名を、彼女が言うよりも先にあなたが言い当てたそうじゃないですか。その時は推理だと言って誤魔化したようですが……そんなもの、あなたには必要ありませんよね。……なぜなら、あなたは初めから知っていたのだから」

 得意げに細めた瞳が蒼く光る。

「心央さんの携帯に仕組んだ、ハッキングアプリを利用してね」
「……ハッキングアプリ?」

 彼女は何も知りませんとでも言いたげに安室さんの言葉をただ反芻する。その表情にはわずかな焦りも見えない。彼は静かに続けた。

「ええ。アプリが入っていることに気が付いたのは、今日送られてきた1枚の写真です。その写真は他の写真と明らかに違う点が2つありました。ひとつは彼女の部屋の中で撮られたものであるという点。もうひとつが、明らかに不自然なアングルから撮影されているという点です」

 安室さんはひらりと1枚の写真を取り出した。たった今話題に上がった例の写真だ。

「この写真では彼女のすぐ近く……距離にして50センチも無いような地点から、少しあおり気味に撮影されています。これはどう考えても不自然です。彼女の部屋の中というプライベートスペースで、この距離から、気付かれること無く、見上げるように撮影する……なんて、現実的に考えて不可能と言ってもいい」

 彼は写真をしまい、不意に右手の人差し指をすっと立てた。

「そこでまず考えたのが、彼女の部屋に監視カメラが設置されているという説。ですがこれは彼女によってすぐに否定されました。背景から考えるに、撮られたのは普段作業をするローテーブルの上から撮影されている。でも彼女の部屋に、カメラが仕掛けられそうなものは無いというのです」

 ざわざわと風で木々が揺れる音ばかりが辺りを支配する。その静けさが、余計にこの場の緊張感を助長させるようだった。

「その返答を聞いた僕はふと、こう尋ねました。『心央さん、使っている携帯の充電器はスタンドタイプのものですか』とね。すると彼女は頷いてこう続けました。『はい。充電するときはこのローテーブルの上にいつも置いているんです』と」

 彼女の表情は動かない。ただ黙って安室さんの推理に耳を傾けているようだった。安室さんは両方の手をポケットに入れて、話を続ける。

「その言葉で僕は確信しました。この携帯はストーカーにハッキングされており、それを利用してこの写真は撮られたものだ、とね。それから僕はすぐにこの携帯をpcで解析しました。するとやはり、携帯のほうからでは確認することのできないタイプのハッキングアプリがインストールされていたんです」

 そこまで聞くと、彼女は不意にははあ、と合点がいったような表情を見せた。

「なるほど、貴方が言いたいことが大体わかりました。つまり、それを仕掛けたのが私だと言いたいんですね? その為にここへ呼び出したと」

 でも、と彼女は目を細める。

「安室さん。それを私がやったという決定的な証拠はあるんですか? それを見せていただかない事には、私は納得できないんですけど」
「証拠、ですか」

 初めからこの手の質問が来るだろうと読んでいた安室さんは、フッと息を吐くように笑う。

「実はこのアプリに、ある仕掛けを作らせていただきました」
「……仕掛け、ですって?」

 彼女は小さく眉をひそめる。恐らく彼女の想定外のことが起こったためだろう。だが安室さんは気にせず続けた。

「はい。その仕掛けはこうです。『アプリをインストールさせられた携帯の"呼び出しボタン"をタップすると、監視している端末を辿って音を鳴らす』」
「!」

 安室さんは見せつけるようにポケットから携帯を取り出した。それは自分の物で、画面にはボタンのようなものが表示されている。

「おや、こんなところに心央さんの携帯が」

 その場違いなほど呑気な口調を聞いて、明らかに彼女の表情が焦りに歪んだ。その瞬間を彼は見逃さない。

「――さて、そろそろはっきりさせましょうか。このアプリを仕掛けた犯人が誰なのか」

 彼女がそれを取り上げようと動くよりも前に、安室さんが画面を素早くタップする。その瞬間、コンマ0秒もしないうちにどこからともなく音が鳴り始めた。

 その音の発信元は――安室さんが言い当てた通り、彼女である。
 安室さんは小さく断ってから、彼女の鞄の中に入っていた携帯をするりと取り上げ、画面をこちらに向けた。真っ赤な画面に映し出される、『犯人はコイツだ』の文字。

「決まり、ですね」

 安室さんは静かに言って彼女の手に携帯を戻す。彼女は顔を引きつらせて固まっていたが、やがて観念したようにくたりと項垂れてしまった。

「あーあ、……バレちゃったか」

 そう呟いた彼女の声はあまりにも投げやりで、あまりにも自嘲的で。
 そんな彼女の姿を見るのが初めてだった自分は問いかけずにはいられなかった。

「なんで、こんなことを」
「なんで? ……やっぱり、気づいてなかったんだ。まあそれを狙ったのは、私なんだけど……」

 軽く馬鹿にするような表情を浮かべつつ、彼女は自分に言う。

「私ね、心央のことが好きなの。大学で会った時からずっとね」

 ぽつりと、彼女は言った。泣き笑いのような表情を浮かべて。
 え、という驚きの言葉を漏らす暇もなく彼女は話を続ける。

「きっかけは……大学で友達を作ろうと思っても声を掛けることが出来なくて、尻込みしていた私に声を掛けてくれたのがそうかな。あの時は、本当にうれしかった」

 まるで遠くを見るかのように視線をこちらに向けずに話す。その瞳に何が映っているのかは、こちらから知ることはできない。

「それから私たちは徐々に仲を深めていった。勉強も遊びも、いつだって一緒で……それで気づいたら、好きになってたの。女の子を好きになるなんて思ってもいなかったから、初めは正直とても戸惑った。この感情は間違ってるんじゃないかって。でもね、その内そんなものどうでもいいって思えてきたの。私は心央が好き。心央もきっと、形が違えど私が好き。そうだ、それでいいって」

 でも、と彼女は言葉を切る。

「心央は、あなたに出会ってしまった」

 彼女の表情がわずかに歪む。自分は背筋に何か冷たいものが走るのを感じた。

「あの日……初めてポアロに行った日。心央はあなたを見た途端、ぼろぼろと泣き始めた。そんな心央を見るのは、親友の私でも初めてだったのに。あなたは、初めて会ったにもかかわらず、いとも簡単に、心央の、知らない一面を、私ですら知らない一面を、……」

 徐々に彼女の話すテンポが不規則になる。ざわざわと木々が風に揺れて、まるで何か恐ろしいことが起こるのを予知して知らせているかのようだった。

「それから心央はすっかり変わってしまった。ほとんど毎日ポアロに通うようになってしまったの。あなたを見るために。あんなに男に興味がなかった心央が、あんな喫茶店のアルバイト店員なんかに。……それが私、一番許せなかった。心央の1番は私のはずだったのに、って」

 ちらりと視線だけで安室さんを見上げる。彼は先ほどまでの笑みを消し、真剣な表情で彼女の話を聞いているようだった。

「初めは少し困らせてやるだけのつもりだった。無言電話やメールで揺さぶってやれば、きっと1番に私に相談してくれる。私を頼ってくれるって。案の定心央は一番に私に相談してきた。あの時は本当に、心が満たされていくようだったなあ。ほら、やっぱり心央の1番は私なんだって、あの男なんかより私は心央にとって心の近い位置にいるんだって、そう再認識できた」

 ざあっと、ひと際強い風が吹いて、木の葉がぶわりと宙を舞う。

「でも、私は見てしまった。……数日前の夜、あなたがポアロのカウンター越しに心央とふたりきりで話しているのを」

 彼女の視線が安室さんに向けられる。その瞳は今まで一度たりとも見たことが無いような、鋭いものだった。

「それを見た瞬間、正直目を疑った。疲れからくる幻覚なんじゃないかってすら思った。でもいくら目をこすってみても、幻は晴れてくれない。どんなに腕をつねってみても、痛みがこれが現実だと訴えてくる。……私、知らなかった。心央がまさか、私の知らないうちに、あの男とあんなに親しくなっていたなんて。なんで、どうしてって、そればっかりで」

 それで、わかったの。彼女は言う。
 彼女の雰囲気が少しずつ変わっていくのが、少し離れていた自分にもよくわかった。

「そうだ、またあの時みたいに心央を怖がらせてやればいい。そうすればまたきっと、私の所に戻って来る、って」

 彼女は微笑む。いつもの人懐こい笑みとは違う、狂気性を秘めた笑みだ。

「そう決めてから私の行動は早かった。急いで携帯に入ってる心央の写真を数十枚プリントアウトして、封筒に詰めて、心央の家のポストに先回りして投函した。もちろん、後から面倒なことにならないように私の指紋は綺麗にふき取ってね。きっとこれでまた、心央は私に一番に相談してくれる。私が心央の1番になれる。……そう思っていたのに」

 彼女の手がぐっと握りこめられる。

「心央が頼ったのは、あなただった。私ではなくて、あなただった。よりにもよって……!」

 徐々に語気が荒くなる。まるで決壊する寸前のダムのように、強い感情が溢れだす。思わず自分は一歩後ずさった。

「どうして! どうしてそいつの所に行ってしまうの!? 私が、私が一番だったはずなのに! どうして!?」

 大声で彼女は喚く。そのあまりの変わりように、自分は思わず恐怖を感じて身を固くした。
 まさかこの子が、こんな感情を秘めていたなんて。どうして自分は今まで気が付かなかったのだろう。

「心央さん」

 小声で安室さんがこちらを見ずに話しかけてくる。ちらりと見上げるが背中越しで表情は見えない。

「僕の後ろに居れば、大丈夫です。ですから、絶対にそこから動かないでくださいね」

 返事をしようとしたら彼女の鞄がどさりと落ちる音がした。まさかと思えば、その手には仕事で使っているカッターナイフが握られている。まるで親の仇でも見るような目で安室さんを思い切り睨みつけていた。

「お前さえいなければ……」

 その低く冷え切った声に、思わずヒッと小さく悲鳴が漏れる。安室さんはさっと手を伸ばして、自分が彼よりも前に出ないように制した。その小さな仕草に思わずちょっとときめいちゃったりするが、今はそんな場合ではない。

 次の瞬間、彼女はカッターナイフを手に安室さんへ向かって駆け出していった。だがふたりにはあまりにも体格差がありすぎたようだ。
 安室さんは彼女の突進をひらりと躱したかと思うと、素早くその手からカッターナイフを取り上げ、あれよあれよと確保してしまった。身動きの取れなくなってしまった彼女はぐうっと悔しそうに顔を歪ませる。

「心央さん。今のうちに、警察警察」
「あ、はい……!」

 どこから取り出したのか、結束バンドで軽く拘束している間に警察が到着し、彼女は連行されていった。警察沙汰になってしまったということで色々と事情聴取やらなんやらをしなければならないらしいが、今日は夜も遅いということで後日でいいらしい。

 それにしても、ようやくこれで終わったんだ。自分はほっとしたように息を吐く。

「なんとか、上手くいってよかったです」

 隣に立っていた安室さんが静かに言う。ええ、そうですねと自分は肯定した。そして自分は改めて向き直り、頭を下げた。

「今回は本当に、ありがとうございました、何から何までお世話になってしまって……」
「いえ、いいんです。自ら捜査を申し出たのは僕の方ですから」

 彼は胸のあたりで手を振るようにして謙遜する。ううん、そんな仕草も可愛いなあ。なんて思っていると、自分はある重要なことを思い出した。

「あ、そうだ。依頼料っていくらくらいなんですか?」

 依頼を引き受けてくれると言った割には、そういった話は一切していない。探偵の依頼料の相場っていくらくらいなんだろう。あんまり高額じゃないといいけどなあ。そんなことを考えていると、安室さんはああ、と思い出したかのように言った。

「今回は依頼料はお支払いしなくても大丈夫ですよ」
「え?」
「元はと言えば、彼女の動機は僕だったようですし……ある意味、僕が居なければこの事件は起きなかったわけですから」

 少し申し訳なさそうに安室さんは言う。その顔を見るなり自分は思わず言ってしまった。

「駄目ですよ!」

 自分にしては大きな声が出てしまったせいか、安室さんが目を丸くしている。自分は声のボリュームを普通に戻しつつ、続けた。

「やってくれたことに対して、こちらがきちんとお金を払うのは当然のことです。あの子の動機がどうだとかは、この際関係ありませんよ。安室さんはしっかり働いてくれました。なので、代金はこちらがしっかり支払います」

 してくれたことに対してお金をきちんと払うのは大切なことだってことくらい、オタクなら重々承知している。安室さんはきちんと働いてくれた。ならば賃金を払うのは当然のことだ。
 依頼料という形で合法的にあなたに課金させてください……というのが本音だったわけだが、まあこれはこの際いいとしよう。

 自分の言葉を聞いて安室さんはふむと小さく考え込むような様子を見せる。

「では、こうするのはどうでしょう」

 そして彼はひとつの提案を自分に告げる。

「僕と友達になってくれませんか?」

 思わず耳を疑った。
 その証拠に、反応がたっぷり3秒ほど遅れてしまった。

「……友達、ですか?」
「はい」
「それまた……なんで急に」

 心からの疑問を口にする。すると彼は何の躊躇いもなくこう言った。

「僕が心央さんと友達になりたいから……ではいけませんか?」

 この人 今なんて?

 自分と友達になりたい? 安室さんが?
 トリプルフェイスで世界中の女子をキャーキャー言わせてる100億の男が? 自分と? 友達に?
 ……この世の終わりか?

 内心混乱は収まらないが、安室さんは本気らしい。恐る恐る質問を重ねる。

「それで代金が払われたのと同義になるんですか?」
「はいもちろん」
「本当にそれでいいんですか?」
「ええ」
「自分、何もできませんよ?」
「いいんですよ。別に何かを求めて友達になるわけではありませんから」

 その他にいくつか質問をしたが、彼の意志は揺らがないようだ。
 数分後、自分は何とも言えない表情になりながら渋々言った。

「……安室さんが、それでいいのなら」
「決まりですね」

 彼はにっこり微笑んで、早速連絡先交換しましょうと携帯を取り出す。その言葉に自分は思わず首を傾げる。

「連絡先ならこの間交換したんじゃ」

 この仕事を依頼することになったその日に、連絡先は交換していたのだ。あの時も随分小躍りしたが……。すると安室さんはああ、と思い出したかのように言った。

「僕携帯2台持ってるんですよ。仕事用とプライベート用で。だから今度はプライベート用の方を交換したくて」

 プ ラ イ ベ ー ト 用

 さらりと口から飛び出したその言葉のインパクトが強すぎて、自分は思わず目を丸くしたまま固まる。マジで? マジでプライベートの番号教えてくれるんですか安室さん?? 自分なんかに? 本当にいいの?? 後悔しない??
 だがそんな自分を他所に、安室さんはニコニコ笑いながら平然と携帯を差し出した。うわマジだ、探偵の仕事をしてる時に持ってたのと違うやつだ。

 そしてあれよあれよと番号を電話帳に登録させられ、LINEのお友達になった。現実を受け止められないまま画面をまじまじと見ていると、安室さんはくすりと笑う。そしてもう夜も遅いのでと自分を部屋の前まで送ってくれた。車内で何を話したかは正直ほとんど覚えていない。

「それでは、また連絡しますね」

 そう言って安室さんは去っていった。
 部屋に入り鍵をかけた途端、自分は思わずドアを背にしたままずるりと座り込んでしまった。ストーカーの正体を突き止め、確保しただけでも十分刺激的な1日だったのに、最後の数十分で完全に上書きされてしまった。

 携帯の電源を入れ、電話帳を開く。
 何度確認しても、連絡先の欄には『安室透』と並んで『安室透(プライベート用)』の文字がある。

「急展開だなオイ……」

 凡人モブ夢だと思っていたのだが、まさかこんなことになるなんて……。
 自分は信じられない思いで、携帯の画面を見つめたまましばらくその場に座り込んでいた。
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