04

荒い呼吸がニアの限界を訴えてくる。おれはニアの唇を指でなぞり、微かに笑んだ。

「あーあー……顔が真っ赤だ。可哀想に」
「そ、ッ……思うなら、ハァッ、はやく、楽にして……っ、も、脱ぎたい……」

涙の滲む瞳がすっかり従順になった頃。ニアは未だ手を出さないおれの腕に縋りながら泣き出しそうなのを堪えていた。別に泣きたきゃ泣けばいいのに、そういうところが好ましい。

「……気が乗らねェな」
「ッう、そだろ……なん……は、ァ……くっ……」

反抗的な眼差しから一転し、ニアの蕩けた視線は欲に素直だ。熱を発散させてくれる人間に対しての服従すら感じられる。はやく抱いてくれと強請るニアのなんと可愛らしいことか。

「……ニア」
「なに……っ、ドフィ……ごめんなさい……ごめ、ンっ……もお、許し……ほんとに、つらい」
「さっきまでの元気は何処へやっちまったんだ?ったくお前は見てて飽きねェよ」
「あ゙ッ、は、……ドフィ……ドフィ、触って、さわ……っ、ン」

薬も効いてきていよいよ苦しいだろうに、我慢できなくとも自分で身体を触らないというおれとの取り決めを破らないところを見るに、やはりおれの教育は間違っていなかったらしい。

「も、なんで……ッ〜〜どふぃ……」

いまにも泣き出しそうな顔がたまらねェ。
この時ばかりは、ニアはおれだけをまっすぐ見た。縋って甘えて強請れば欲しいものが手に入ることはすっかり身について覚えてしまっている。

「その気にさせてみな」
「……わか、った」

ニアはゆっくりした動きで身を起こし、半分朦朧としながらもおれの下半身へ手を伸ばした。おれはそれを上から眺めているばかり。
下着の中から取り出したそれを、指で軽く扱きながら。ニアは確かに、薄っすら笑った。

「……どふぃ、くちでさせて」
「ああ、構わねェよ」
「ん……ッん、んぅ」

真っ赤な舌が先端を擽るように舐めてくる。口を大きく開けっぱなしの顔はなんとも間抜けだが、これはこれでそそるものがあった。おれは奉仕させている間、ニアの耳を弄ぶ。僅かな刺激にも瞼をひくつかせて感じる姿を見ると気分がいい。

「ンッ、ん、ぅ……ふ、ん……っ」

口いっぱいに頬張って懸命に舌と顎を動かすニアが可愛らしくて仕方がない。ただ抱かれるためにそうしていることすら忘れ、目の前の大好物に食らいつく様はいっそ目の毒なほどだ。

「ふ、ッん……ん、ぅ、んっ」
「美味そうにしやがって……」
「んンっ♡……んっ♡ふ、ぁ♡」

おれの声を聞くなり肩を震わせて反応を見せる。快楽に従順なニアは言葉に滅法弱かった。そもそも、そういう教育を施してきたのでニアには精神的にマゾっ気がある。
屈伏し、従属するのが何よりも気持ちいいことのように思えているはずだ。命令されることや叱りつけられることが好きで、褒められれば尻尾を振って喜ぶ。

「フッ……上手くなった」
「……? ん、ん゙っ、んぅ、ふ」
「ああ、褒めてやるよ」
「〜〜ッ♡♡♡」

頭を撫でてやれば、思った通り腰を跳ねさせて喜ぶものだからあまりに愛しい。脚を使って苦しげなニアの下着までずり下ろしてやれば、すっかり勃ちあがっているそれが脚に当たる。

「っ♡……ん、んっ、ぅ」

擦り付けたい思いでいっぱいだろうが、ニアはそうしない。口に入りきらない竿を懸命に手のひらを使って扱くので、再びおれはニアの頭を撫でてやる。
反抗するような気配は微塵もない。普段からずっとそうしてりゃあいいのにな。

「ん、……んー……っふ、ぁ……ん゙、ぶッ!」
「悪いな。しっかり咥えてろ……よッ」
「ん゙♡ッッぐ、ん゙♡ッ♡」

堪らずおれはニアの頭を掴み、加減を間違えないように上下させる。流石に体格差がこれほどあればおれのを喉の奥まで突き立てるわけにもいくまい。苦しさに耐えきれずニアは竿から手を離してしまうが、代わりに涙で潤んだ瞳がこちらを向いた。
気持ちのいいことに従順で、もっともっとと強請る姿はこんな状況下でも健気に見える。

薬のまわったニアの口の中は普段よりもいくらか熱い。

「……ッ♡ん゙っ、ふ♡んッ♡」
「っは……出すぞ、ニアっ」

顎を浅く引いて頷くニアは目を瞑る。その仕草が計算なのか天然なのかは分からないが、おれはニアの頭をグッと押し付け、その舌の根目掛けて吐精した。口の中が反射的に狭くなる。

「ぷ、ァ……っん、んん、ん゙、くッ……ん、んんン〜ッ♡っ、ん♡」

受け止め終えたニアの瞼がゆっくり開かれた。みるみるうちにふやけていくその瞳は、おれしか映さない。おれは口の中から自身を引き抜き、その顎を持ち上げる。

「……っ、は……あ……ぅ」

そろそろ、と開いた口の中は面白いくらいに真っ白で、ニアの赤い舌をくまなく汚していた。肩を上下させて呼吸を整えつつ、おれをじっと見上げてくる。
言わずともこうして中を見せつけてくるので、おれは満足だった。

「フッ……ああ、飲んでいい」
「っ♡……、く、んッ」

許す言葉を聞いたニアは嬉しげに目を細め、大げさなくらい音を立てて飲み干す。

「……よく頑張ったな」
「はッ……あ、……っ」
「ん?」
「……っ、見な、……や、ッあ!」

やけにシーツが湿っていた。ニアの身体を動かしてみれば、太腿の付け根から濡れている。

「…………出ちゃ……っ、やだぁ」
「どうしたんだァ?ニア」

わざと問えばニアは身を捩った。

「どふぃの、せーし……きて、うれしくて……おれ、ッ……ふわふわ、して」

めいっぱい眉を下げながら、恐る恐るニアは身を起こして脚を開く。思わず喉が鳴った。

「イっちゃった……おこん、ないで」
「怒らねェよ」

前後不覚に陥る寸前だ。ニアが支配される感覚に飲み込まれると、自身の身体をコントロール出来なくなることくらい承知している。

「どふぃ、おしまい?」
「どうだかなァ」
「……おれとえっち、したくなった?」

捨てないで、と身を寄せるニアがおれの胸元へ頭を乗せた。捨てるも何も、おれを置いていくのはおまえのくせに。

「ニアはまだまだ足りねェもんな」
「……たい、ない……」

呂律も回らなくなる。限界だろうか。おれはニアの身体を引き上げ、脚の上に下ろす。

「ドフィ……おねがい」
「うん?」

シーツ上へ膝を立てるニアは、おれの首へと腕を回した。

「もっと、シたい……」
「へぇ」
「……ッは……ここ、もお、だいじょうぶ……らから」

自らおれの手を取って腰に誘導する。片手で掴んでやるとニアの肩が強張り、おれの胸元へ頭を優しく擦り付けた。

「……ん、あ……きのうも、いっぱいシてもらっら、……からぁっ♡あ、はッ♡」

強請られるままに後ろへ指を一本埋めてやれば、待ちわびたとばかりに締め付けてくる。

「そこ……も、どふぃの……はいる」
「ああ、そうだなァ」
「んあッ……ぅ、いれちゃ、だめ?」

次第に溢れてこぼれ出す涙と一緒に、胸元へ唇を寄せるニアはしおらしい。身を委ねながらも強請ることは忘れないあたり、よく出来てる。

「あ゙っ、あ……ゆびも、いい、けどお」
「けど?」
「ドフィの……きもちいからっ、おれ、すきだな……♡」

ニアの瞳に宿る期待の色が濃くなった。根負けしたおれは指を引き抜き、その腰を支えつつ少しずつ下へとおろしていく。ニアのそこが徐々におれのを飲み込んでいくので、歓喜に打ち震えるニアの中がきゅうきゅうと迎え入れた。

「あ♡あッ♡きた、きたあ♡」
「……っ、ニア」
「きもちいの……っ、おれ、こぇ……すき」

蕩けきった眼差しでおれを見上げてくるものの、ニアの視界におれは映っているのか定かではない。こうなってしまったニアはいつもそうだ。

「は……ぁ♡あ゙…………はいっ、てぅ」
「ああ、入ってる……」
「なか……熱……は、ンっ」

ゆらゆらと腰を揺らしながらしがみついてくるニアは悶え、おれが動くのを待っている。これだけ狭いところへ許容範囲ギリギリのそれを咥えたままでは自分じゃ動き辛いんだろう。

「は…………っ、〜〜すき、ぁ♡」
「ニア……」
「うごいて、なか、擦ってほし、……まてな、あ、あ、あっ♡」

おれの首から降ろされた手で自分の頭を抱え、強すぎる快楽に肌を粟立たせたニアの口からは飲み切れなかった唾液が筋を作って顎から落ちていく。ふるふると頭を振り、後ろへ両手をついたニアはゆっくりと押し付けるように腰をくねらせた。頭が茹だりそうだ。

「んっ、ン……うまく、うごけな……ッきもちいのがいぃ……っ」

切なげに揺れる視線が持ち上がり、おれの視線を捉えて交わる。焦らし続けるのも互いに酷だ。腰を強く掴んで突いてやるとニアの口からは嬌声があがる。

「〜〜ッは♡あ♡あ゙あッ♡♡♡」
「フッ……っ、イイか?ニア」
「い、イイ……きもちっ♡しゅごい、なか、……ッしゅごいぃ♡もおイくっ♡いくいく〜ってなるぅ……ッ、やら、やらあ゙あ♡なか、いく♡きちゃ、あ♡あ♡」

ちくしょう可愛い奴め。もうおれのことなんて見えちゃ居ねェだろうがたまらない。

「ッ……イけよ、ニア」
「んあッ♡あ♡あああ♡いぐ、ッ、いきまひゅ、や、やああ、あ゙♡ぁンッ♡」

甘ったるい声があがり、大きく腰が跳ねる。中が一層狭まるので、おれは奥歯を噛み締めて凌いだ。首を反らして果てたニアは、その背をベッドの上へ力無く落とす。

「っは……♡……っ♡」

余韻に浸りつつもおれの腰へ脚を絡めてきたニアは、まだまだ足りちゃいないらしい。それはおれも同じことだ。抜かないまま腰を進めてやれば、ニアの足枷の鎖が音を立てる。

「あ……ッん、あ……あ゙♡」
「なあ、まだイけるだろ」
「ん♡ん♡もっと……もっとする、ッ」

ニアの足がおれの腰を押した。自分でやったくせに嬉しそうな声で喘ぐニアが微笑む。

「ろーくん、ろーくんっ♡」

そら、始まった。いつものだ。

性的興奮作用のあるこの薬は、服用すれば数時間の間効力を発揮し、また服用者の判断力を著しく低下させる。以前からたまにこうしてニアに飲ませてみてはいるものの、脳みその蕩けきったニアの口から、おれの名前が出てきたことはただの一度たりとも無かった。
ここに居ない男の名前ばかりを呼びやがる。

「はっ……あ、ん、ッ」

涙に濡れるその瞳はおれを見ようともしない。ただひたすら別の男の手を探し求めてシーツの上をニアの手が這っていく。

「お前の大好きなローは此処には居ねェよ」

毎回、同じセリフを同じように吐いた。するとどうだ。さっきまではあんなに甘えて縋りついてきたニアは途端に腰を引いておれから逃げようとする。

「……? あ、やだっ、やだやだ、ろーくんがいい、ッ」

シラフのときばかりはおれの名前をこれでもかと呼んで好きだなんだと応えてくれるニアも、いまは本能のままに心の底から想う男の名前を呼び続けた。

「ろーくんどこ……あいたい、ッやだ、やだあ」

ある種トリップ状態にあるニアだが、これでなかなかタチが悪い。可愛さ余って憎さ百倍とはよく言ったもんだ。どうあってもおれの手の中にゃ落ちて来ねェ。たった一人の非力な人間の心ひとつ、おれには奪えないでいる。
ニアはおれを選ばない。こうして強姦まがいの行為に及ぶ人間に好意を向けるはずもねェかと自嘲を混ぜつつニアの腰を引っ掴んで引き寄せる。

「ひ、あッ……あっ、? ん、あ……っ」

自分でもどうして快楽を得ているのかも分かっちゃいないんだろう。ただ脚を開いて子どものように喚き、不安そうに眉を下げる。此処にはローは居ないが、気持ちがいいのもまた事実。
そういう風に躾けてきた。

快感には従順になるように。別段依存性のある薬ではなかったが、その身に蓄積される経験というのはどうしたって忘れられないものだ。とくべつ、ニアが性的刺激に弱い体質なわけではない。ただこれまでの経験によって、強い快楽には逆らえないように仕上がっている。

そうしてきたのはおれだ。他の誰でもない。なのにこいつはローの名前を呼んでおれを苛つかせる。ニアは、セックスとおれには逆らえない。抗えない。
身体と記憶に深く刻み込んできた。事実、おれのことだって嫌いじゃねェんだろう。それでも尚、誰よりいちばん求めているのはローひとり。

「やめっ、やめて、あッ……怒られ、ちゃ……!」

怒られるというのは初めて聞いた。おれはゆっくりと腰を進めてニアの奥へ入り込む。
そのまま中を拡げるように腰を回してやれば、声にもならない嬌声をあげてニアの背が反った。

「〜〜ッ♡……はっ、あ……っ」
「どうしてローに怒られるんだ?」
「あ゙ッ、さいごにッ、抱かれるの、ろーくんが、さいごにするって……やくそく、したのに」

破っちゃった。そう言って泣き出す姿はまるで十年としばらく前のニアを見ているようだ。

「へえ、……そりゃ大変だ。嫌われちまう」
「やだッ……らから、ゆるして、っおねが……あ゙、やだあ……っふかいの、だめなの、ッ♡」

普段おれに対して従順なはずのニアが、ここまで拒否の姿勢を取るのもこれを服用したときだけ。いま抱いてる人間がおれだと認識しちゃいねェだろうが、これはこれでクるものがある。

「フッ……安心しろ」
「……え? っ、おしまい? やめて、くれるの」

そうは言いつつ中を締めてくるもんだから笑っちまう。心と身体は別物だが、ここまで体現してくれるとなれば賞賛したいほどだ。やめないでと言っているような腰の揺らめきも、すっかり開発し尽くされた腹の中も。全ておれが施してきたもの。

「気持ち良くねェと、セックスじゃねェよな」
「……っは、あ、なに」
「お前がイかなきゃ済む話だ。そうだろ?」
「ッ? そ、なの」
「ああ。なにもアイツに謝ることじゃねェ」

正常な判断力のないニアは滑稽にも頷いてみせる。
馬鹿だ。馬鹿で惨めで可愛い可愛いおれのニア。今まで幾らか自由にさせてたが、これからはそうもいかねェ。おれも本腰入れてお前を手に入れる。時間が経てばローのことなど諦めがつくし、後々おれを選んだことが正しかったと気づけばいい。

「わかった……っ」
「イかなきゃいい。簡単だろ?」
「ん、……わかっ……あ」

観念したニアはシーツを握りしめる。交渉は成立したわけだ。おれは再び腰を打ち付け、ニアを追い詰めていく。虚しさなんてとうに通り越して愉しみさえ感じた。どんなに心で想っていたって、おまえが気持ちいいことに耐えられるはずがねェのにな。

「あ゙、は……っん……ンン」
「あ? ヨくなってんのか?」
「なっ……てな、い……っ」
「へえ。そりゃなにより……だッ」
「ッああああ♡♡♡」

ほら見ろ。すぐ溶ける。約束も条件も記憶もなにもかも。目先の快楽に手を伸ばし続けて貪ることしかできねェくせに。愛だ恋だと喧しい。

「は、……ふーッ、ふ、ッ」

咄嗟に指をくわえて声を押し殺すニアのいじらしさもたまらねェ。そんな可愛い仕草をしたって、どうせおれが中をたった一回突いただけで意味をなくすのに。おまえの健気な想いなんて、片っ端からおれに壊される。可哀想にな。

「……っ、くそッ」
「〜〜ッあ゙、ンッ、はぁっ」
「まだ動くからな」
「は、あ、分かっ……んんんあ、あッ♡あ、あ゙ぁッ♡あああ♡あ、ッ♡」

持ち上がった腰が何度も跳ねる。投げ出されたニアの手を取り、おれは更に追い立てた。

「いま……イかなかったか?」
「イっ、てな、ッ……いっへなぃぃっ」
「そうかそうか。ならこうされても……大丈夫だなッ」
「あっ♡あ♡ッはぁ……い、イっ……んああッ!」

こうも呆気なくニアはまた果てる。
自分で仕込んだわけだが、どこまでも上手く快楽を拾い上げるものだ。

「ッッッ、あ゙、イってな、い……!」
「はいはい、分かったよ」
「……っあは、あ♡ああっッ」
「そろそろ終わりにしてやろうか……っ」
「んっ……んぅ、あ♡」

柔らかくおれを包み込むニアのナカが揺さぶられる速度が変わったのを感じてか、きゅうきゅう締め付けてくる。吐精を促すようなその動きに、つい口元が緩んだ。

「ッ、らして……っはやく、はやくっ♡」
「ああ? テメェがイきそうだから?」
「ちが……ち、あ゙♡あ♡ッ♡ふあ♡」
「おいニア、イくときはちゃんと言えって……教わったろッ」

ニアのなかの弱いところなんてのは分かり切ってる。そこを目掛けて抉ってやれば、ニアは息を飲んだあと唇を震わせた。

「あ♡ああ♡ッ、は♡あ゙、やら、やあああっ♡イっちゃ、……らめ、らッ♡」
「ッああ、そうだなァ……」
「らぇ、っだめ、なのにぃ……っ♡」

脚をバタつかせてニアは悶絶する。それでもしっかりおれのを咥えこんで離しやしない。

「ッフ……そうか……っお前、ナカに出されてイくの、好きだもんなァ」
「――ッは、あ゙、ちが、ちがっん♡」
「だったら……耐えてみろ、よっ」
「ひッ、んああああっ♡あっ♡ッ♡ん、んあ、なか、きたぁっ♡あつ、いっ♡あ゙っ、あ゙♡イ……くっ……ッ、いくいくいくっ♡や、やらあああッ♡」

何にもしがみつけず、ニアは頭を抱えて泣き叫んだ。おれのを中で受け止めた感覚に震え、涙を流す様はなかなかに気分がいい。

「っ……、……は♡……あ♡」
「あーあー……イっちまった」
「らって、きもちいの、ぜんぜ……、がまんできな……ッ♡だめなのに、っごめん、なさ……」

ごめんなさい。ローくん。そう繰り返すニアはその顔を恍惚に染めながらも泣き続ける。

「さっさと嫌われちまえ」
「そんな……っひどい」

ああ。酷いのはおれだ。こんなことを何度も繰り返して、ひたすら泣かせている。
だがおれに向かって好きだと言い退けるこいつの真意を知る術はこれしかない。こればかりはおれの目で見て、おれの耳で聞く必要がある。

「ろーくん、……ろぉ、」
「可哀想になあ」
「……っふあ……あ……?」
「慰めてやるよ」
「や、やだ、要らな……いらな、っあ゙♡」

ニアの甘い声が響いた。

いつの間にやら陽は落ちているが、夜はまだまだ長い。おれはニアの意識がぷつんと途切れてしまうまで、執拗にニアを責め続けた。
虚しさはない。おれはただ、なかなか手に入らないものを蹂躙し、屈服させるのを愉しんでいるだけだ。時間はこれからたっぷりある。ニアは、いつかおれの名前を呼ぶといい。

そうすりゃ何もかも楽になる。おれも、お前も。