赤井さん負傷事故編  14


 どこからか銃声が聞こえた。煙が立ち上がり、人の悲鳴までもが聞こえる。警察や外国人が何人か慌ただしい様子を遠目で見れたことから、きっとどこかで抗争でもやっているんだろうか物騒だなあと考えていたら、自宅マンション前の影で人が座り込んでいるのを見かけた。
 真っ黒な服装に、緑の目を辛そうに伏せている人物。片腕からは怪我をしているのか血が流れている。
 赤井秀一が、そこにいた。

「……大丈夫、ですか」
「……っ……」

 いや、大丈夫だったらこんなとこで血流してうずくまってないですよねすいません。
 まずは止血をしなければと思い、ハンカチで彼の傷跡を圧迫して応急処置を始める。

「……」
「大丈夫ですか、意識はありますか」

 こちらへと顔を向けるが朧気で、意識はあまり無いように見える。血が少なくなりすぎてるのかやべえなと思いながら、片手でケータイを操作する。警察に連絡すれば良いだろう。きっと。

「今連絡したので、きっとすぐに来てくれると思いますよ」
「……みぃ、か?」

 みぃ。懐かしい言葉を彼の低い声で聴くなと感じた。かつて私が飼っていた赤井秀一似のペットであるポチがよく私を呼ぶときに言っていた名前だ。

「……今度は、ちゃんと拾ってくれるんだな……」

 初めて出会った頃を思い出しているのか、彼はそういってから気絶するように眠った。汗も浮かんでいるようだし、体力的にも限界だったようだ。
 だが、彼は気絶しても尚私を離さないと言わんばかりに縋り付いている。
 救急車が到着して、彼を任せて私はそれに同行した。
 この子は、ちゃんと私のことを覚えていてくれたようだ。
 
 拾ってしまったんだし、今度こそ最後まで責任持って彼のそばにいようか。

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