ジンさん手作り料理編 14


 ジンと出会ってから、彼は私によく会いに来るようになった。
 最初は組織への忠誠心が高いはずの彼がどうしてこんなことをと考えていたのだが、私が仕事中にちょっかいかけてきたりしているのを見て彼は本当に私に懐いているんだなあと感じてからは疑うのをやめた。
 そんなジンは、私の家に来るとよくご飯を作ってくれる。パスタ系が得意らしく、彼がカルボナーラやボロネーゼを作ってくれたときは思わず本場で修行でもしたのかと思うかのような出来だった。

「はあ、おいしい」
「もっとあるから食うと良い」
「ここまで料理上手いとお母さんプライドがチーズみたいに削れそうだわ」
「……そのことなんだが」
「え、何」
「俺は今までお前を飼い主として見ていたが母親として見たことはないからな」
「えっ」

 ここで衝撃の事実。今までペットではあれど家族のように親子のように可愛がって育てたおチビに母親として見たことはないと言われてしまった。これが反抗期なんだろうか。
 少しショックを受けているとなんだか日課のようになってきた、私への髪へキスが落ちる。

「なあ。髪の毛へキスする意味を知っているか」

 そんなTwitterの腐女子みたいなこと言われても。

「じゃあ、調べておくんだな。俺は今から出かけてくる」
「あ、はい。いってらっしゃい」

 彼が部屋を出て行ったのを見て、食事中に行儀悪いがスマホを取り出して意味を検索してみた。

「……息子の部屋からエロ本見つけた気分だわ」






髪へのキスは「思慕(思い慕うこと、恋しく思うこと)」

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