二つの世界の瞳

夕暮れの木ノ葉。

火影岩の影が地面に長く伸びていた。

その麓のベンチに、二人の男が並んで座っている。

一人は砂隠れの風影
我愛羅

そしてもう一人は
うちはオビト

静かな風が吹いた。

しばらくして、我愛羅が口を開く。

「……尾獣とは違う、と言っていたな」

オビトは頷いた。

「ああ」

「似てる部分はある」

少し空を見上げる。

「俺のいた世界にもあったんだ」

「人間の中に化け物が入るって話」

我愛羅は黙って聞く。

オビトが続ける。

「ただし」

「俺じゃない」

「入ってたのは、俺の親友だ」

我愛羅が言う。

「……虎杖悠仁」

オビトは少し驚いた。

「覚えてたのか」

「事情聴取で聞いた」

オビトは小さく笑う。

「ああ」

「虎杖悠仁」

「ナルトにそっくりな奴」

我愛羅は静かに頷く。

「確かに似ている」

オビトは肩をすくめた。

「だろ?」

「最初会った時、俺も思った」

少し笑う。

「ナルトがもう一人いるのかって」

我愛羅の表情が、わずかに柔らぐ。

「だが」

「その男は一人ではなかったのだな」

オビトは頷く。

「ああ」

「俺もいたし」

「仲間もいた」

そして少しだけ遠くを見る。

「世界は地獄だったけどな」

「でも仲間には恵まれてた」

沈黙。

風が木の葉を揺らした。

その時。

後ろから声がかかる。

「……オビト」

振り向く。

そこに立っていたのは

はたけカカシ

オビトが言う。

「なんだよ」

カカシは我愛羅を見る。

「少し二人で話していいか」

我愛羅は立ち上がった。

「構わない」

「私は席を外そう」

風影は静かにその場を離れる。

残されたのは二人。

カカシが言う。

「……その目」

オビトはため息をついた。

「気付いてたろ」

オビトの瞳が変わる。

万華鏡写輪眼。

空間がわずかに歪む。

カカシが呟く。

「神威」

「ああ」

オビトは言った。

「今回は柱間細胞とか無い」

「普通の体だ」

カカシが言う。

「それなら使いすぎたら失明だ」

オビトは肩をすくめる。

「普通ならな」

「でも治せる」

カカシが眉をひそめた。

「……は?」

「反転術式」

「体を再生する術だ」

「眼も治る」

カカシは数秒黙る。

そして小さく息を吐いた。

「……便利すぎるだろ」

オビトは苦笑した。

「俺も最初そう思った」

その時。

背後から声がした。

「……待て」

振り向く。

そこに立っていたのは

うちはサスケ

黒い瞳がオビトを見ている。

沈黙。

サスケの眉がわずかに寄った。

「……うちはオビト」

オビトが手を上げる。

「久しぶり」

サスケの声は低い。

「死んだはずだ」

オビトは肩をすくめた。

「俺もそう思ってた」

サスケが近づく。

そしてオビトの目を見る。

「……万華鏡」

その模様。

戦場で見たもの。

サスケが言う。

「神威」

カカシが言う。

「分かる?」

サスケは短く答えた。

「第四次忍界大戦で見た」

そして一言。

「……左眼か」

カカシがわずかに驚く。

「よく分かるね」

サスケは静かに言った。

「うちはだからな」

その時だった。

遠くから声が響く。

「青春とは!!」

「終わらないものだぁぁ!!」

オビトが眉を上げた。

「……なんだ今の」

カカシが答える。

「マイト・ガイ」

「八門の死門を開いた」

オビトの表情が変わる。

「ナルトが助けた」

「でも脚は――」

カカシはそこで言葉を止めた。

オビトは少し考え、

そして言った。

「……治せるかもしれない」

カカシが振り向く。

「何?」

オビトは肩をすくめた。

「さっき言っただろ」

「反転術式」

「体を再生する術」

「脚くらいならいけると思う」

カカシの目が見開かれる。

「……マジ?」

オビトは立ち上がる。

「やってみないと分からないけどな」

少し笑う。

「でも」

「青春終わらせるのは勿体ないだろ」

カカシは数秒黙り、

そして小さく笑った。

「……そうだな」

三人は同時に病院の方を見る。

青春は、まだ終わらない。


〆栞
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