青春は終わらない
木ノ葉病院の廊下は静かだった。
第四次忍界大戦は終わった。
だが――
忍たちの体には、まだその爪痕が残っている。
その象徴の一つが、この病室だった。
扉の前で
うちはオビトは足を止めた。
横には
はたけカカシ。
カカシが言う。
「入るよ」
オビトは小さく頷いた。
扉が開く。
病室の中には数人の忍がいた。
ベッドの横に
ロック・リー。
その隣に
テンテン。
医療忍者として
春野サクラと
シズネ。
腕を組んで立っている
綱手。
窓際には
うずまきナルト。
そしてベッドの上には――
マイト・ガイ。
扉が開いた瞬間。
視線が一斉にオビトへ向いた。
最初に固まったのはサクラだった。
「……え」
目を見開く。
「……オビトさん?」
テンテンが呟く。
「え……ちょっと待って」
リーが目を丸くする。
ベッドの上のガイも目を見開いた。
「……オビト?」
オビトは肩をすくめた。
「久しぶりだな、ガイ」
その瞬間。
リーが叫んだ。
「えええええええええええええええ!?」
テンテンも叫ぶ。
「死んだ人ですよね!?」
サクラがカカシを見る。
「カカシ先生!?!?」
ナルトが苦笑した。
「まあ、そうなるよな」
サクラが振り向く。
「ナルト!?
なんでそんな落ち着いてるの!?」
ナルトは肩をすくめた。
「事情聴取で聞いた」
そして周りを見る。
「そういやお前ら」
「まだ聞いてなかったんだよな」
ナルトは顎でオビトを指す。
「オビトの十八年」
リーが目を丸くする。
「十八年!?」
テンテンが叫ぶ。
「ちょっと待って情報量!!」
サクラはまだオビトを見ていた。
「……どういうことですか」
「オビトさん」
オビトは頭を掻いた。
「まあ」
「別の世界で生きてた」
「十八年」
「それで戻ってきた」
テンテンが頭を抱える。
「さらっと言う内容じゃない!!」
リーはなぜか拳を握った。
「青春ですね!!」
誰も意味が分からない。
その時。
綱手が口を開いた。
「……それより」
視線がガイへ向く。
ガイの足は動かない。
八門遁甲の代償。
忍としての終わり。
ガイは笑った。
「問題ない」
「忍として当然の代償だ」
リーが拳を握る。
悔しそうだった。
その時。
オビトがベッドへ近づいた。
ガイを見る。
「ガイ」
ガイが笑う。
「何だ」
オビトは言った。
「その足」
「治せるかもしれない」
サクラが反応する。
「え?」
シズネも目を丸くする。
「医療忍術でも不可能なんですよ」
綱手は腕を組んだままオビトを見る。
オビトは言った。
「医療忍術じゃない」
手を上げる。
掌に力が集まる。
淡い光。
サクラが息を呑んだ。
「……それ」
「何ですか」
オビトが言う。
「反転術式」
カカシが小さく呟く。
「それか」
リーが首を傾げる。
「術……?」
オビトはガイの足へ手をかざした。
「俺の世界の術だ」
「負のエネルギーを反転させて」
「肉体を再生する」
サクラの目が変わる。
医療忍者の目だった。
「……再生?」
光が強くなる。
骨。
筋肉。
神経。
壊れたものが――
戻っていく。
サクラが息を呑む。
「嘘……」
シズネも声を失った。
リーが震える。
そして。
ガイの足の指が――
動いた。
リーが叫ぶ。
「ガイ先生!!!」
ガイがゆっくり足を見る。
そして。
立った。
部屋が静まり返る。
ガイは拳を握った。
そして笑った。
「オビト」
「礼を言う」
「だが――」
親指を立てる。
「青春は」
「終わっていなかったようだ!!」
リーが号泣する。
「ガイ先生ええええええ!!」
テンテンも泣いていた。
ナルトは笑った。
「すげーなオビト」
サクラはまだ呆然としている。
「……とんでもない術ですね」
綱手が小さく笑った。
「まったくだ」
カカシは静かにオビトを見る。
そして言った。
「お前」
「本当に十八年生きてきたんだな」
オビトは肩をすくめた。
「まあな」
病室には笑い声が広がっていた。
青春は終わらない。
【〆栞】