遅刻魔の再会
門前の空気は張り詰めていた。
砂が静かに宙へ浮き、俺の周囲を巡っている。
操っているのは――
我愛羅。
砂隠れの五代目風影。
その視線は、微動だにしない。
(完全に警戒されてるな)
まあ当然だ。
木ノ葉の門前に突然現れた不審者。
しかも忍装束でもない。
黒い詰襟の制服――高専の制服。
どう見ても場違いだった。
俺は両手を上げたまま、苦笑する。
(さて、どうしたもんか)
その時だった。
屋根の上に、気配が現れる。
忍の瞬身。
音もなく着地する影。
銀色の髪。
黒いマスク。
額当ては額に上げられたまま。
両目とも、ただの黒い瞳。
だが――
その気配は、間違いようがない。
はたけカカシ。
カカシは屋根の上から門前を見渡した。
まず砂忍。
次に我愛羅。
そして最後に――
俺。
ほんの一瞬。
その視線が止まった。
「……カカシか」
我愛羅が静かに言った。
カカシは軽く肩を竦める。
「やあ風影」
いつもの気の抜けた声。
だが目は笑っていない。
「随分と物騒な歓迎だね」
我愛羅の砂が、わずかに揺れる。
攻撃態勢から――
警戒態勢へ。
「木ノ葉の門前に、正体不明の男が現れた」
我愛羅が言う。
「警戒は当然だ」
「まあね」
カカシは頷いた。
それから、ゆっくりと俺を見る。
数歩の距離。
観察するような視線。
(……あー)
気付くよな。
俺は小さく息を吐いた。
「カカシ」
その名前を呼ぶ。
空気が変わる。
カカシの目が細くなった。
「……今」
低い声。
「俺の名前を呼んだ?」
「呼んだ」
俺は肩を竦める。
「久しぶりだな」
沈黙。
カカシの視線が鋭くなる。
「誰だ」
短い問い。
当然だ。
死人が名前を呼ぶはずがない。
俺は迷わなかった。
「うちはオビト」
門前が凍りついた。
門番が息を呑む。
砂忍がざわめく。
カカシは――
動かない。
ただ、俺を見ていた。
(信じないよな)
そりゃそうだ。
俺は頭を掻く。
「まあそうなるよな」
それから。
瞳を開く。
赤い光。
三つ巴。
写輪眼。
ざわめきが広がる。
「写輪眼……!」
砂忍の声。
だがカカシは反応しない。
ただ。
俺を見ている。
俺はさらに右目を細めた。
万華鏡が回る。
空間が歪む。
渦。
ぐにゃりと空間が巻き込まれる。
神威。
その瞬間。
カカシの瞳が見開かれた。
一歩。
前に出る。
信じられないものを見る顔だった。
「……」
声が出ない。
俺は肩を竦めた。
「これなら分かるだろ」
沈黙。
長い沈黙。
そして。
カカシの声は、かすれていた。
「……オビト」
俺は軽く手を上げる。
昔みたいに。
「よ」
短く言った。
「久しぶり」
カカシは数歩近づいた。
俺の目の前まで来る。
じっと俺を見たまま。
それから。
低く言う。
「……なんで生きてる」
俺は苦笑した。
「俺も知りたい」
少し考えてから言う。
「多分」
肩を竦める。
「三回目の人生っぽい」
カカシが額を押さえた。
深いため息。
「……待て」
小さく呟く。
「情報量が多すぎる」
俺は笑った。
「あー」
それは分かる。
その時だった。
新しい気配が門へ近づいてくる。
強いチャクラ。
医療忍者特有の流れ。
そして怒気。
カカシが小さく言う。
「……来たか」
俺は空を見上げた。
(あー)
これは。
間違いなく。
綱手。
門の奥から、怒鳴り声が響いた。
「どいつだ!!」
カカシがぼそりと言う。
「……終わったな」
俺は苦笑した。
「同感」
こうして。
三度目の人生の最初の騒動は、
さらに大きくなることが確定した
砂が静かに宙へ浮き、俺の周囲を巡っている。
操っているのは――
我愛羅。
砂隠れの五代目風影。
その視線は、微動だにしない。
(完全に警戒されてるな)
まあ当然だ。
木ノ葉の門前に突然現れた不審者。
しかも忍装束でもない。
黒い詰襟の制服――高専の制服。
どう見ても場違いだった。
俺は両手を上げたまま、苦笑する。
(さて、どうしたもんか)
その時だった。
屋根の上に、気配が現れる。
忍の瞬身。
音もなく着地する影。
銀色の髪。
黒いマスク。
額当ては額に上げられたまま。
両目とも、ただの黒い瞳。
だが――
その気配は、間違いようがない。
はたけカカシ。
カカシは屋根の上から門前を見渡した。
まず砂忍。
次に我愛羅。
そして最後に――
俺。
ほんの一瞬。
その視線が止まった。
「……カカシか」
我愛羅が静かに言った。
カカシは軽く肩を竦める。
「やあ風影」
いつもの気の抜けた声。
だが目は笑っていない。
「随分と物騒な歓迎だね」
我愛羅の砂が、わずかに揺れる。
攻撃態勢から――
警戒態勢へ。
「木ノ葉の門前に、正体不明の男が現れた」
我愛羅が言う。
「警戒は当然だ」
「まあね」
カカシは頷いた。
それから、ゆっくりと俺を見る。
数歩の距離。
観察するような視線。
(……あー)
気付くよな。
俺は小さく息を吐いた。
「カカシ」
その名前を呼ぶ。
空気が変わる。
カカシの目が細くなった。
「……今」
低い声。
「俺の名前を呼んだ?」
「呼んだ」
俺は肩を竦める。
「久しぶりだな」
沈黙。
カカシの視線が鋭くなる。
「誰だ」
短い問い。
当然だ。
死人が名前を呼ぶはずがない。
俺は迷わなかった。
「うちはオビト」
門前が凍りついた。
門番が息を呑む。
砂忍がざわめく。
カカシは――
動かない。
ただ、俺を見ていた。
(信じないよな)
そりゃそうだ。
俺は頭を掻く。
「まあそうなるよな」
それから。
瞳を開く。
赤い光。
三つ巴。
写輪眼。
ざわめきが広がる。
「写輪眼……!」
砂忍の声。
だがカカシは反応しない。
ただ。
俺を見ている。
俺はさらに右目を細めた。
万華鏡が回る。
空間が歪む。
渦。
ぐにゃりと空間が巻き込まれる。
神威。
その瞬間。
カカシの瞳が見開かれた。
一歩。
前に出る。
信じられないものを見る顔だった。
「……」
声が出ない。
俺は肩を竦めた。
「これなら分かるだろ」
沈黙。
長い沈黙。
そして。
カカシの声は、かすれていた。
「……オビト」
俺は軽く手を上げる。
昔みたいに。
「よ」
短く言った。
「久しぶり」
カカシは数歩近づいた。
俺の目の前まで来る。
じっと俺を見たまま。
それから。
低く言う。
「……なんで生きてる」
俺は苦笑した。
「俺も知りたい」
少し考えてから言う。
「多分」
肩を竦める。
「三回目の人生っぽい」
カカシが額を押さえた。
深いため息。
「……待て」
小さく呟く。
「情報量が多すぎる」
俺は笑った。
「あー」
それは分かる。
その時だった。
新しい気配が門へ近づいてくる。
強いチャクラ。
医療忍者特有の流れ。
そして怒気。
カカシが小さく言う。
「……来たか」
俺は空を見上げた。
(あー)
これは。
間違いなく。
綱手。
門の奥から、怒鳴り声が響いた。
「どいつだ!!」
カカシがぼそりと言う。
「……終わったな」
俺は苦笑した。
「同感」
こうして。
三度目の人生の最初の騒動は、
さらに大きくなることが確定した
【〆栞】