再会

門前の空気が凍りついた。

走ってきた忍――
**うずまきナルト**の足が、ぴたりと止まる。

その青い瞳が、俺を捉えた。

時間が止まったみたいだった。

「……オビト?」

小さく呟く。

俺は苦笑する。

「久しぶりだな、ナルト」

その瞬間。

ナルトの顔が歪んだ。

「……ふざけんな」

低い声。

拳が震えている。

「その名前を」

一歩、前へ出る。

「勝手に使うなってばよ!!」

怒鳴り声が門前に響いた。

木ノ葉の忍たちがざわめく。

俺の横で
**はたけカカシ**が小さく息を吐いた。

「ナルト」

だがナルトは止まらない。

まっすぐ俺へ歩いてくる。

怒りと混乱と――

どこか恐れるような目。

「オビトは」

ナルトの声が震える。

「死んだんだ」

俺は黙る。

ナルトは続けた。

「俺、見てたんだぞ」

拳を握る。

「最後まで」

胸が、少しだけ痛んだ。

そうだ。

あの時。

**うちはオビト**は死んだ。

第四次忍界大戦。

**大筒木カグヤ**の共殺しの灰骨。

ナルトとサスケへ向けられた攻撃。

それに飛び込んだのは――

俺とカカシだった。

ナルトが言う。

「最後に」

声が小さくなる。

「俺に言ったんだ」

――ナルト、お前は火影になれ。

俺は頭を掻いた。

「言ったな」

ナルトの瞳が揺れる。

「じゃあ」

かすれた声。

「なんで生きてるんだよ」

俺は答えに詰まる。

どう説明したものか。

一度死んだと思ったら、
別の世界で生まれ直していた。

そこで呪いを祓う術師として戦っていた。

そして任務中に受けた術で――

気付いたらここにいた。

……うん。

やっぱり長いな。

俺は苦笑した。

「長い話になる」

ナルトは睨む。

「逃げんな」

「逃げてない」

肩を竦める。

「本当に長いんだ」

カカシが小さく言った。

「綱手様」

腕を組んだ
**綱手**がため息をつく。

「聞くしかないね」

ナルトが叫ぶ。

「俺が聞く!!」

「落ち着けナルト」

カカシが言う。

だがナルトは俺を見たままだ。

その視線は鋭い。

「証明しろ」

低く言う。

「お前がオビトだって」

俺は少し考えた。

それから言う。

「ナルト」

「……なんだ」

「お前」

少し笑う。

「ラーメン食いすぎだ」

ナルトが固まる。

「は?」

「あと」

指を立てる。

「サスケのこと追いかけすぎ」

ナルトの目が見開かれる。

「それ……」

俺は続ける。

「我慢してたろ」

ナルトの顔が変わる。

「九尾のチャクラ」

静かに言った。

「最初は上手く使えなかった」

ナルトの瞳が揺れる。

「でも」

俺は笑う。

「お前、ちゃんと友達になったな」

沈黙。

門前の空気が静まる。

ナルトの拳が震えている。

そして、ぽつりと言った。

「……オビト?」

俺は肩を竦めた。

「一応」

その瞬間。

ナルトが動いた。

ダンッ!!

地面を蹴る。

一瞬で距離を詰めてくる。

拳が振り上がる。

木ノ葉の忍たちが息を呑む。

だが。

拳は――

俺の胸に

軽く当たっただけだった。

ナルトの手が震えている。

「……本物?」

かすれた声。

俺は笑う。

「多分な」

次の瞬間。

ナルトが俺の胸ぐらを掴んだ。

「馬鹿野郎!!」

叫び声。

目に涙が浮かんでいる。

「どんだけ心配したと思ってんだってばよ!!」

門前の忍たちが凍りつく。

砂忍たちも黙る。

静かに見ているのは
我愛羅。

ナルトが叫ぶ。

「死んだと思ったんだぞ!!」

俺は苦笑した。

「悪い」

ナルトが歯を食いしばる。

「どこ行ってたんだよ」

俺は頭を掻いた。

「それがな」

ため息を吐く。

「別の世界で」

少し笑う。

「もう一回人生やってた」

ナルトが固まる。

「……は?」

カカシが小さく言った。

「やっぱり長い話ですね」

綱手が額を押さえた。

「火影室だ」

俺を指さす。

「全部話せ」

俺は肩を竦めた。

「了解」

そしてナルトを見る。

「あとでラーメン奢れよ」

ナルトが叫ぶ。

「なんで俺がだってばよ!!」

門前に、少しだけ笑いが広がった


〆栞
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