事情聴取
火影室の空気は重かった。
机の向こうで腕を組んでいるのは
綱手。
壁にもたれているのは
はたけカカシ。
ソファには腕を組んで睨んでいる
うずまきナルト。
その隣には静かに座る
我愛羅。
そして――
部屋の中央。
立たされているのは俺だ。
高専の制服のまま。
場違いにもほどがある。
綱手が机を叩いた。
「さて」
鋭い視線。
「説明してもらおうか」
俺は頭を掻く。
「長いぞ」
ナルトが叫ぶ。
「いいから話せってばよ!」
綱手が言った。
「まず一つ」
「お前は誰だ」
俺は答えた。
「うちはオビト」
沈黙。
綱手が言う。
「その男は死んだ」
「知ってる」
ナルトが拳を握る。
カカシが低い声で言った。
「……本当にお前なのか」
俺はカカシを見る。
少しだけ笑った。
「久しぶりだな」
カカシの目が揺れた。
「オビト」
静かな声だった。
綱手が机を叩く。
「感動の再会はあとだ」
俺を指す。
「続けろ」
俺は肩を竦めた。
「第四次忍界大戦」
ナルトの拳が強く握られる。
「カグヤの灰骨」
「俺は死んだ」
我愛羅が静かに聞く。
「その後は」
俺は言った。
「気付いたら別の世界だった」
ナルトが固まる。
「……は?」
「赤ん坊からやり直し」
「十八年」
ナルトが叫ぶ。
「長ぇってばよ!!」
綱手が額を押さえた。
「つまり」
「異世界転生か」
「まあそんな感じ」
カカシが言う。
「記憶は?」
「全部あった」
カカシは少し黙った。
それから言った。
「……大変だったな」
俺は肩を竦める。
「まあな」
綱手が聞く。
「その世界で何をしていた」
「呪いを祓う術師」
ナルトが言う。
「忍者みたいなもん?」
「近い」
カカシが言う。
「門前の術」
「忍術じゃなかったな」
「別の体系か」
俺は頷く。
「そう」
綱手が聞く。
「仲間は?」
俺は少し黙った。
それから笑う。
「いた」
ナルトが言う。
「どんなやつだ」
俺は答えた。
「馬鹿みたいに真っ直ぐ」
ナルトが指を差す。
「お前みたいな?」
俺は笑う。
「いや」
「もっと酷い」
ナルトが怒る。
「なんだそれ!」
カカシが小さく笑った。
「似てるのか」
俺はナルトを見た。
「そっくり」
ナルトが言う。
「誰にだってばよ」
俺は言った。
「そいつ」
「悠仁って言う」
ナルトが首を傾げる。
「ユージン?」
「悠仁」
少し笑う。
「困ってる人間見ると」
「命投げる」
ナルトが黙る。
カカシが言った。
「……確かに似てるな」
俺は苦笑する。
「だろ」
ナルトが言う。
「会わせろ!」
「無理」
「なんで!」
俺は窓の外を見る。
「世界が違う」
沈黙。
綱手が机を叩いた。
「よし」
「その悠仁の話」
「詳しく聞こう」
ナルトが言う。
「面白そうだってばよ!」
我愛羅が静かに言った。
「興味がある」
カカシが俺を見る。
「話せ、オビト」
俺は頭を掻いた。
「じゃあ」
遠い記憶を思い出す。
「高専に入った日の話からだ」
【〆栞】