黄色い閃光の問い

夕方。

木ノ葉の森。

訓練場の奥で、**はたけカカシ**は静かに立っていた。

呼び出されたからだ。

相手は――

波風ミナト。

木ノ葉でも指折りの上忍。

そして。

自分が最も尊敬している忍の一人。

ミナトが木の枝から降りた。

「来てくれてありがとう、カカシ」

カカシは頭を下げる。

「用件は何ですか」

ミナトは少し笑った。

「単刀直入に聞くよ」

そして。

「オビト君のこと、どこまで知ってる?」

カカシの瞳が少しだけ揺れた。

沈黙。

森の風が揺れる。

カカシはゆっくり答えた。

「……普通じゃない」

ミナトは頷いた。

「やっぱり」

カカシは続ける。

「アカデミー生の動きじゃない」

「体術も、反応も」

拳を握る。

「それに」

少しだけ声が低くなる。

「未来を知っているって言ってました」

ミナトの表情がわずかに変わった。

だが驚きはしない。

「君にも言ったんだね」

カカシは顔を上げた。

「本当なんですか」

ミナトは少し考えた。

そして。

正直に答えた。

「分からない」

カカシは眉をひそめる。

ミナトは続けた。

「でもね」

「少なくとも一つ」

静かな声。

「僕しか知らないはずの忍術の弱点を言い当てた」

カカシは目を見開く。

「忍術……?」

ミナトはクナイを取り出す。

柄に刻まれた文字。

「飛雷神」

カカシの呼吸が止まる。

時空間忍術。

木ノ葉でも伝説級の技。

ミナトは言う。

「配置の弱点を指摘された」

カカシはしばらく黙った。

そして小さく呟く。

「……本当に未来を」

ミナトは空を見上げた。

「もしかしたらね」

沈黙。

そのあと。

ミナトが少し真剣な顔になる。

「カカシ」

「はい」

「君はどう思う?」

質問。

カカシは少し迷った。

だが。

答えは決まっている。

「危険ではない」

ミナトが眉を上げる。

カカシは続ける。

「戦闘中」

「俺を殺せるタイミングがあった」

ミナトは目を細める。

「でも」

カカシは言う。

「やらなかった」

静かな確信。

「だから敵じゃない」

ミナトは数秒カカシを見ていた。

そして。

笑った。

「君はやっぱり優秀だ」

カカシは少し驚く。

ミナトは続けた。

「僕も同じ結論だ」

そして。

ゆっくり言った。

「だから」

「オビト君を見ていてほしい」

カカシは顔を上げる。

ミナトは真剣だった。

「もし未来を知っているなら」

「彼は忍界を変えるかもしれない」

風が森を抜ける。

カカシの胸が少しだけ高鳴る。

忍界を変える。

そんな話。

普通なら信じない。

だが。

今日。

模擬戦で見た。

赤い瞳。

写輪眼。

そして。

あの戦闘。

カカシは小さく言った。

「分かりました」

ミナトは微笑む。

「ありがとう」

そして。

少しだけ声を低くした。

「もう一つ」

カカシが顔を上げる。

ミナトは言った。

「将来」

「君とオビト君」

そして。

「リン」

**野原リン**の名前。

ミナトは静かに言った。

「同じ班になる予定なんだ」

カカシは固まった。

「……え?」

ミナトは笑う。

「僕の班だ」

沈黙。

カカシの頭の中で何かが繋がる。

未来。

オビトの言葉。

リンの死。

そして。

自分。

カカシは空を見上げた。

(もし)

もし本当に未来を変えられるなら。

自分は――

何をすべきだろう。

森の奥で。

新しい運命が静かに動き始めていた。


〆栞
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