初任務 ―沈黙の森―

早朝。

木ノ葉の門の外。

二人の少年が並んで立っていた。

銀髪の少年。

無表情で腕を組む。

はたけカカシ。

その隣。

黒髪の少年が背伸びをしている。

うちはオビト。

「眠い」

オビトが欠伸をした。

カカシは呆れたように言う。

「任務前だぞ」

オビトは肩をすくめる。

「朝弱いんだよ」

カカシは少し黙った。

(本当にこいつは……)

アカデミーでは遅刻。

授業中はぼーっとしている。

落ちこぼれ。

誰もがそう言う。

だが。

カカシの頭に浮かぶのは別の光景。

夜の森。

そして。

**波風ミナト**と戦うオビト。

あの動き。

あれは。

落ちこぼれのものではない。

カカシは言った。

「任務内容」

オビトが手を上げる。

「偵察」

「正体確認」

「危険なら撤退」

カカシは少し驚いた。

「覚えてるのか」

オビトは笑う。

「忍だからな」

カカシは小さく息を吐いた。

(やっぱり変だ)

だが。

今は任務だ。

カカシは森を見た。

「行くぞ」

二人は同時に跳んだ。

木から木へ。

影のように移動する。

森の奥。

目的地までは約一時間。

静かな移動が続いた。

そして。

三十分後。

オビトが突然止まった。

カカシもすぐ止まる。

「どうした」

オビトは指を立てた。

静かに。

耳を澄ませる。

風。

葉の音。

そして。

「……三人」

小さく呟いた。

カカシの目が細くなる。

「どこだ」

オビトは前方を指す。

「300メートル」

「岩の影」

カカシは集中する。

だが。

何も感じない。

(気配がない)

カカシは低く言った。

「確かか」

オビトは笑った。

「たぶん」

カカシは少し考えた。

そして頷く。

「確認する」

二人はさらに慎重に進んだ。

そして。

岩場が見えてくる。

カカシは木の影から覗いた。

瞬間。

目が見開く。

そこには。

三人の忍。

そして。

一人の男の目が赤く光る。

写輪眼。

カカシは小さく息を呑んだ。

(写輪眼……?)

その瞬間。

背後から声。

「見つけたぞ」

カカシは振り返る。

もう一人。

敵が立っていた。

「子供?」

男は笑う。

「木ノ葉か」

カカシはクナイを構えた。

だが。

敵はすでに印を結んでいる。

「火遁!」

炎が放たれる。

カカシが動こうとした瞬間。

オビトが前に出た。

「任せろ」

オビトの手が動く。

印。

そして。

「水遁・水陣壁」

水の壁が炎を消す。

カカシの目が開く。

(水遁!?)

オビトは笑った。

「さて」

その瞬間。

オビトの瞳が赤く光る。

写輪眼。

三つ巴ではない。

だが。

完全に覚醒した瞳。

カカシが驚く。

(もう写輪眼を……!?)

敵が叫ぶ。

「うちはだ!」

だが。

次の瞬間。

オビトは消えた。

一瞬。

本当に消えたように見える。

そして。

敵の背後。

「遅い」

ドン。

敵が地面に叩きつけられる。

一撃。

気絶。

カカシは完全に固まっていた。

(今の動き……)

早すぎる。

アカデミー生の動きじゃない。

オビトは肩を回した。

「あと三人か」

カカシが言う。

「待て」

オビトが振り向く。

カカシは真剣な顔だった。

「これは偵察任務だ」

「戦闘は避ける」

オビトは少し考えた。

そして。

笑う。

「じゃあ」

岩場を見る。

「見つからないように全員倒す」

カカシは呆れた。

「それは偵察じゃない」

オビトは肩をすくめた。

「まあまあ」

そして小さく言う。

「でも」

静かな声。

「この連中」

「普通の忍じゃない」

カカシの目が細くなる。

オビトは岩場を見つめた。

写輪眼がゆっくり回る。

(このチャクラ……)

微かに。

呪力が混ざっている。

(やっぱり)

オビトは笑った。

「面白くなってきた」

森の奥。

まだ見えない敵。

そして。

忍界の裏で動く影。

オビトとカカシの初任務は。

予想以上に危険なものになりつつあった。


〆栞
PREV  |  NEXT
LIST