未来を知る少年A

木ノ葉への帰路。

夕暮れの森。

任務を終えた二人は木の枝を跳んでいた。

しばらく沈黙が続く。

その沈黙を破ったのは――

**はたけカカシ**だった。

「オビト」

前を飛ぶ少年。

**うちはオビト**が振り返る。

「ん?」

カカシの目は真剣だった。

「話がある」

オビトは少し笑った。

「重そうだな」

カカシは言う。

「止まれ」

二人は森の開けた場所に降りた。

夕日が木々の隙間から差し込む。

カカシは腕を組んだ。

数秒の沈黙。

そして。

「お前」

静かな声。

「何者だ」

オビトは少し空を見た。

やっぱり来たか。

カカシは続ける。

「アカデミー生の動きじゃない」

「写輪眼」

「未知の術」

「ミナト先生との戦闘」

一歩近づく。

「全部見た」

オビトの眉がわずかに動く。

カカシは言った。

「お前」

「何か隠してる」

沈黙。

風が葉を揺らす。

オビトは小さくため息をついた。

「カカシ」

名前を呼ぶ。

カカシは答える。

「何だ」

オビトは少し笑った。

「もし」

静かな声。

「未来が見えるって言ったら」

カカシは即答した。

「信じない」

オビトは肩をすくめる。

「だよな」

カカシは言う。

「だが」

目を細める。

「お前は未来を知っているように動く」

沈黙。

オビトは地面の石を蹴った。

そして。

小さく言う。

「……一部だけな」

カカシの目が変わった。

「本当に?」

オビトは頷く。

「全部じゃない」

「でも」

「大事なことは覚えてる」

カカシの心臓が少し速くなる。

「例えば?」

オビトはしばらく黙った。

そして。

カカシを見る。

「カカシ」

「お前」

静かな声。

「将来、暗部に入る」

カカシの目が見開く。

オビトは続ける。

「天才」

「英雄の息子」

「若くして上忍」

カカシは呟く。

「そんな未来……」

オビトは首を振った。

「でも」

その声は少し重かった。

「幸せじゃない」

カカシの眉が動く。

「どういう意味だ」

オビトは言った。

「仲間を失う」

沈黙。

カカシの胸がわずかに痛む。

オビトは続ける。

「任務」

「戦争」

「罪悪感」

「孤独」

夕日の中。

オビトの声は静かだった。

「お前」

「笑わなくなる」

カカシは黙る。

オビトはさらに言う。

「ミナト先生も」

**波風ミナト**の名。

カカシが顔を上げる。

オビトは言葉を止めた。

そこまでは言えない。

まだ。

カカシは低く聞いた。

「リンは?」

その名前。

野原リン。

オビトの瞳が揺れる。

数秒。

沈黙。

カカシは理解した。

顔がわずかに青くなる。

「……そうか」

オビトは小さく言った。

「まだ変えられる」

カカシが顔を上げる。

オビトは続ける。

「未来は」

「決まってない」

静かな声。

「だから」

拳を握る。

「俺はここにいる」

カカシは長い間黙っていた。

そして。

小さく聞く。

「お前は」

「未来で何だった」

オビトは笑った。

だが。

その笑いは少し寂しかった。

「敵」

カカシの目が見開く。

オビトは言う。

「忍界大戦」

「世界の敵」

カカシは呟く。

「嘘だろ」

オビトは肩をすくめる。

「本当」

そして。

小さく言う。

「お前とも戦った」

沈黙。

森の空気が重くなる。

カカシはゆっくり言った。

「じゃあ」

オビトを見る。

「今は?」

オビトは笑った。

夕日の中。

少年の笑顔。

「仲間だろ」

カカシはしばらく黙っていた。

そして。

小さく言った。

「……ああ」

それだけ。

だが。

その一言には重みがあった。

二人は再び木に飛び乗る。

木ノ葉はもうすぐだ。

未来はまだ分からない。

だが。

一つだけ確かなことがある。

この世界の歴史は。

もう。

変わり始めていた。



〆栞
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