動き出した歯車

夕方。

木ノ葉の訓練場。

三人の少年少女が並んでいた。

はたけカカシ
うちはオビト
そして。

優しい笑顔の少女。

野原リン。

リンは手を腰に当てて言った。

「また二人で修行してたでしょ?」

オビトは肩をすくめる。

「まあな」

カカシは無表情。

「任務に必要だから」

リンは笑った。

「相変わらずだね」

三人の空気は穏やかだった。

だが。

その時。

オビトの背筋に寒気が走る。

(……来た)

未来の記憶が警告する。

この感覚。

このタイミング。

オビトは空を見上げた。

カラスが飛び立つ。

森の奥。

わずかな殺気。

オビトの写輪眼が回る。

「カカシ」

カカシが振り向く。

「何だ」

オビトは短く言う。

「敵」

次の瞬間。

ドン!!

爆煙。

地面が弾けた。

「きゃっ!」

リンがよろける。

煙の中から忍が現れる。

四人。

額当てはない。

だが。

チャクラの質は明らかに戦場レベル。

カカシがクナイを構える。

「誰だ!」

男が笑う。

「ターゲット確認」

その視線は。

リンに向く。

「野原リン」

オビトの瞳が細くなる。

(やっぱり)

未来の事件。

三尾人柱力の計画。

だが。

早すぎる。

カカシが叫ぶ。

「リンの後ろへ!」

リンが後退する。

敵が印を結ぶ。

「土遁!」

地面が盛り上がる。

煙幕。

視界が消える。

その瞬間。

敵の一人が高速で動いた。

リンの腕を掴む。

「確保」

「リン!!」

カカシが叫ぶ。

だが。

遅い。

敵が後退する。

オビトの拳が震える。

(クソ)

未来は知っている。

だが。

実際に起きると違う。

心臓が速くなる。

敵のリーダーが言う。

「撤退」

リンを抱えた忍が跳ぶ。

森の奥へ。

カカシが動こうとする。

その瞬間。

オビトの声。

「追うぞ」

低い声。

カカシが振り向く。

オビトの写輪眼が燃えていた。

「絶対取り戻す」

カカシは一瞬驚く。

だが。

すぐ頷いた。

「当然だ」

二人は同時に跳ぶ。

木から木へ。

高速追跡。

森の奥。

敵は四人。

リンは一人。

そして。

オビトの頭の中。

未来の記憶がフラッシュする。

血。

雷切。

リンの胸。

カカシの絶望。

自分の闇落ち。

オビトは歯を食いしばった。

(ふざけるな)

拳を握る。

チャクラが荒れる。

そして。

静かに呟く。

「今回は」

写輪眼が回る。

「絶対に」

木々が揺れる。

追跡は続く。

遠く。

闇の洞窟。

そこに立つ老人。

うちはマダラ。

その横には。

ゼツ。

ゼツが言う。

「始まりました」

マダラは笑った。

「そうか」

赤い瞳が光る。

「うちはオビト」

静かな声。

「絶望は」

「もうすぐだ」

忍界の歯車が。

大きく動き始めた。



〆栞
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