血の術

森。

夕闇。

木々の上を二つの影が走る。

うちはオビト
はたけカカシ

カカシが前を見据える。

「距離、200メートル」

オビトの写輪眼が回る。

写輪眼

敵は四人。

その中心に。

縛られた少女。

野原リン

オビトの拳が握られる。

(早すぎる)

未来ではもっと後だった。

だが今は違う。

(マダラ……)

一瞬思考を切る。

今は救出だ。

カカシが低く言う。

「作戦」

「俺が前」

「お前がリンを奪還」

オビトは首を振る。

「違う」

カカシが眉を動かす。

オビトの声は静かだった。

「俺が突破する」

「お前がリンを回収」

カカシ

「……は?」

だが。

次の瞬間。

オビトは地面に降りた。

敵忍の前へ。

四人の忍が振り向く。

「ガキ?」

「追ってきたか」

一人がリンを担ぐ。

「さっさと殺すか」

オビトは一歩歩く。

チャクラが揺れる。

だが。

それとは別の流れ。

体内。

血液。

呪力が混ざる。

オビトが小さく呟く。

「……久しぶりだな」

頭の奥に浮かぶ記憶。

教師。

飄々とした男。

五条悟

「呪術ってのはさ」

「イメージだよ」

オビトが目を閉じる。

そして開く。

「赤血操術」

敵忍が動く。

「土遁!」

岩が隆起。

だが。

その瞬間。

オビトの指先。

血が浮いた。

敵が止まる。

「……は?」

空中に浮く血。

細く圧縮。

一直線。

オビト

「穿血」

ドンッ!!

音が爆ぜる。

赤い閃光。

敵忍の肩が貫かれる。

「がぁ!!」

吹き飛ぶ。

残り三人。

「何だ今の術!?」

カカシが木の上で固まる。

(……血?)

忍術じゃない。

印もない。

オビトは手を振る。

血が刃になる。

「血刃」

赤い刃が走る。

敵のクナイを弾く。

「くっ!」

敵が印を結ぶ。

「水遁・水龍弾!」

巨大な水龍。

オビトは一歩踏む。

呪力で身体強化。

(逕庭拳)

拳が叩き込まれる。

水龍が弾ける。

カカシの目が開く。

「……体術で?」

敵忍が怒鳴る。

「化け物か!」

三人同時突撃。

その瞬間。

オビトの拳。

呪力が収束。

0.000001秒。

衝突。

空間が歪む。

ドン!!

黒い衝撃。

敵忍が地面に叩きつけられる。

カカシが呟く。

「……今の」

理解できない。

オビトの拳から黒い火花。

黒閃

残り一人。

リンを抱えた忍。

「くそっ!」

逃げる。

その瞬間。

木の上から影。

カカシ。

「遅い」

クナイが首元。

リンを奪う。

忍は逃走。

静寂。

カカシがリンを降ろす。

リン

「カカシ……オビト……」

カカシの視線は。

オビト。

「……今の術」

オビトは頭をかく。

「説明すると」

空を見る。

「ちょっと長い」

カカシ

「忍術じゃないな」

オビト

「まあな」

リンが笑う。

「でも助けてくれた」

オビトが少し照れる。

だが。

その時。

遠く。

地中。

巨大な影。

うちはマダラ

ゼツが言う。

「強い」

マダラは静かに目を閉じた。

「……妙だな」

忍術ではない。

チャクラでもない。

だが。

「面白い」

マダラは笑った。

「うちはオビト」

「お前は何者だ?」

運命の歯車は。

まだ回り始めたばかりだった。



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