雨の国

細い雨が降り続いていた。

空は灰色。

地面は水路だらけ。

ここは――

雨隠れの里

忍の国の中でも異様な里。

塔が立ち並び、鉄と水に覆われた都市。

その外縁部。

廃工場の影に一人の男がいた。

白髪。

赤い外套。

自来也

視線は鋭い。

「……」

誰かの気配。

だが。

殺気はない。

次の瞬間。

屋根から影が降りた。

黒髪の少年。

その瞳は赤い。

うちはオビト

自来也が目を細める。

「……木ノ葉か?」

オビトは小さく頷いた。

「はい」

「火影補佐からの極秘任務です」

自来也

「火影補佐?」

オビト

「波風ミナト です」

自来也の目がわずかに見開く。

「ミナトの……」

「部下か」

オビトは軽く頭を下げた。

「ミナト班」

「うちはオビトです」

自来也が少し笑う。

「なるほどな」

「ミナトの弟子か」

雨音が強くなる。

自来也は腕を組む。

「で?」

「わざわざこんな危険な場所に何しに来た」

オビト

「あなたの安否確認です」

自来也

「は?」

オビト

「長期潜入任務」

「連絡が途絶えたため」

自来也は苦笑した。

「ミナトのやつ」

「心配性だな」

オビトは内心で思う。

(違う)

(あんた……)

(未来で死ぬんだ)

だが口には出さない。

その時。

自来也が空を見た。

「……来るぞ」

オビトの写輪眼が回る。

写輪眼

屋根の上。

水路の影。

複数。

「囲まれましたね」

次の瞬間。

雨の中から忍が現れる。

黒装束。

雨隠れの護衛忍。

自来也が呟く。

「……半蔵の連中か」

山椒魚の半蔵

忍が叫ぶ。

「侵入者だ!」

「捕らえろ!」

クナイが飛ぶ。

オビトが前に出た。

「俺がやります」

自来也

「おい待て」

オビトは手を上げる。

血を切ろうとして止まる。

雨。

(血術は使いづらい)

なら。

別の戦い方。

オビトは呟く。

「赤燐躍動」

赤燐躍動

血流が加速する。

筋肉。

神経。

反応。

すべてが強化される。

忍が突っ込む。

オビトは踏み込む。

速い。

拳。

ドン!!

忍の腹に叩き込む。

忍は防御する。

だが次の瞬間。

遅れて衝撃。

バン!!

忍が吹き飛ぶ。

自来也が眉を上げた。

「……?」

オビトが呟く。

「逕庭拳」

逕庭拳

別の忍が刀を振るう。

オビトは半歩ずらす。

拳。

腹。

その瞬間。

空気が歪む。

黒い火花。

バチィッ!!

空間が割れる。

自来也の目が見開く。

「今のは……!?」

オビトの拳から黒い閃光。

黒閃

忍が地面に叩きつけられる。

一撃。

沈黙。

自来也が呟く。

「……ミナトの弟子」

「とんでもねえな」

その時。

雨の向こう。

三人の影。

少年。

赤髪。

少女。

紙のような髪。

もう一人。

明るい橙色の髪。

長門

小南

弥彦

彼らは戦いを見ていた。

弥彦が呟く。

「……強い」

長門の輪廻眼が静かにオビトを見つめる。

そして。

運命が。

静かに動き出した。


〆栞
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