英勇の夜明け

九尾の夜が終わった。

炎は消え、
破壊された木ノ葉の街には静かな朝が訪れていた。

医療施設。

そこに横たわっているのは

波風ミナト

四代目火影。

その傍らに

赤ん坊が眠っている。

ミナトはゆっくりと目を開いた。

「……ここは」

医療忍者が驚く。

「火影様!目を覚まされましたか!」

ミナトは体を起こそうとするが

すぐに力が抜ける。

「まだ無理です」

「チャクラを使い果たしています」

ミナトは小さく笑った。

「……生きてるのか」

その視線が赤ん坊へ向く。

金色の髪。

小さな寝息。

ミナトが静かに言う。

「この子の名前は」

少し間を置いて。

「ナルト」

医療忍者が微笑む。

「うずまきナルトですね」

ミナトが頷く。

だがその表情が曇る。

「……クシナは?」

医療忍者の顔が強張る。

「それが……」

「まだ意識が戻りません」

別室。

そこには

うずまきクシナが横たわっていた。

顔色は青白い。

九尾を抜かれた代償。

そして

暴走時のチャクラ逆流。

体内の経絡系が壊れていた。

ヒルゼンが静かに言う。

「……厳しいな」

そこに立っているのは

うちはオビト

その瞳。

蒼い光。

六写眼

ヒルゼンがそれを見る。

「……その瞳」

「六写眼か」

オビトは頷く。

「名前は分かりません」

「でも」

「見えるんです」

ヒルゼン

「何がだ」

オビトはクシナを見る。

そして言う。

「経絡系」

体内を流れるチャクラの道。

それが――

ズタズタに破壊されていた。

オビトの瞳が光る。

六写眼の演算。

チャクラの流れ。

人体構造。

すべてが計算される。

オビトが呟く。

「……繋げる」

ヒルゼンが驚く。

「何?」

オビト

「経絡系を」

「もう一度作る」

両手にチャクラが集まる。

負のエネルギー。

それを二重に重ねる。

正のエネルギーへ変換。

「反転術式」

柔らかな光が溢れる。

破壊された経絡。

切れたチャクラの道。

それを

一本ずつ繋いでいく。

六写眼の演算。

人間の限界を超えた医療忍術。

ヒルゼンが息を呑む。

「これは……」

時間が流れる。

やがて。

クシナの指が動いた。

「……ミナト」

ヒルゼンが目を見開く。

「意識が戻った!」

オビトはその場に膝をついた。

チャクラ切れ。

限界だった。

ヒルゼンが静かに言う。

「オビト」

「お前は」

「本当にとんでもない忍だ」

その頃。

火影塔の地下。

暗闇の中。

一人の男が立っていた。

志村ダンゾウ

部下が報告する。

「確認しました」

「うちはオビト」

「瞳術が変異しています」

ダンゾウが呟く。

「……六写眼」

「写輪眼の突然変異」

その目が細くなる。

「欲しいな」

「その力」

場面は変わる。

うちは一族の集会所。

緊張した空気。

一族が集まっている。

その中央に立つ男。

うちは警務部隊長。

うちはフガク

フガクが静かに言う。

「聞いた」

「オビトの瞳が変わったそうだな」

ざわめき。

一族の一人が言う。

「青い写輪眼だとか」

「万華鏡だとか」

フガクが腕を組む。

「もしそれが本当なら」

「それは――」

少し間を置く。

「うちはの未来だ」

その視線が遠くを見る。

うちはオビト。

一族の中で

最も危険で

最も可能性のある男。

フガクが呟く。

「近いうちに」

「会う必要があるな」

木ノ葉の朝。

英雄の夜は終わった。

だが。

新しい時代が

静かに動き始めていた。



〆栞
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