術式順天 蒼

翌日。

木ノ葉の訓練場。

木陰の後ろから
**うちはサスケ**が様子を見ていた。

中央には三人。

うちはオビト。

その前に立つのは

うちはシスイ。

そして少し離れた場所に

うちはイタチ。

シスイが笑う。

「今日は本気でいく」

オビト

「昨日も本気だったろ」

シスイ

「いや」

「昨日は様子見」

一瞬。

空気が変わる。

シスイの瞳。

三つ巴の写輪眼。

そして――

ドンッ

地面が割れる。

消えた。

瞬身。

サスケの目が追えない。

(速すぎる…!)

次の瞬間。

四方向から同時攻撃。

残像。

残像。

残像。

イタチですら目を細める。

(これが…)

(瞬身のシスイ)

だが。

その中心。

オビト。

動かない。

ただ一言。

「速いな」

シスイの蹴り。

拳。

苦無。

連撃。

オビトは全て最小動作で受け流す。

シスイ

「やっぱりか」

後ろへ跳ぶ。

笑う。

「やっぱ黒目じゃ無理だな」

オビト

「……」

少しだけため息。

その瞬間。

瞳が赤く変わる。

写輪眼。

三つ巴。

空気が一段変わる。

サスケ

(写輪眼…)

だが

イタチが気づく。

(違う)

(まだ違う)

シスイ

「その先」

「見せろ」

オビト

「面倒だな」

一瞬。

沈黙。

次の瞬間。

オビトの瞳が変わる。

青。

深い蒼。

その中に回る写輪眼。

六写眼。

空気が凍る。

サスケの背筋に寒気。

(なに…だ…)

(この眼)

シスイの笑みが広がる。

「やっと出た」

オビト

「一回だけだぞ」

右手を前に出す。

空間が歪む。

青い光。

イタチの目が見開く。

(術…?)

オビトが静かに言う。

「術式順天」

空気が一点に引き寄せられる。

地面。

石。

木。

全てが吸い込まれる。

青い球。

重力の塊。

シスイ

「なるほど」

「引力か」

オビト

「名前は」

小さく言う。

「蒼」

次の瞬間。

ゴォッ!!

周囲の木々が一気に引き寄せられる。

シスイが瞬身で回避。

しかし。

吸い込みは止まらない。

訓練場の地面が削れる。

サスケ

(なに…この術…!)

イタチも息を呑む。

(これが…)

(六写眼)

シスイが空中で笑う。

「反則だろそれ」

オビト

「だから嫌なんだよ」

蒼を消す。

一瞬で静寂。

シスイが着地。

笑う。

「勝てねえな」

オビト

「まだ本気じゃねえぞ」

シスイ

「それは知ってる」

イタチが静かに聞く。

「今の術」

「他にもありますか」

オビト

「ある」

イタチ

「……」

オビト

「でも」

少し笑う。

「村壊れるから使わない」

サスケは震えていた。

(兄さんが)

(憧れる理由)

やっと分かった。

あの人は。

優しそうで。

普通で。

でも。

木ノ葉で一番

恐ろしい忍かもしれない。

風が吹く。

六写眼の青が

静かに消えていった。


〆栞
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