術式反転 赫

訓練場。

さっきまでの戦闘の跡が残っている。

地面はえぐれ、木々は折れていた。

その中心で

オビトが肩を回している。

「疲れた」

そう言った瞬間。

笑い声。

「嘘つけ」

振り向く。

うちはシスイ。

シスイ

「今の蒼」

「まだ余裕だったろ」

オビト

「まあな」

シスイ

「じゃあさ」

笑う。

「もう一個」

「あるんだろ?」

オビト

「……」

シスイ

「対になる術」

イタチが目を細める。

その言葉に

オビトは頭をかく。

「よく分かったな」

シスイ

「そりゃ分かる」

「引力があるなら」

「逆もある」

「斥力」

オビト

「正解」

サスケが息を呑む。

(まだあるのか…)

イタチが静かに言う。

「名前は」

オビトは少し考える。

そして。

右手を前に出す。

「術式反転」

空気が歪む。

蒼とは違う。

今度は――

押し出す力。

オビト

「赫」

次の瞬間。

ドンッ!!

見えない衝撃波。

地面が爆ぜる。

木々が一斉に吹き飛ぶ。

シスイが瞬身で後退。

それでも

体が数メートル押される。

サスケは吹き飛ばされそうになり

木にしがみつく。

(うそだろ…!!)

イタチですら

足を踏ん張る。

訓練場の地面が

放射状に砕ける。

静寂。

シスイが笑う。

「派手すぎ」

オビト

「だから嫌なんだよ」

手を下ろす。

「村壊れる」

シスイ

「確かに」

笑う。

「蒼は引く」

「赫は吹き飛ばす」

オビト

「そういうこと」

イタチが静かに言う。

「もし」

「この二つを同時に使ったら」

オビトが少し止まる。

そして

小さく言う。

「……やめとけ」

シスイ

「なんで」

オビト

「消える」

シスイ

「何が?」

オビト

「多分」

「全部」

沈黙。

サスケの背筋に寒気。

(なんだこの人…)

(兄さんより…)

(シスイさんより…)

(次元が違う)

シスイは楽しそうに笑う。

「いいなそれ」

「見たい」

オビト

「見せねえ」

即答。

イタチがふと後ろを見る。

そこには

隠れていたサスケ。

イタチ

「サスケ」

サスケ

「!」

オビトが振り向く。

「あれ」

「見てたのか」

サスケは固まる。

オビトは少し笑う。

「まあいい」

しゃがむ。

サスケと目線を合わせる。

黒目に戻っている。

優しい目。

「強くなれよ」

その一言。

サスケの胸が高鳴る。

オビトは立ち上がる。

「じゃ」

「俺帰る」

シスイ

「飯?」

オビト

「ラーメン」

シスイ

「行く」

イタチ

「私も」

三人が歩いていく。

サスケはその背中を見ていた。

(兄さんの憧れ)

(分かった)

でも同時に思う。

(あの人)

(普段はただのいい人だ)

夕焼けの木ノ葉。

そして

遠く離れた場所。

暗い地下。

根。

誰かが言う。

「六写眼」

「危険すぎる」

静かな声。

「排除対象だ」

男の名は

志村ダンゾウ。

その目が

静かに光っていた。


〆栞
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