問い詰める天才

夕方。

忍者アカデミーの訓練場。

生徒たちは帰り、広い空間には二人しか残っていなかった。

**はたけカカシ**と
うちはオビト。

オビトは地面に寝転びながら空を見ていた。

「今日は疲れたなー」

のんびりした声。

いつもの調子。

だが。

カカシは黙って立っていた。

「……オビト」

オビトは顔だけ向ける。

「ん?」

カカシの目は真剣だった。

「話がある」

オビトは一瞬だけ黙った。

(来たか)

今日の森。

ミナトとの戦闘。

あの時の気配。

気付いていた。

(尾行)

犯人は分かっていた。

カカシ。

オビトはゆっくり体を起こした。

「なんだよ改まって」

カカシは真っ直ぐ言った。

「今日」

沈黙。

風が吹く。

「森で何してた」

オビトは肩をすくめる。

「散歩」

即答。

カカシの目が細くなる。

「嘘だ」

一歩近づく。

「**波風ミナト**と戦ってた」

オビトは目を丸くした。

「え?」

カカシは続ける。

「全部見てた」

静かな声。

だが確信があった。

オビトは数秒黙った。

そして。

ため息。

「……マジか」

カカシの目が鋭くなる。

「やっぱり」

「お前」

拳を握る。

「何者だ」

沈黙。

夕日が長い影を作る。

オビトは頭をかいた。

「言っても信じないぞ」

カカシは即答した。

「言え」

オビトは少し笑った。

「未来を知ってる」

カカシの眉が動く。

「冗談はやめろ」

オビトは首を振る。

「冗談じゃない」

そして。

静かに言った。

「お前は将来」

カカシの呼吸が止まる。

「上忍になる」

沈黙。

オビトは続けた。

「写輪眼を持つ」

カカシの瞳が見開かれる。

「……何だと」

オビトは空を見上げた。

「あと」

声が少し低くなる。

「リンが死ぬ」

空気が凍った。

野原リン。

その名前。

カカシの拳が震える。

「ふざけるな」

オビトは言った。

「霧隠れの任務」

「尾獣」

「暴走」

「お前が殺す」

次の瞬間。

カカシの拳が飛んだ。

ドン!

オビトは受け止める。

カカシの目は怒りで震えていた。

「ふざけるな!」

「リンが死ぬ?」

「俺が殺す?」

声が震える。

オビトは静かだった。

「そうだ」

カカシの拳が震える。

殴る。

もう一度。

オビトは避けない。

受ける。

そして言った。

「だから」

カカシの目を見る。

「変える」

沈黙。

風が吹く。

カカシの呼吸が荒い。

だが。

オビトの目。

嘘の目ではなかった。

それどころか。

(……なんだこの目)

悲しすぎる。

まるで。

すでにその未来を経験したみたいに。

カカシはゆっくり拳を下ろした。

「……証明しろ」

オビトは首をかしげる。

「何を?」

「未来」

カカシは言う。

「証明できるか」

オビトは少し考えた。

そして。

笑った。

「いいぞ」

カカシの目を見る。

「三日後」

静かな声。

「アカデミーの模擬戦」

カカシは眉をひそめる。

オビトは続けた。

「お前」

「写輪眼を初めて見る」

カカシの心臓が強く鳴った。

(写輪眼……?)

オビトは立ち上がる。

「その時」

「信じるか決めろ」

夕日が沈む。

二人の影が長く伸びていた。

そして。

誰もまだ知らない。

この瞬間が。

忍界の未来を変える始まりになることを。


〆栞
PREV  |  NEXT
LIST