▲

うちは一族、運命の日

夜の木ノ葉。

月が静かに里を照らしている。

その光の下で、俺は屋根の上に立っていた。

うちはオビト。

風が髪を揺らす。

遠くに見えるのは――

うちは居住区。

(……来る)

胸の奥が重くなる。

前世で知っている。

この夜。

うちは一族は滅びる。

実行者は――

うちはイタチ。

そして裏で糸を引く男。

志村ダンゾウ。

俺は拳を握った。

「……させるか」

三回目の人生。

この未来だけは。

絶対に変える。

⸻

同じ頃。

うちは本家。

族長の部屋。

座っている男。

うちはフガク。

その前に立つのは。

息子。

うちはイタチ。

部屋は静かだった。

フガクは言った。

「決断はしたか」

イタチは目を伏せている。

沈黙。

そして。

「……はい」

声は小さい。

フガクは目を閉じた。

「そうか」

少しだけ笑う。

「お前は優しい子だ」

イタチの拳が震えた。

⸻

その時。

屋根の上。

俺は印を結んでいた。

「影分身」

ポンッ

煙。

分身が三体。

「お前ら」

俺は言う。

「住民避難」

分身が頷く。

「了解」

消える。

俺は一人で空を見る。

「さて」

目を細める。

「本体は――」

ダンゾウ。

そして。

イタチ。

⸻

うちは地区。

静まり返っている。

その道を歩く少年。

イタチ。

その背後に。

影が降りた。

「よ」

イタチが振り向く。

目が見開かれる。

「……オビト?」

俺は屋根から降りた。

「遅くまで散歩か?」

イタチは沈黙した。

そして言った。

「……ここに来てはいけない」

「知ってる」

俺は言った。

静かに。

「今日だろ」

イタチの目が揺れた。

「……何を」

「一族抹殺」

沈黙。

風が吹く。

イタチは呟いた。

「……なぜ知っている」

俺は肩をすくめた。

「未来を知ってるから」

イタチの写輪眼が開く。

赤い瞳。

「冗談を言う状況ではない」

俺は笑った。

「冗談じゃない」

そして言う。

「止めに来た」

静寂。

イタチは言った。

「……無理だ」

「なぜ」

「これは木ノ葉の決定だ」

つまり。

ダンゾウ。

根。

そして。

里の闇。

イタチの声は震えていた。

「このままでは内戦になる」

「だから一族を――」

「違う」

俺は言った。

強く。

「他に方法ある」

イタチが黙る。

俺は空を見た。

「三代目火影は知ってる」

猿飛ヒルゼン。

「フガクも」

イタチの目が揺れる。

「……どうする」

俺は笑った。

「簡単」

指を立てる。

「ダンゾウ止める」

沈黙。

イタチは言った。

「……一人で?」

俺は笑った。

「いや」

写輪眼が回る。

万華鏡。

そして。

黒いチャクラ。

「俺は三回目の人生だ」

イタチが固まる。

「意味が分からない」

「そのうち分かる」

俺は歩き出した。

「ついてこい」

イタチが言う。

「どこへ」

俺は振り向く。

そして言った。

「闇の根」

つまり。

志村ダンゾウ。

今夜。

運命が変わる。

⸻

同じ頃。

火影執務室。

窓の外を見ている老人。

猿飛ヒルゼン。

煙管の煙がゆっくり上がる。

「……今夜か」

その背後。

銀髪の忍。

はたけカカシ。

カカシが言う。

「止めますか」

ヒルゼンは目を閉じる。

「……間に合うかの」

⸻

夜の木ノ葉。

屋根の上を走る二人の影。

オビト。

イタチ。

未来を変えるために。

うちは一族。

運命の日。

その結末は――

まだ誰も知らない。


【〆栞】
PREV  |  NEXT
LIST
#novel#