霧の殺人鬼

波の国へ続く森の道は、潮の匂いを含んだ風に包まれていた。

木々の隙間から差し込む光の中を、第七班は進んでいる。

先頭は
はたけカカシ。

その後ろを護衛対象の
**タズナ**が歩き、さらにその後ろに三人の下忍。

うずまきナルト
春野サクラ
うちはサスケ

そして最後尾に

**うちはオビト**がいた。

ナルトが欠伸をする。

「なんにも起きねーってばよ」

サクラが呆れた顔をする。

「静かな方がいいのよ」

その時だった。

スゥ……

空気が変わる。

森の奥から白い霧が流れ込んできた。

サスケが立ち止まる。

「霧……?」

オビトの目が細くなる。

肌にまとわりつくような気配。

ただの殺気ではない。

(重い)

(呪いに近い)

負の感情が空間に溶けている。

その瞬間。

空を裂く音。

巨大な刀が回転しながら飛んできた。

ドォン!!

カカシの前の木に突き刺さる。

斬首大刀。

その柄の上に男が立っていた。

霧隠れの抜け忍。

桃地再不斬。

低い声が霧の中に響く。

「久しぶりだな……」

再不斬の視線がカカシを射抜く。

「写輪眼のカカシ」

ナルトが目を丸くする。

「写輪眼?」

カカシはゆっくり額当てを持ち上げた。

左目が露わになる。

赤い瞳。

三つ巴が静かに回転していた。

その瞬間。

ナルトが驚きの声を上げる。

「え!?」

オビトを指差す。

「カカシ先生の目……!」

目を見開いた。

「オビトの眼と同じだってばよ!?」

サクラも驚く。

「ほんとだ……!」

サスケが静かに言った。

「写輪眼だ」

ナルトが首を傾げる。

「しゃりんがん?」

サスケは再不斬を見据えながら説明する。

「うちは一族の血継限界」

「相手の動きを見抜き、幻術をかけ、そして――」

一瞬だけ視線を動かす。

オビトを見る。

オビトの両目。

三つ巴。

自然に使っている。

サスケの眉がわずかに動いた。

(早すぎる)

写輪眼は簡単に開眼するものじゃない。

この年齢で。

しかも。

両目。

疑問が胸に残る。

その時だった。

再不斬が消えた。

水の中から現れる。

水牢の術。

巨大な水球がカカシを閉じ込めた。

「……!」

カカシの体が水の中で動けない。

再不斬が笑う。

「終わりだ」

ナルトの顔が青ざめる。

「カカシ先生!」

再不斬が言う。

「ガキどもは黙って見てろ」

重い殺気がのしかかる。

ナルトの足が震える。

怖い。

逃げたい。

その時。

ナルトの視線が落ちる。

地面に落ちていたもの。

額当て。

木ノ葉の忍の証。

ナルトの手が震える。

ゆっくり拾う。

額に巻き直す。

そして顔を上げた。

震えは消えている。

「オレは……」

低く言う。

「忍者だってばよ」

サスケが横を見る。

そして小さく笑った。

「やっと覚悟決めたか」

ナルトが言う。

「作戦だ」

サスケが頷く。

「やるぞ」

影分身。

ナルトが突撃する。

サスケが巨大風車手裏剣を投げた。

再不斬が片手で止める。

「甘い」

だが。

その影の中からナルトが飛び出した。

「今だ!」

クナイを投げる。

カカシの手へ。

カカシの指が動く。

印。

水牢が解けた。

水が弾ける。

カカシが地面に着地した。

再不斬が舌打ちする。

カカシが静かに言った。

「助かった」

再不斬が笑う。

「だが次はない」

カカシの写輪眼が回る。

「それはどうかな」

再不斬が印を結ぶ。

水遁。

カカシも同じ印。

同じ忍術。

再不斬の目が見開く。

「なに……」

カカシが言う。

「コピー忍者」

「その意味を教えてやる」

忍術が激突する。

水柱が空を裂いた。

戦いは本格的に始まる。

少し離れた場所。

オビトは静かに戦いを見ていた。

写輪眼が回る。

カカシのチャクラの流れ。

忍術の消費量。

そして再不斬の実力。

全てを観察する。

そして内心で呟いた。

(これ……)

(チャクラ切れ起こすな)

写輪眼の維持。

高位水遁。

上忍同士の戦闘。

消耗は激しい。

このまま続けば――

長くは持たない。

オビトの写輪眼が静かに光った。

霧の中。

戦いはまだ終わらない。


〆栞
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