九尾

「九尾」

波の国の任務を終え、数日。

木ノ葉の大門が見えた瞬間――

「帰ってきたってばよー!!」

**うずまきナルト**が両手を上げて叫んだ。

「うるさいわよ、ナルト」

ため息をつくのは
春野サクラ。

その横では、無言で歩く
うちはサスケ。

そして少し後ろを歩くのが

**うちはオビト**だった。

今回の任務は想定以上だった。

霧隠れの鬼人
桃地再不斬。

そして
白。

二人は現在、木ノ葉へ移送されている。

捕虜ではない。

保護対象として。

その時だった。

「じゃ、俺は先に行くね。報告あるし」

振り向きもせず言ったのは
はたけカカシ。

「三人とも、今日は解散」

ナルトが叫ぶ。

「やっとラーメンだってばよ!」

サクラがすぐにサスケを振り向いた。

「サスケくん、団子屋行かない?」

サスケは止まらない。

「用事がある」

そのまま、うちは区画へ歩き去った。

サクラの肩が落ちる。

「はあ……」

ナルトが胸を叩く。

「じゃあ俺ってばサクラちゃんに付き合うってばよ!」

サクラが睨む。

「オビトならまだしも、なんでナルトなのよ」

オビトは一瞬きょとんとした。

(なぜ俺……?)

サスケが本命なのは分かる。

だが第二候補に挙げられるとは思っていなかった。

ナルトが膝から崩れる。

「ひどいってばよ……」

しかしすぐに立ち上がった。

「じゃあイルカ先生にラーメン奢ってもらうってばよ!」

ナルトは走り去った。

残されたのはオビトとサクラ。

オビトは軽く肩をすくめる。

「みんな疲れてるだろ」

「また今度な」

「……はあ」

サクラはさらに肩を落とした。



夜。

月が高く昇っている。

ナルトの家の屋根。

そこに座っているのはオビトだった。

風が静かに吹く。

(さて)

オビトは目を閉じる。

呪術師として学んだ技術。

生得領域への干渉。

意識を深く沈めていく。

(ナルトの中へ)

世界が歪む。

暗い空間。

水の音。

巨大な鉄格子。

その奥で赤い瞳が開いた。

九尾の九喇嘛。

巨大な狐が見下ろしていた。

「……人間」

低い声が響く。

オビトは腕を組んだ。

「少し聞きたいことがある」

九尾の瞳が細くなる。

「九尾襲来の夜」

オビトは言う。

「お前を操っていた奴がいた」

九尾が低く唸った。

「……いたな」

「写輪眼を持つ男だ」

オビトの思考が止まる。

だが九尾は続けた。

「だが人間ではない」

「奴らは――」

九尾は言った。

「虚(ホロウ)」

静寂。

「人間の血肉や魂を喰らう存在」

「形は様々だが、人の形を取るものは強い」

オビトは思考を落とす。

(呪霊に近い)

(だが違う)

九尾は続ける。

「胸に孔がある」

「それが奴らだ」

オビトはさらに聞いた。

「四代目は?」

九尾は答える。

「多少戦った」

「だが奴は消えた」

そして言う。

「忍の術では奴らは倒せん」

オビトの目が細くなる。

「だが」

九尾は牙を見せた。

「尾獣なら祓える」

オビトは静かに頷いた。

(虚……)

忍の世界の裏側。

そこに存在する新たな敵。

そして九尾襲来の夜に現れた

写輪眼の虚。

オビトは静かに立ち上がる。

「情報は十分だ」

九尾が鼻で笑う。

「妙な人間だ」

意識が戻る。

夜の屋根。

静かな木ノ葉。

オビトは空を見上げた。

忍としての自分。

そして

呪術師としての自分。

その二つを使う時が――

近づいていた。



翌朝。

火影室。

煙管の煙がゆっくりと上がる。

机の向こうに座るのは

猿飛ヒルゼン。

部屋には

カカシ。

そして第七班。

さらに――

二人の忍。

桃地再不斬。

白。

三代目がゆっくり口を開いた。

「さて」

「波の国の任務について聞こうか」

その視線が二人に向く。

「それと――」

「お主らをどうするか、じゃな」

静かな火影室。

木ノ葉の判断が、今下されようとしていた。



〆栞
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