中忍試験

火影塔の廊下。

任務報告の場を後にした第七班は、並んで歩いていた。

静かな廊下に、ナルトの声が響く。

「なあなあ!」

振り返る。

**うずまきナルト**が興奮した顔で言った。

「中忍試験ってさ、すげーやつなんだろ!?」

隣で**春野サクラ**が呆れた顔をする。

「アンタ少しは落ち着きなさいよ」

ナルトは構わない。

「だってよ!俺ってばもう中忍――」

「気が早い」

前を歩いていた
**うちはサスケ**が低く言った。

「まだ受けるとも決まってない」

その時だった。

「いや、受けるよ」

後ろから声がした。

四人が振り向く。

壁にもたれていたのは――

はたけカカシ。

ナルトが跳ねた。

「カカシ先生!」

カカシは片目を細めた。

「中忍試験」

「第七班を推薦する」

ナルトの顔が一気に明るくなる。

「やったーー!!」

サクラは驚いた顔になる。

「本当に……?」

カカシは頷いた。

「ただし」

指を一本立てる。

「最終的に受けるかどうかは」

「お前たち自身が決めることだ」

サスケが即答する。

「受ける」

ナルトも拳を握る。

「俺も!」

サクラは一瞬だけ迷った。

だがすぐに顔を上げる。

「……私も受けます」

カカシの視線が最後に向いた。

うちはオビト。

「お前は?」

オビトは少し考えた。

中忍試験。

各国の忍が集まる試験。

つまり――

強い忍が集まる。

情報も集まる。

そして。

(何かが動く気がする)

胸の奥の、言葉に出来ない感覚。

だがオビトは肩をすくめた。

「受けます」

ナルトが拳を突き上げる。

「よっしゃあ!!」

カカシは頷いた。

「よし」

「三日後」

「忍者アカデミー、301教室」

「そこに集合」

そう言って手をひらひら振る。

「じゃ、解散」

カカシはゆっくり歩き去った。

廊下に残された四人。

ナルトはもう興奮している。

「中忍試験だってばよ!!」

「絶対勝つ!」

サスケは何も言わず歩き出す。

サクラも慌てて後を追う。

だが途中で、サクラの足が止まった。

オビトが振り向く。

「どうした」

サクラは少し黙ってから言った。

「ねえ」

「私……大丈夫かな」

オビトは黙った。

サクラは視線を落とす。

「サスケくんはうちは一族で天才だし」

「ナルトだって最近すごく強くなってる」

少し間を置く。

「オビトだって……うちはだし」

唇を噛んだ。

波の国。

橋の戦い。

自分は守られてばかりだった。

「私だけ」

「普通」

小さな声だった。

オビトは少し考えた。

それから言う。

「普通じゃない」

サクラが顔を上げる。

「え?」

オビトは続ける。

「チャクラコントロール」

「お前が一番上手い」

サクラは驚く。

「でもそれって……」

「地味」

オビトが先に言った。

サクラは苦笑する。

オビトは肩をすくめた。

「でも一番大事だ」

「忍術も」

「幻術も」

「医療も」

「全部チャクラコントロールが土台」

静かに言う。

「お前はそれが出来る」

少し間を置く。

「自信持て」

サクラはしばらく黙っていた。

そして小さく笑う。

「……ありがとう」

その時だった。

遠くからナルトの声が響いた。

「オビトー!!」

振り向く。

ナルトが手を振っている。

「早く来いってばよ!」

オビトは軽く手を上げた。

「今行く」

サクラはその背中を見ていた。

胸の奥の重さが、少しだけ軽くなっていた。



その頃。

木ノ葉の森。

木の枝の上に、一人の男が立っていた。

長い黒髪。

蛇のような瞳。

大蛇丸。

ククク……。

低い笑い声。

「中忍試験」

「楽しみね」

舌がゆっくり唇を舐める。

「うちはサスケ」

だがその時。

橋の戦いの記憶がよぎった。

霧の中。

感じた妙な力。

大蛇丸の目が細くなる。

「……もう一人」

口元が歪む。

「面白い子がいたわね」

うちはオビト。

蛇のような笑みが浮かんだ。

「ふふ」

「これは楽しめそう」

木の葉が風に揺れた。

中忍試験。

それは――

新たな嵐の始まりだった。


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