散る花

中央の塔、大広間。

戦闘場では――
**ロック・リー**の姿が消えていた。

いや。

消えたように見えるほど、速い。

ドンッ!!

我愛羅の砂が弾ける。

蹴り。

拳。

回転蹴り。

空中からの連撃。

観戦席が騒然となる。

「見えない……!」

「なんだあのスピード!」

観戦席で
**うずまきナルト**が叫ぶ。

「すげぇぇ!!」

隣の
**春野サクラ**も目を見開いていた。

「リーくん……!」

戦闘場。

リーの連撃が我愛羅を追い詰める。

砂の防御を突破する速度。

蹴りが直撃する。

ドンッ!!

我愛羅の体が初めて大きく揺れた。

観戦席。

砂の忍たち。

**テマリ**が驚く。

「嘘……」

**カンクロウ**も目を見開く。

「あの我愛羅が……!」

だが。

我愛羅は倒れない。

ゆっくりと立ち上がる。

その瞳は――

どこか狂気を帯びていた。

「……痛い」

低い声。

リーは構え直す。

観戦席から
**マイト・ガイ**の声が響く。

「リー!!」

リーは振り返らない。

ただ頷いた。

「はい!!」

次の瞬間。

体内のチャクラが爆発する。

第一門――開門。

そして。

第二門。

第三門。

第四門。

第五門――杜門。

リーの身体から蒸気のような熱気が噴き出す。

観戦席が息を呑む。

上忍席。

**はたけカカシ**が低く言う。

「八門遁甲……」

横で
**うちはオビト**が静かに見ていた。

(五門)

この年齢でそこまで開くか。

オビトは腕を組む。

(やっぱりすげぇな、リー)

戦闘場。

リーが地面を蹴る。

――消えた。

次の瞬間。

我愛羅の背後。

ドンッ!!

強烈な蹴り。

さらに連撃。

砂を吹き飛ばす。

そして。

リーは叫ぶ。

「表蓮華!!」

我愛羅を空中へ蹴り上げる。

自分も追う。

空中で体を拘束。

そして。

回転。

急降下。

ズドォォォン!!

大地が砕ける。

巨大な衝撃。

砂煙が広がる。

観戦席が静まり返る。

ナルトが呟く。

「やった……?」

だが。

砂煙が晴れる。

そこにいたのは――

無傷の我愛羅。

砂の球体が守っていた。

リーは膝をつく。

呼吸が荒い。

体はすでに限界だった。

それでも。

立ち上がろうとする。

「まだ……」

「まだ終わってません……!」

その瞬間。

砂が動いた。

ザァッ!!

我愛羅の砂がリーを包み込む。

ギシッ。

骨が軋む音。

観戦席が凍りつく。

「……!」

リーの腕。

脚。

締め上げられる。

我愛羅の瞳は冷たい。

「潰れろ」

砂がさらに圧縮される。

その瞬間。

シュンッ!!

間に割り込む影。

「そこまでだ」

**月光ハヤテ**だった。

試験官が試合を止める。

砂が止まる。

リーの体が崩れ落ちる。

ガイが戦闘場へ飛び降りる。

「リー!!」

リーの身体はもう動かない。

それでも。

右腕がゆっくり上がる。

構え。

戦う姿勢。

だが。

そのまま――

静かに倒れた。

観戦席が静まり返る。

ガイはリーを抱き上げる。

目を閉じた。

「……よくやった」

小さく震える声。

観戦席。

オビトは静かに息を吐いた。

(立ったまま気絶)

本当に。

最後まで戦うつもりだった。

その時。

隣でナルトが拳を握っていた。

「リー……」

サクラも目を潤ませている。

我愛羅は何も言わず、ただ戦闘場に立っていた。

その背中を見ながら。

オビトは小さく呟いた。

「……お前」

「まだ止まれないんだな」

砂の少年の背中は。

どこか――

ひどく孤独に見えた。


〆栞
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