それぞれの一ヶ月
中央の塔での予選は終わった。
そして数日後。
**月光ハヤテ**が静かに告げた。
「本戦は――一ヶ月後に行う」
観戦席がざわめく。
「一ヶ月……?」
ハヤテは咳を一つする。
「各自、その期間で準備を整えろ」
「以上だ」
これで予選は終了。
本戦まで――
一ヶ月。
⸻
木ノ葉の里。
修行場。
**うずまきナルト**がカカシの前に立っていた。
「カカシ先生!!」
勢いよく頭を下げる。
「修行つけてほしいってばよ!!」
真剣な目。
その視線を受けて
**はたけカカシ**は頭をかいた。
「うーん……」
少し困った顔をする。
「悪い」
ナルトが目を丸くする。
「え?」
カカシは肩をすくめた。
「サスケの修行を見る約束してるんだ」
視線の先には
うちはサスケ。
サスケは黙って立っていた。
ナルトが叫ぶ。
「なんでだってばよ!!」
「俺だって試験あるんだぞ!!」
カカシはのんびり言う。
「安心しろ」
「ちゃんと代わりを紹介する」
その瞬間。
背後から声がした。
「私が見る」
振り向くと――
黒いサングラス。
真面目そうな顔。
現れたのは
**エビス**だった。
ナルトの顔が一瞬で変わる。
「あーーー!!」
指差す。
「むっつりスケベッ――」
「むぐっ!!」
慌ててエビスがナルトの口を塞ぐ。
「ばっ……!」
「ばかなことを言うな!!」
必死の小声。
ナルトがもがく。
カカシが首を傾げた。
「……知り合い?」
ナルトの口を押さえたまま、エビスは汗を流す。
「ち、違います」
「この子が一方的に誤解しているだけで」
ナルトが必死に叫ぶ。
「嘘つけーー!!」
エビスはさらに口を押さえる。
「黙れ!!」
カカシは少し面白そうに笑った。
「まあ」
「実力は確かだから」
ナルトの肩をぽんと叩く。
「頑張れ」
ナルトは泣きそうな顔だった。
⸻
その頃。
木ノ葉の別の場所。
うちは一族の屋敷。
広い和室。
畳の上に正座している少年が一人。
うちはオビト。
向かいに座る人物。
威厳のある男。
うちは一族の長――
うちはフガク。
その隣には
**うちはイタチ**が静かに座っている。
沈黙。
空気が重い。
オビトは内心で叫んでいた。
(なんだこの展開……)
冷や汗が止まらない。
目の前には
うちは一族の族長。
横には
あのイタチ。
(俺なんかしたっけ……)
脳内で必死に記憶を遡る。
うちは滅亡は止めた。
ダンゾウも消えた。
里の問題も一応落ち着いている。
(いやでも)
何かバレたか?
呪術?
赤血操術?
黒閃?
それとも――
前世の知識?
頭の中がぐるぐるしている。
フガクが静かに口を開いた。
「オビト」
低く重い声。
オビトの背筋が伸びる。
「……はい」
フガクは少しだけ目を細めた。
「お前の戦い」
「見せてもらった」
オビトの心臓がドクンと鳴る。
隣でイタチが静かにオビトを見ている。
沈黙。
そして。
フガクが言った。
「聞きたいことがある」
オビトの内心は。
(やばい)
(絶対やばい)
(これ絶対めんどくさいやつ)
汗が背中を流れる。
一ヶ月の準備期間。
だが。
オビトにとっては――
どうやら
最初から修羅場らしい。
【〆栞】