増血丸の理由
うちは一族の屋敷。
静まり返った和室。
畳の上に正座する
**うちはオビト**の背中を、冷たい汗が伝っていた。
向かいには
うちはフガク。
その隣には
うちはイタチ。
完全に族長面談の空気だった。
(なんで俺呼ばれてんだよ……)
表情は平静だが、内心は忙しい。
沈黙を破ったのはフガクだった。
「オビト」
「はい」
「一つ聞く」
低く重い声。
「お前、薬を購入したな」
オビトの思考が一瞬止まる。
フガクが続ける。
「兵糧丸ではない」
「増血丸だ」
(……あー)
ようやく理解した。
イタチが静かに補足する。
「薬屋の記録に残っていました」
「うちはの者が軍需薬を購入した場合、族長に報告が来ます」
忍の薬は管理対象だ。
特に増血丸は、重傷任務用の薬。
下忍が購入すれば確認が入るのも当然だった。
フガクはオビトを見据える。
「理由を聞こう」
「なぜ増血丸が必要だ」
重い視線。
だがオビトは肩をすくめた。
「……予備です」
フガクの眉がわずかに動く。
オビトは続けた。
「俺の戦い方」
「見ましたよね」
イタチが頷く。
「血液を操る術」
「そう」
オビトは苦笑した。
「つまり血を使う」
「消費も多い」
少し間を置く。
「今の俺、身体がまだガキなんで」
フガクとイタチの視線が動く。
「血の量が少ない」
「だから補充用」
それだけの話だった。
オビトは軽く笑う。
「大人になれば多少は余裕出ますけど」
「今は念のためです」
イタチが静かに言った。
「合理的だ」
フガクは腕を組む。
「身体への負担は」
「治療術である程度カバーしてます」
それ以上は説明しない。
フガクはしばらく考えてから言った。
「……そうか」
そして低く続ける。
「だが」
「死ぬな」
オビトは一瞬驚いた。
フガクの声は厳しい。
だがその奥に、わずかな気遣いがあった。
「強い術ほど」
「使い手を削る」
オビトは軽く笑う。
「大丈夫ですよ」
「ちゃんと加減してます」
イタチが静かに言う。
「そうは見えませんでしたが」
オビトは苦笑した。
「……あの試合は例外です」
「普通の相手なら、あそこまでやりません」
沈黙。
フガクは小さく息を吐いた。
「もう一つ」
オビトの背筋が伸びる。
「中忍試験」
「はい」
イタチが静かにオビトを見る。
「本戦」
「お前、まだ本気ではなかったな」
オビトの思考が止まる。
(……バレてる)
オビトは頭をかいた。
「いやぁ……」
「試験場壊すのもまずいかなって」
フガクとイタチは黙る。
そしてフガクが言った。
「本戦」
「期待している」
オビトの背中に汗が流れた。
(やばい)
(完全に逃げ道ない)
本戦まで――
残り一ヶ月。
静まり返った和室。
畳の上に正座する
**うちはオビト**の背中を、冷たい汗が伝っていた。
向かいには
うちはフガク。
その隣には
うちはイタチ。
完全に族長面談の空気だった。
(なんで俺呼ばれてんだよ……)
表情は平静だが、内心は忙しい。
沈黙を破ったのはフガクだった。
「オビト」
「はい」
「一つ聞く」
低く重い声。
「お前、薬を購入したな」
オビトの思考が一瞬止まる。
フガクが続ける。
「兵糧丸ではない」
「増血丸だ」
(……あー)
ようやく理解した。
イタチが静かに補足する。
「薬屋の記録に残っていました」
「うちはの者が軍需薬を購入した場合、族長に報告が来ます」
忍の薬は管理対象だ。
特に増血丸は、重傷任務用の薬。
下忍が購入すれば確認が入るのも当然だった。
フガクはオビトを見据える。
「理由を聞こう」
「なぜ増血丸が必要だ」
重い視線。
だがオビトは肩をすくめた。
「……予備です」
フガクの眉がわずかに動く。
オビトは続けた。
「俺の戦い方」
「見ましたよね」
イタチが頷く。
「血液を操る術」
「そう」
オビトは苦笑した。
「つまり血を使う」
「消費も多い」
少し間を置く。
「今の俺、身体がまだガキなんで」
フガクとイタチの視線が動く。
「血の量が少ない」
「だから補充用」
それだけの話だった。
オビトは軽く笑う。
「大人になれば多少は余裕出ますけど」
「今は念のためです」
イタチが静かに言った。
「合理的だ」
フガクは腕を組む。
「身体への負担は」
「治療術である程度カバーしてます」
それ以上は説明しない。
フガクはしばらく考えてから言った。
「……そうか」
そして低く続ける。
「だが」
「死ぬな」
オビトは一瞬驚いた。
フガクの声は厳しい。
だがその奥に、わずかな気遣いがあった。
「強い術ほど」
「使い手を削る」
オビトは軽く笑う。
「大丈夫ですよ」
「ちゃんと加減してます」
イタチが静かに言う。
「そうは見えませんでしたが」
オビトは苦笑した。
「……あの試合は例外です」
「普通の相手なら、あそこまでやりません」
沈黙。
フガクは小さく息を吐いた。
「もう一つ」
オビトの背筋が伸びる。
「中忍試験」
「はい」
イタチが静かにオビトを見る。
「本戦」
「お前、まだ本気ではなかったな」
オビトの思考が止まる。
(……バレてる)
オビトは頭をかいた。
「いやぁ……」
「試験場壊すのもまずいかなって」
フガクとイタチは黙る。
そしてフガクが言った。
「本戦」
「期待している」
オビトの背中に汗が流れた。
(やばい)
(完全に逃げ道ない)
本戦まで――
残り一ヶ月。
【〆栞】