落下修行

木ノ葉の外れ、深い森の中。

巨大な崖の上で、
**うずまきナルト**は汗だくになっていた。

「はぁ……はぁ……」

地面には巻物。

そしてその前で腕を組んでいるのは
**自来也**だ。

「よし、もう一回だ」

ナルトが叫ぶ。

「何回やらせるんだってばよ!!」

「だから言ってんだろ!」

「口寄せはチャクラの量と質だ!」

ナルトは地面に手をつく。

「口寄せの術!!」

ボン!!

煙が上がる。

出てきたのは――

小さなオタマジャクシだった。

沈黙。

自来也が言う。

「……帰れ」

ボン。

オタマジャクシは消えた。

ナルトが頭を抱える。

「なんでだよぉぉぉ!!」

その少し離れた木の枝に、
**うちはオビト**が座っていた。

腕を組み、静かに見ている。

「……」

ナルトのチャクラは多い。

多すぎる。

制御がまだ追いついていない。

それでも。

(もうすぐだな)

オビトはそう感じていた。

自来也が溜息をつく。

「しょうがねぇな」

ナルトが顔を上げる。

「?」

自来也はナルトの肩を掴んだ。

「ナルト」

「修行ってのはな」

真顔で言う。

「死ぬ気でやるもんだ」

ナルトが固まる。

「……は?」

次の瞬間。

ドンッ!!

自来也はナルトを崖から突き落とした。

「えええええええええ!!?」

ナルトの悲鳴が森に響く。

落ちていく。

真っ逆さまに。

数十メートル。

地面が迫る。

ナルトが叫ぶ。

「自来也のエロ仙人んんんん!!」

自来也は崖を覗き込んだ。

「さて」

「どうするかな」

落下するナルト。

(やべぇ)

(死ぬ!!)

必死に印を結ぶ。

「口寄せの術!!」

だが――

煙だけ。

何も出ない。

ナルトの顔が青くなる。

(くそ!!)

(なんで出ないんだ!!)

(こんなところで死ぬのか!?)

その時だった。

意識が沈む。

深い場所へ。

ナルトの目の前に現れたのは――

巨大な鉄格子。

その奥で。

巨大な瞳が開く。

「……また貴様か」

低い声。

九喇嘛。

ナルトが叫ぶ。

「九尾!!」

九尾は鼻を鳴らす。

「落ちているようだな」

ナルトが怒鳴る。

「助けろってばよ!!」

九尾は笑う。

「助けてほしいか?」

ナルトは歯を食いしばる。

「……ああ!」

九尾の瞳が細くなる。

「ならば」

「力を貸してやろう」

その瞬間。

ナルトの身体から赤いチャクラが噴き出した。

崖の上。

自来也の目が細くなる。

「出たな」

オビトも静かに見ていた。

赤いチャクラ。

九尾の力。

その膨大さ。

ナルトは空中で印を結ぶ。

「口寄せの術!!!」

ドォン!!!

巨大な煙。

その中から現れたのは――

巨大な蛙。

**ガマブン太**だった。

「な、なんだぁ!?」

ガマブン太が怒鳴る。

ナルトはその頭に落ちた。

ドォォォン!!!

地面が揺れる。

森が震えた。

崖の上。

自来也が笑った。

「成功だな」

オビトは腕を組む。

「派手だな」

自来也がちらりと見る。

「お前は驚かねぇのか?」

オビトは肩をすくめた。

「ナルトならやると思ってた」

自来也は笑う。

「信頼してるじゃねぇか」

オビトは答えない。

その視線は――

ナルトではない。

赤いチャクラ。

その奥。

封印の向こう。

九尾。

その視線が。

確かに。

オビトを見ていた。

(……)

九尾は思う。

(あの小僧)

(妙だな)

普通のうちはとは違う。

血の匂い。

それに。

(あれは……)

(呪いに近い何か)

九尾は低く笑った。

(面白い)

崖の下。

ガマブン太が怒鳴る。

「小僧!!」

「誰の上に乗ってやがる!!」

ナルトが叫ぶ。

「え!?」

「でっかい蛙だってばよ!!」

ガマブン太が拳を振り上げる。

「ぶっ飛ばすぞガキ!!」

自来也が笑った。

「ははは!」

「修行は成功だな」

オビトは静かに呟く。

「……本戦まで」

「あと少し」

森の風が吹く。

そしてどこか遠くで。

別の影が動き始めていた。


〆栞
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