二人の覚悟

うちは屋敷の外。

朝の光が石畳を照らしていた。

本戦の開始まで、まだ少し時間がある。

だが里の空気はすでに騒がしい。

観客。

忍。

各国の使者。

中忍試験本戦は、忍界にとって一つの舞台でもある。

その喧騒から少し離れた場所で、
**うちはオビト**と
**うちはイタチ**は向き合っていた。

しばらく沈黙。

やがてイタチが言う。

「任務が下りた」

オビトは眉を上げる。

「暗部の?」

イタチは頷く。

「極秘だ」

オビトは肩をすくめた。

「聞かない方がいいやつか」

イタチは首を横に振る。

「お前には」

「伝えておくべきだと思った」

オビトの表情が少し変わる。

イタチは静かに言った。

「俺は」

「木ノ葉を抜ける」

オビトの思考が止まる。

「……は?」

だがイタチは続ける。

「表向きは抜け忍」

「実際は潜入任務だ」

その名前を口にする。

「暁」

オビトの目が細くなる。

暁。

忍界の裏に潜む組織。

まだ詳細は不明。

だが確実に危険な集団。

オビトは静かに聞く。

「一人か?」

イタチは首を振る。

「三人」

その名前を告げる。

桃地再不斬。

白。

オビトは一瞬驚いた。

「……あの二人か」

イタチは説明する。

「俺が内部諜報」

「再不斬が外部連絡」

「白が暗部への伝達」

オビトは腕を組む。

「なるほど」

「綺麗な情報ラインだな」

イタチは頷く。

「だが」

「代償がある」

オビトは苦笑した。

「だろうな」

イタチは静かに言う。

「うちはイタチは」

「裏切り者になる」

里を捨てた忍。

木ノ葉の敵。

その烙印。

それを背負う任務だった。

しばらく沈黙。

風が吹く。

オビトは空を見上げた。

「……フガクは?」

イタチが答える。

「了承した」

オビトは小さく笑った。

「そうか」

イタチが聞く。

「驚かないのか」

オビトは肩をすくめる。

「いや」

「驚いたよ」

少し考えてから言う。

「でも」

「お前ならやると思った」

イタチは黙る。

オビトは続けた。

「木ノ葉のために」

「自分を捨てる」

「そういうタイプだろ」

イタチの目がわずかに揺れる。

オビトは笑う。

「相変わらず損な役回りだな」

イタチは静かに言った。

「それでも」

「必要だ」

オビトは頷く。

「まあな」

そして。

少し真面目な声で言う。

「死ぬなよ」

イタチの目が細くなる。

オビトは続けた。

「再不斬も白も」

「強いけど」

「暁はもっと面倒だ」

イタチは頷く。

「分かっている」

オビトは少し考えた。

そして言う。

「……一つだけ」

イタチを見る。

「もし」

「どうにもならなくなったら」

イタチが聞く。

「どうする」

オビトは軽く笑った。

「俺を呼べ」

イタチの万華鏡がわずかに揺れる。

オビトは続けた。

「場所は分かる」

「たぶん」

イタチは小さく息を吐いた。

「……相変わらずだな」

オビトが笑う。

「褒め言葉だと思っとく」

遠くで鐘が鳴った。

本戦開始の合図。

オビトは背を向ける。

「じゃ」

「行ってくる」

イタチが言う。

「勝て」

オビトは振り返らない。

手だけ軽く上げた。

「当然」

そして歩き出す。

中忍試験本戦。

その舞台へ。

残されたイタチは空を見る。

青い空。

静かな朝。

だが。

この日。

忍界は大きく動き始める。

そして。

それぞれの戦いが。

いま、始まろうとしていた。


〆栞
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