木ノ葉崩し開始

中忍試験本戦会場。

観客席の上段。

腕を組みながら試合を見ている少年が一人。

**うちはオビト**だった。

闘技場の中央では
**うちはサスケ**と
**我愛羅**が対峙している。

サスケの雷遁が空気を震わせる。

(この流れ……)

オビトは静かに目を細めた。

前々世で見た出来事に、あまりにも近い。

そして。

サスケが踏み込んだ。

「千鳥!!」

雷鳴。

突き出された手刀が、我愛羅の砂の防御を突き破る。

ザシュッ――

血が飛んだ。

観客席がどよめく。

我愛羅はゆっくりと自分の頬に触れた。

指先についた赤を見つめる。

「……血」

その瞬間。

砂が暴れた。

ドォン!!

巨大な砂の塊が闘技場の壁を突き破る。

破片が飛び散り、土煙が舞う。

「我愛羅!?」

砂忍の席がざわめく。

我愛羅はそのまま外壁を破壊し、森へと跳び出した。

サスケが舌打ちする。

「逃がすか」

すぐに追う。

その背後から――

「待てってばよ!!」

**うずまきナルト**が飛び出した。

さらに

奈良シカマル
春野サクラ

三人も後を追う。

森へと消えていった。

オビトはその様子を見送り、小さく息を吐く。

(ナルトに任せる)

同じ人柱力。

だからこそ、届く言葉もある。

そのときだった。

ふわり、と。

白い羽が舞った。

オビトの目が細くなる。

(幻術)

羽はゆっくりと観客席に降り注いでいく。

一人、また一人。

観客が倒れていった。

ドサッ

「な、なんだ……」

忍ですら意識を失い始める。

「眠りの幻術だ!」

誰かが叫ぶ。

同時に。

屋根の上に影が現れた。

音忍。

砂忍。

木ノ葉崩しが始まった。

「チッ」

屋根の上にいた
**猿飛アスマ**が舌打ちする。

「やっぱり来たか」

隣では
**夕日紅**がクナイを構えていた。

さらに。

別の屋根。

**マイト・ガイ**が笑う。

「青春だな!!」

その隣で
**はたけカカシ**が額当てを上げた。

「……来ると思ってたよ」

そして。

火影席。

ヒルゼンの隣に立っていた人物が笑った。

「久しぶりね、先生」

顔の皮が剥がれる。

現れたのは――

大蛇丸。

ヒルゼンは静かに目を細める。

「やはりお主か」

その瞬間。

屋根に四人の忍が降り立った。

「四紫炎陣!」

紫の炎が空間を囲む。

バッ!!

火影席を包み込む結界が完成した。

「結界だ!」

カカシが駆け寄る。

だが――

バチッ!!

触れた瞬間、紫炎が弾けた。

「くっ……!」

ガイが歯を食いしばる。

「突破できん!」

そのとき。

低い声が響いた。

「……写輪眼」

二人が振り向く。

そこに立っていたのは

うちはフガク。

警務隊長。

うちは一族の長。

写輪眼が結界を見据える。

「強力な結界だ」

フガクが呟く。

「外からは破れん」

カカシが眉をひそめた。

「……中には火影様が」

そのとき。

一人の少年が歩いてきた。

うちはオビト。

フガクが視線を向ける。

「オビト」

オビトは結界を見上げた。

紫の炎。

四紫炎陣。

その内側。

ヒルゼンと大蛇丸。

(穢土転生も来るな)

体の奥で声が響く。

ナルトの中の
九尾。

――ほう。

――あの蛇の男、面白い術を使う。

オビトは小さく息を吐いた。

「ちょっと行ってくる」

カカシが振り向く。

「は?」

オビトは結界に手を触れた。

次の瞬間。

バリバリバリッ!!

紫炎が激しく弾けた。

チャクラと呪力。

異質な力が衝突する。

カカシが目を見開く。

「……!?」

ガイも驚く。

「な、何だその音は!」

フガクの写輪眼が細くなる。

「……妙な力だ」

紫炎が歪む。

オビトは静かに呟いた。

「チャクラの結界か」

一歩踏み出す。

「呪力とは相性悪いな」

バリバリバリッ!!

結界が裂ける。

その隙間へ――

オビトの体が滑り込んだ。

「オビト!!」

カカシが叫ぶ。

だが、もう遅い。

結界は元に戻る。

内側。

ヒルゼンが振り向いた。

「……!?」

大蛇丸も目を細める。

「ほう?」

オビトは静かに言った。

「爺ちゃん」

写輪眼が開く。

「ちょっと手伝う」

その背後で。

棺が地面から現れた。

穢土転生。

棺の蓋が開く。

現れたのは

千手柱間

そして

千手扉間

柱間がオビトを見る。

「若いのが来たのう」

扉間は目を細めた。

「妙な気配だ……」

そして。

大蛇丸が笑う。

「面白い子ね」

オビトは拳を握った。

(まずは――)

(穢土転生)

忍界最強の二人へ。

オビトが踏み込む。



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