三代目火影の後ろ盾

木ノ葉は静かだった。

つい数日前まで、戦場だったとは思えないほどに。

倒壊した建物は修復が進み、忍たちは忙しく動き回っている。

里は生きている。

傷ついても、立ち上がる。

それが木ノ葉だった。

その中心。

**猿飛ヒルゼン**は、火影室の窓から里を見下ろしていた。

「……老いたものじゃ」

小さく呟く。

そこへ扉が叩かれた。

「入れ」

扉が開く。

入ってきたのは

**うちはオビト**だった。

ヒルゼンはゆっくり振り返る。

「来たか」

オビトは頭を下げた。

「お呼びと聞いて」

ヒルゼンは椅子に腰を下ろす。

「うむ」

しばし沈黙。

そしてヒルゼンは言った。

「木ノ葉崩しの時のことじゃ」

オビトの目がわずかに動く。

ヒルゼンは続けた。

「結界を通り抜け」

「水を自在に操り」

「大蛇丸を退けた」

あの戦いを思い出す。

大蛇丸。

かつての弟子。

そして穢土転生。

初代と二代目。

あの場で。

少年が立っていた。

ヒルゼンは静かに言う。

「お前は何者じゃ、オビト」

問い。

責めるものではない。

ただ知りたい。

オビトは少し考えた。

そして答える。

「木ノ葉の忍です」

それだけだった。

ヒルゼンは一瞬だけ目を細める。

そして――

笑った。

「そうか」

それでよい。

ヒルゼンは立ち上がる。

「人にはそれぞれ事情がある」

「儂も長く忍をやっておる」

「聞くべきでないことも分かる」

オビトは黙って聞いている。

ヒルゼンは言った。

「じゃが」

少し真剣な顔になる。

「一つだけ聞こう」

「その力」

「木ノ葉のために使う気はあるか?」

迷いはない。

オビトは即答した。

「あります」

ヒルゼンは頷く。

それで十分だった。

「ならばよい」

ヒルゼンは窓の外を見る。

「儂はもう長くない」

突然の言葉。

オビトの目が少し動く。

ヒルゼンは続けた。

「木ノ葉崩しは防げなかった」

「それが火影の責任じゃ」

静かに言う。

「儂は火影を退く」

オビトは黙ったままだ。

ヒルゼンは振り返る。

「次の火影は決めておる」

その名は。

綱手。

「じゃが、まだ戻っておらん」

ヒルゼンは小さく笑う。

「自来也が連れ戻しに行く」

自来也。

そして

うずまきナルト。

ヒルゼンはオビトを見る。

「お前は行かんでよい」

「里に残れ」

オビトは少し意外そうにする。

ヒルゼンは言う。

「お前は」

「木ノ葉の忍として」

「堂々と動けばよい」

そして続けた。

「何かあれば儂の名を出せ」

「儂が後ろ盾になろう」

火影の言葉。

それは絶対的だった。

オビトは静かに頭を下げる。

「……ありがとうございます」

ヒルゼンは微笑む。

「お前のような忍が」

「木ノ葉におることを誇りに思う」

その言葉を。

オビトは静かに受け止めた。



〆栞
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