螺旋丸修行

街道沿いの森。

昼下がりの静かな空き地に、少年の叫び声が響いた。

「くそーっ!!」

地面に座り込んでいるのは
うずまきナルト。

手には一つの風船。

その前で腕を組んでいる男は
**自来也**だった。

「エロ仙人!」

ナルトが風船を振り回す。

「なんで忍術の修行で風船なんだってばよ!!」

自来也は面倒くさそうに頭を掻いた。

「だから言っただろ」

「忍術はチャクラを操る技術だ」

ナルトはむすっとする。

「それくらい知ってるってばよ」

自来也はニヤリと笑った。

「じゃあ聞くが」

「チャクラを回転させたことはあるか?」

ナルトが固まる。

「……回転?」

自来也は風船を指差した。

「その風船の中でチャクラを回すんだ」

「内側から弾けさせる」

ナルトは風船を見つめる。

「そんなこと……できるのか?」

「やってみろ」

ナルトは風船を握る。

チャクラを流す。

回す。

回す。

回す。

――ぼよん。

風船は膨らむだけだった。

ナルトが叫ぶ。

「なんでだってばよ!!」

自来也は肩をすくめた。

「回転が甘い」

ナルトは歯を食いしばる。

「もう一回!」

再びチャクラを流す。

回す。

回す。

回す。

ボンッ!!

風船が破裂した。

ナルトの顔が一瞬で明るくなる。

「割れた!!」

自来也は軽く頷いた。

「悪くない」

だがその目は、どこか遠くを見ていた。

(……そういや)

昔のことを思い出す。

同じ修行を教えた少年がいた。

うちはオビト。

あの時も同じ説明をした。

『チャクラを回転させる術だ』

そう言った直後だった。

「こうですか?」

ボンッ。

風船が一発で破裂した。

自来也は呆気に取られた。

しかもその直後。

「圧縮ってこういう感じですよね」

今度はボールまで割った。

自来也は思わず言ったものだ。

「……お前もういい」

思い出して苦笑する。

(あいつは例外だな)

ナルトが叫んだ。

「次!!」

自来也は現実に戻る。

ポケットから取り出す。

今度はゴムボール。

ナルトの顔が引きつる。

「まだあんのかよ……」

自来也は言った。

「第二段階」

「威力だ」

ナルトはボールを握る。

チャクラを流す。

回す。

回す。

回す。

だが――

びくともしない。

ナルトの額に汗が浮かぶ。

「くそ……!」

自来也は静かに見ていた。

(だが)

(こいつも悪くない)

オビトは感覚で掴んだ。

ナルトは違う。

何度でも挑む。

何度でも失敗する。

それでもやめない。

ナルトが叫ぶ。

「オビトより強くなるってばよ!!」

自来也は笑った。

「言うじゃねぇか」

ナルトは歯を食いしばる。

チャクラを回す。

回す。

回す。

その手の中で。

少しだけ。

チャクラが乱流を生んだ。

自来也の目が細くなる。

(……来るな)

ナルトはまだ気づいていない。

だが確実に近づいている。

四代目火影が作り出した術。

印を使わない究極の忍術。

螺旋丸。

それは――

やがて。

ナルト自身の力になる術だった。



〆栞
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