湯けむりの師弟
木ノ葉の朝は静かだった。
まだ日が昇りきる前。
忍者アカデミーの屋上に、一人の少年が座っていた。
うちはオビト。
俺は屋根の上で胡座をかき、目を閉じていた。
(チャクラの流れは問題ない)
体の内側を巡る力。
前世では呪力だった。
今はチャクラ。
だが。
俺の中ではもう混ざっている。
火遁。
風遁。
雷遁。
水遁。
土遁。
そして木遁。
さらに陰陽遁。
(……やっぱ六道の影響残ってるな)
普通の忍者じゃない。
まあ。
三回目の人生だしな。
その時だった。
「ほう」
声が聞こえた。
低く、どこか楽しそうな声。
俺は目を開けた。
屋上の手すりに座っている男。
長い白髪。
赤い陣羽織。
そして口元の笑み。
自来也。
(……来たか)
俺はゆっくり立ち上がった。
「朝から不審者かよ」
自来也が笑う。
「ひどい言い方だな」
「忍の里で屋上侵入してる奴が言うな」
自来也は顎をさすった。
「確かに」
そして言う。
「お前がうちはオビトだな」
「そうだけど」
自来也の目が鋭くなる。
「木遁」
「写輪眼」
「妙なチャクラ」
俺は肩をすくめた。
「噂早いな」
自来也は笑った。
「三代目から聞いた」
つまり。
猿飛ヒルゼン。
(火影公認の偵察か)
自来也は屋根から降りた。
「修行するか?」
俺は瞬きをした。
「いきなり?」
「そうだ」
自来也は腕を組む。
「お前、アカデミーのガキじゃないだろ」
(鋭いな)
さすが三忍。
誤魔化すのは無理そうだ。
俺は笑った。
「試す?」
自来也はニヤッとした。
「望むところだ」
⸻
場所は森の訓練場。
朝霧が少し残っている。
自来也が言った。
「本気で来い」
「子供扱いなし?」
「もちろんだ」
俺は少し嬉しくなった。
(久しぶりにまともな相手だ)
地面を蹴る。
瞬間移動のような速度。
拳を振る。
自来也が目を見開いた。
「速い!」
ガンッ
拳が受け止められる。
さすが三忍。
でも。
まだまだ。
蹴り。
肘。
体術の連続。
自来也が笑う。
「面白いな!」
印を結ぶ。
「火遁・炎弾!」
炎が迫る。
俺は軽く手を振る。
風遁。
炎が吹き飛ぶ。
自来也の目が光る。
「風遁もか」
俺は静かに言った。
「まだあるぞ」
手を地面につける。
ドンッ
木が生える。
木遁。
自来也が笑った。
「やっぱりな」
そして。
少し黙る。
「……いい」
俺を見る。
真剣な目。
「お前」
「俺の弟子になれ」
静寂。
俺は瞬きをした。
(まさか)
ナルトの師匠になる男。
伝説の三忍。
その自来也が。
俺を見ている。
「どうだ?」
俺は頭をかいた。
「……いいのか?」
「何が」
「俺、うちはだぞ」
自来也は笑った。
「関係あるか」
そして言った。
「面白い奴が好きなんだ」
俺は笑った。
(ナルトと同じこと言うな)
空を見る。
三回目の人生。
まさか。
ここでこの人と出会うとは。
でも。
悪くない。
むしろ――
最高だ。
俺は手を差し出した。
「よろしく」
自来也が手を握る。
「よし」
ニヤリと笑う。
「弟子一号だ」
そして突然言った。
「じゃあ温泉行くぞ」
「は?」
⸻
数時間後。
湯気の立つ温泉宿。
湯けむりが立ち上る。
自来也が酒を飲んでいた。
「はぁ〜」
俺は湯船に浸かっていた。
「なんで修行が温泉なんだ」
自来也が笑う。
「師弟の親睦だ」
「絶対違うだろ」
自来也は真顔で言う。
「修行は大事だ」
そして。
親指を立てた。
「覗きも大事だ」
「帰るぞ」
自来也が慌てる。
「待て待て!!」
俺は呆れた。
(この人ほんと変わらないな)
でも。
嫌いじゃない。
自来也はふっと笑った。
「オビト」
「ん?」
「お前」
少し真面目な声。
「将来すごい忍になる」
俺は肩をすくめた。
「もうなってる」
自来也は大笑いした。
「違いない!」
湯けむりの中。
笑い声が響く。
その頃。
木ノ葉の森。
木の上に一人の男がいた。
銀髪。
仮面。
はたけカカシ。
カカシは遠くの温泉宿を見ていた。
「……自来也様」
そして小さく呟く。
「オビト」
その名前を。
どこか懐かしそうに。
まだ気付いていない。
その少年が。
かつて自分の仲間だった男だと。
まだ日が昇りきる前。
忍者アカデミーの屋上に、一人の少年が座っていた。
うちはオビト。
俺は屋根の上で胡座をかき、目を閉じていた。
(チャクラの流れは問題ない)
体の内側を巡る力。
前世では呪力だった。
今はチャクラ。
だが。
俺の中ではもう混ざっている。
火遁。
風遁。
雷遁。
水遁。
土遁。
そして木遁。
さらに陰陽遁。
(……やっぱ六道の影響残ってるな)
普通の忍者じゃない。
まあ。
三回目の人生だしな。
その時だった。
「ほう」
声が聞こえた。
低く、どこか楽しそうな声。
俺は目を開けた。
屋上の手すりに座っている男。
長い白髪。
赤い陣羽織。
そして口元の笑み。
自来也。
(……来たか)
俺はゆっくり立ち上がった。
「朝から不審者かよ」
自来也が笑う。
「ひどい言い方だな」
「忍の里で屋上侵入してる奴が言うな」
自来也は顎をさすった。
「確かに」
そして言う。
「お前がうちはオビトだな」
「そうだけど」
自来也の目が鋭くなる。
「木遁」
「写輪眼」
「妙なチャクラ」
俺は肩をすくめた。
「噂早いな」
自来也は笑った。
「三代目から聞いた」
つまり。
猿飛ヒルゼン。
(火影公認の偵察か)
自来也は屋根から降りた。
「修行するか?」
俺は瞬きをした。
「いきなり?」
「そうだ」
自来也は腕を組む。
「お前、アカデミーのガキじゃないだろ」
(鋭いな)
さすが三忍。
誤魔化すのは無理そうだ。
俺は笑った。
「試す?」
自来也はニヤッとした。
「望むところだ」
⸻
場所は森の訓練場。
朝霧が少し残っている。
自来也が言った。
「本気で来い」
「子供扱いなし?」
「もちろんだ」
俺は少し嬉しくなった。
(久しぶりにまともな相手だ)
地面を蹴る。
瞬間移動のような速度。
拳を振る。
自来也が目を見開いた。
「速い!」
ガンッ
拳が受け止められる。
さすが三忍。
でも。
まだまだ。
蹴り。
肘。
体術の連続。
自来也が笑う。
「面白いな!」
印を結ぶ。
「火遁・炎弾!」
炎が迫る。
俺は軽く手を振る。
風遁。
炎が吹き飛ぶ。
自来也の目が光る。
「風遁もか」
俺は静かに言った。
「まだあるぞ」
手を地面につける。
ドンッ
木が生える。
木遁。
自来也が笑った。
「やっぱりな」
そして。
少し黙る。
「……いい」
俺を見る。
真剣な目。
「お前」
「俺の弟子になれ」
静寂。
俺は瞬きをした。
(まさか)
ナルトの師匠になる男。
伝説の三忍。
その自来也が。
俺を見ている。
「どうだ?」
俺は頭をかいた。
「……いいのか?」
「何が」
「俺、うちはだぞ」
自来也は笑った。
「関係あるか」
そして言った。
「面白い奴が好きなんだ」
俺は笑った。
(ナルトと同じこと言うな)
空を見る。
三回目の人生。
まさか。
ここでこの人と出会うとは。
でも。
悪くない。
むしろ――
最高だ。
俺は手を差し出した。
「よろしく」
自来也が手を握る。
「よし」
ニヤリと笑う。
「弟子一号だ」
そして突然言った。
「じゃあ温泉行くぞ」
「は?」
⸻
数時間後。
湯気の立つ温泉宿。
湯けむりが立ち上る。
自来也が酒を飲んでいた。
「はぁ〜」
俺は湯船に浸かっていた。
「なんで修行が温泉なんだ」
自来也が笑う。
「師弟の親睦だ」
「絶対違うだろ」
自来也は真顔で言う。
「修行は大事だ」
そして。
親指を立てた。
「覗きも大事だ」
「帰るぞ」
自来也が慌てる。
「待て待て!!」
俺は呆れた。
(この人ほんと変わらないな)
でも。
嫌いじゃない。
自来也はふっと笑った。
「オビト」
「ん?」
「お前」
少し真面目な声。
「将来すごい忍になる」
俺は肩をすくめた。
「もうなってる」
自来也は大笑いした。
「違いない!」
湯けむりの中。
笑い声が響く。
その頃。
木ノ葉の森。
木の上に一人の男がいた。
銀髪。
仮面。
はたけカカシ。
カカシは遠くの温泉宿を見ていた。
「……自来也様」
そして小さく呟く。
「オビト」
その名前を。
どこか懐かしそうに。
まだ気付いていない。
その少年が。
かつて自分の仲間だった男だと。
【〆栞】