うちはの兄弟

木ノ葉の夕方。

うちは一族の居住区は、里の他の場所よりも少し静かだった。

赤い提灯。

整った屋敷。

警務部の紋。

その中央にある屋敷の前で、俺は立ち止まっていた。

うちはオビト。

(ここが……)

うちはの本家。

前世では敵だった一族。

だが今は――

同族だ。

門の奥から声がした。

「来たか」

低い声。

厳しい眼差しの男。

うちは警務部隊長。

そして族長。

うちはフガク。

俺は軽く頭を下げた。

「どうも」

フガクは腕を組んでいる。

しばらく俺を見ていた。

「お前がオビトか」

「そうだけど」

フガクは言う。

「木遁」

「写輪眼」

「うちはの血」

少し間を置いて。

「説明してもらおう」

俺は頭をかいた。

(めんどくさい)

でも。

完全に嘘もつけない。

「体質みたいなもん」

フガクの眉が動く。

「体質で木遁?」

「まあ」

沈黙。

しばらくして。

フガクは小さく息を吐いた。

「……いい」

「え?」

「お前の力は木ノ葉のものだ」

そして言った。

「うちはの誇りを忘れるな」

俺は少し驚いた。

(意外と柔らかいな)

フガクは振り向く。

「イタチ」

「はい」

奥から一人の少年が出てきた。

黒髪。

穏やかな目。

年齢は俺より少し上。

うちはイタチ。

サスケの兄。

未来では――

一族を滅ぼす男。

俺は心の中で呟いた。

(……早いな)

イタチは俺を見て軽く頭を下げた。

「はじめまして」

声は落ち着いている。

子供とは思えない。

俺も頭を下げた。

「よろしく」

イタチは静かに言った。

「あなたの噂は聞いています」

「悪い噂?」

「面白い噂です」

俺は笑った。

「それならいい」

イタチは少しだけ微笑んだ。

(やっぱり)

この人は優しい。

だからこそ。

あの未来は――

絶対に変える。



その頃。

忍者アカデミー。

校庭。

「オビト遅いってばよ!!」

叫んでいるのは
うずまきナルト。

横で腕を組むのは
うちはサスケ。

サクラがため息をつく。

春野サクラ。

「ほんと自由ねあの人」

ナルトが叫ぶ。

「でも強いってばよ!!」

サスケがぼそっと言った。

「……確かに」

サクラが驚く。

「サスケくんが認めた!?」

サスケは黙った。

だが。

目は真剣だった。

「次は負けない」

ナルトが笑う。

「オレもだ!!」



その日の夜。

木ノ葉の森。

月明かりの下。

俺は座っていた。

目の前には。

自来也。

「今日から本格修行だ」

俺は頷いた。

「何やるんだ?」

自来也はニヤッとした。

手のひらを見せる。

そこには――

回転するチャクラ。

青い球。

「これは」

「螺旋丸」

俺は目を細めた。

(ナルトの術)

自来也が言う。

「四代目火影の術だ」

つまり。

波風ミナト。

ナルトの父親。

自来也は言った。

「覚えてみろ」

俺は笑った。

「いいのか?」

「できるならな」

俺は手を出した。

チャクラを回す。

圧縮。

回転。

安定。

数秒。

そして――

ブンッ

青い球。

完成。

沈黙。

自来也の口が開いた。

「……」

俺は首を傾げる。

「こんな感じ?」

自来也が叫んだ。

「早すぎるだろ!!」

俺は笑った。

「まあ」

三回目の人生だし。

自来也は頭を抱えた。

「なんだこいつ」

でも。

次の瞬間。

大笑いした。

「最高だ!!」

肩を叩く。

「お前面白すぎる!!」

俺は苦笑した。

その時だった。

木の上。

一人の忍が見ていた。

銀髪。

仮面。

はたけカカシ。

カカシは呟いた。

「……螺旋丸」

そして。

オビトを見つめる。

胸の奥が少しざわつく。

「妙だな」

どこか。

懐かしい。

そんな感覚。

まだ気付いていない。

その少年が。

かつて自分と同じ夢を見た男だということを。



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