決断

夜。

廃れた神社。

月明かりの下に立つ二つの影。

一人は
綱手。

もう一人は
蛇のような笑みを浮かべた男。

大蛇丸。

その後ろに控えるのは
薬師カブト。

大蛇丸はゆっくり言った。

「三日」

「考えは決まったかしら」

綱手は黙っている。

大蛇丸は続ける。

「あなたの弟」

「そして恋人」

「二人とも」

「生き返らせてあげる」

静かな風が吹く。

綱手の拳がわずかに震える。

脳裏に浮かぶのは――


繩樹。

恋人
加藤ダン。

血。

瓦礫。

失った命。

大蛇丸が微笑む。

「どう?」

「悪い話じゃないでしょう?」

綱手はゆっくり口を開いた。

「……断る」

大蛇丸の笑みが消えた。

「なぜ?」

綱手は静かに言う。

「あいつらは」

「そんな形で戻ってくる人間じゃない」

その時。

背後の森から声。

「やっぱりな」

現れたのは
自来也。

その隣には――

うずまきナルト。

ナルトが叫ぶ。

「ババア!」

綱手が睨む。

「誰がババアだ」

ナルトは拳を握る。

「俺は火影になる!」

「だからお前が火影になれ!」

綱手は呆れた顔をする。

「勝手なガキだな」

大蛇丸がため息をつく。

「残念ね」

「では――」

その目が冷たくなる。

「死んでもらうわ」

カブトが前に出る。

「僕がやります」

ナルトが構える。

「来い!」

カブトが消えた。

高速の踏み込み。

手刀。

ナルトが弾き飛ばされる。

「ぐっ!」

カブトは笑う。

「また会いましたね」

ナルトが立ち上がる。

手のひらにチャクラを集める。

回転。

圧縮。

渦。

カブトが目を細める。

「それは……」

ナルトが叫ぶ。

「螺旋丸!!」

突っ込む。

だが。

カブトのチャクラメスが先に動く。

その瞬間。

空間がねじれる。

カブトの攻撃は――

すり抜けた。

「!?」

背後に現れた影。

うちはオビト。

オビトがナルトを押し出す。

「行け」

ナルトの身体が前へ。

カブトが後退する。

だが。

オビトの指が鳴る。

ピチャン。

空気中の水分。

森の湿気。

それらが集まり――

水の刃となる。

ヒュンッ!

カブトの足を貫く。

「がっ!」

動きが止まる。

オビトが言う。

「今だ」

ナルトが吠える。

「うおおおお!!」

螺旋丸。

チャクラの渦。

回転。

圧縮。

爆発。

ドンッ!!

ナルトの手がカブトの腹に叩き込まれる。

衝撃波。

地面が抉れる。

カブトが吹き飛んだ。

木を何本も折りながら転がる。

煙。

静寂。

ナルトが息を切らす。

「やった……」

綱手が目を見開く。

「……螺旋丸」

自来也が笑う。

「完成だ」

遠く。

瓦礫の中。

カブトが立ち上がる。

血まみれだ。

だが笑っている。

「なるほど」

「素晴らしい術ですね」

大蛇丸が言う。

「カブト」

「戻るわよ」

カブトはオビトを見る。

「次は」

「本気でやりましょう」

煙。

二人の姿が消えた。

静寂。

綱手はナルトを見る。

そして。

オビトを見る。

静かに言った。

「……決めた」

自来也が笑う。

「何をだ?」

綱手は振り向く。

「木ノ葉に行く」

ナルトが叫ぶ。

「マジか!?」

綱手は言う。

「火影の椅子」

「座ってやる」

風が吹いた。

こうして――

五代目火影の物語が始まる。



〆栞
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