月読

闇。

赤い空。

血の月。

無数の柱。

そこに縛り付けられているのは――

はたけカカシ。

目の前に立つ。

うちはイタチ。

「ここは」

「私の世界だ」

カカシの瞳が揺れる。

「……幻術」

イタチは言う。

「月読」

次の瞬間。

刃が振り下ろされた。

ザンッ

カカシの体を刀が貫く。

だが終わらない。

また。

また。

また。

時間が歪む。

一瞬が。

永遠になる。

何百回。

何千回。

同じ痛み。

同じ死。

カカシの意識が揺れる。

その時。

外の世界。

屋根の上。

オビトの目が細くなる。

(……幻術)

写輪眼。

その奥で。

チャクラの流れが見える。

異常な干渉。

精神への侵食。

(強い……)

オビトは理解した。

これが。

万華鏡写輪眼の幻術。

その瞬間。

カカシの体が崩れ落ちた。

「カカシ!」

アスマが叫ぶ。

紅も振り向く。

鬼鮫が笑う。

「おや」

「もう終わりですか」

イタチは静かに言う。

「まだだ」

その視線が。

オビトに向く。

屋根の上。

静かな対峙。

オビトは写輪眼のまま立っている。

鬼鮫が言う。

「次はあのガキですか?」

イタチは答えない。

ただ。

オビトを見ている。

ほんの一瞬。

視線が交差する。

そして。

イタチは言った。

「今日はここまでだ」

鬼鮫が笑う。

「おや」

「九尾は?」

イタチは背を向けた。

「準備が必要だ」

鬼鮫が肩をすくめる。

「了解」

二人の姿が闇へ消える。

屋根の上に残るのは。

木ノ葉の忍。

そして倒れたカカシ。

オビトは静かに息を吐いた。

戦いは終わった。

だが。

暁は。

確実に動き始めていた。



〆栞
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